アメリカ:卵不足で価格が高騰!不足原因と高騰の理由
かつて価格の優等生と言われていた卵。最近では日本でも1パック300円と高値で売られている地域もあると聞きます。同様にアメリカでも卵の値段がかなり高騰しています。
価格の高騰には色々な理由がありますが、まず、ウクライナロシア戦争での鶏の飼料高騰や燃料費の高騰が挙げられます。これは世界的なものですね。
2023年の冬、様々な要素が入り混じり少し特殊な理由によって、アメリカでは卵不足、価格の高騰が起こっています。
アメリカ:卵不足で価格が高騰。不足した原因と高騰の理由
著者:シアトルgram fellow 土師 恵
公開日:2023年2月18日
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水不足
卵の価格高騰の一つ目の理由が、去年から続く水不足です。アメリカの様々な地域で安定した水の供給が追いついていません。日本の皆さんは水不足と聞くと水がないんでしょ?と思われることでしょう。確かに、気候変動が理由で干ばつが起こり、水自体がない地域があります。それに加えて、水はあっても飲料水や生活用水に適していないというパターンの水不足があります。
2023年の現代で、日本なら考えられないことなのですが、アメリカは地域差、貧富の差がひどいので現実にこのような由々しき自体が起きています。人々は水を一度沸かしてから生活用水に使っているそうです。メリーランド州、ミシガン州、ニューメキシコ州、ハワイ州、テキサス州、ミシシッピー州など様々な地域で水不足が起こっています。鶏や卵を育てることよりも人間の生活が立ちいかない状況で、水不足のせいで卵以外のもの高いという報道が出ています。
ケージフリー飼育の推奨
二つ目の理由は、鶏の飼育方法の変化です。2023年現在、ケージフリーを推奨する運動が進んでいます。動物愛護の観点で、羽も広げられない狭いケージの中、直立のみの姿勢で一生を過ごさせるような飼育を禁止した州があります。ワシントン州、カリフォルニア州、マサチューセッツ州、コロラド州、ミシガン州、ユタ州、ネバダ州、オレゴン州の8州です。これらの州では、ケージを積み上げて何羽もの鶏を飼う「バタリーケージ」での飼育が禁止されました。鶏の習性になぞらえて快適に暮らせるように設計された「改良型ケージ」、平たい土地で飼育する「平飼い」、鶏舎と野外を自由に行き来できる「フリーレンジ」、野外でのびのび自由に暮らせる「放牧」のみが許可されています。
健康志向が高い消費者はフリーレンジの卵を好んで買っているイメージがあります。ケージで飼育されている鶏の卵より栄養価が高いといわれていますが、価格も割高です。生産にあたって施設の改良費や広大な土地の購入費がかかり、農家の方々の手間も増えるため、普通の卵よりも割高になる傾向にあります。
近年、アメリカでは、スターバックスやマクドナルドやバーガーキングといった大手メーカーがフリーケージの卵を使うと発表しました。ちなみにヨーロッパでは2012年あたりからフリーケージの流れがあり、スイスのように改良型ケージも禁止している国もあります。この流れはいつか日本にも来るかもしれません。
鳥インフルエンザ
CDC(アメリカ連邦保健局)のホームページによると、2015年、21州で5000万羽もの鳥インフルエンザ感染が確認されました。昨年2022年、記録的といわれた2015年の大感染を超える、46州で4900万羽もの感染がありました。鳥インフルエンザで多くの鶏が命を落としたり、処分されてしまったため、卵不足や卵の価格が高騰する結果になりました。
ちなみに、狭いケージにたくさんの鶏を入れて飼育していたところが爆発的な感染を引き起こしていました。放牧されているところではあまり感染が広がらなかったそうです。そのため、通常リーズナブルなはずのケージ飼育の卵の方が値段が高く、少し割高な放牧卵の方が安いという値段の逆転を目にします。筆者もこれを不思議に思ってたのですが、記事を書くにあたって調べてみて納得しました。
ワシントン州の卵の価格
アメリカ北西部、シアトルマリナーズやスターバックス発祥の地でお馴染みのワシントン州は。比較的物価が安定しているアメリカでも住みやすい州です。環境意識が高く、動物愛護を支持している人も多いです。
ただ、卵の価格は筆者がアメリカに移住した時、日本にいた時の価格と比べると高いです。近所のスーパーでは、現在L玉1ダース1パック2.99ドル(約390円)くらいです。
いつもはぎっしり卵が積んである陳列台が、がらんとしています。1ダース1パック4.49ドルの卵は1人3個までの購入制限があります。フリーレンジやオーガニックの卵はコストコで5ダース17.49ドルと、少し安く買えますがすぐに売り切れてしまいます。
ワシントン州の卵の価格は4.91ドル(約638円)で、全米では大体4ドルから5ドルくらいが今の相場のようですが、いくつかの州では7ドルを超えているという報道もあります。1番高いのはハワイで、1パック9.73ドル(約1260円)だそうです。
まとめ
今回は卵の価格高騰のニュースをシェアしました。世界的には、鶏はケージ飼育から放牧にするという流れになっています。動物愛護の観点や、農家さんの負担を考えると安いものだけが選択肢ではないのかもしれませんね。