再注目の地中海式ダイエットで輸出好調なイタリア

イタリア

ダイエットというと体重を落とすという意味に捉えられがちだが、言語的には食生活や生活様式を意味する。
地中海式ダイエットというのは、そうすることで減量ができるというのではなく、その食生活を用いることによって健康的に体重が落ちていくというのが正しい理解であろう。
なので日本語でも地中海式ダイエットではなく、地中海食と言われるようにもなってきた。
アメリカのU.S NEWS (https://health.usnews.com/best-diet) において、ここ5年間、地中海式ダイエットが連続1位を獲得しているというニュースが話題となっている。
そしてそのブームの裏付けは、イタリア食品の輸出額においても立証されることとなった。

再注目の地中海式ダイエットで輸出好調なイタリア

著者:イタリアgram fellow 伊田里アネ
公開日:2023年2月13日

地中海食のおさらい

地中海食とは、厳密なレシピや特別な調理技法を使用するのではなく、地中海沿岸21の国々が普段している食生活や生活習慣を指す。

そしてその食生活を続けることによって、必然的に健康的になり、成人病リスクを未然に防ぎ、長寿へと導かれるだろうというものだ。
地中海沿岸に共通するものとしてあげられるのは、海産物。そして地中海を代表する農作物であるオリーブオイルを使うのがポイント。もちろん野菜も欠かさない。魚はもちろん、野菜、豆類、そしてパスタのような穀類を摂取する食生活である。
1960年代から注目されている地中海食は、2010年にユネスコの無形文化遺産に登録され、今もなお支持される食事法だ。

実際、地中海沿岸地域に住む人々は心血管疾患やがんでの死亡率がアメリカに比べて低く、同様に糖尿病や高脂肪血症などの生活習慣病なども緩和すると指摘するレポートが数多く発表されている。

イタリアの輸出データから見る需要

イタリアから農作物を非EU諸国へ輸出する需要は年々増え続けており、現在では記録的な輸出量として14.4%伸び率がある。2022年は輸出総額260億ドルのうち、43%はアメリカをはじめとする非EU諸国への輸出金額となる。

コロナ禍においても、メイドインイタリーの食材輸出は約5%の伸び率を保っている。この躍進劇の根幹は地中海式ダイエットの再ブームの継続だと言われている。

コロナの重症化を懸念されたのは、糖尿病、高血圧、 心血管疾患、肥満という基礎疾患がある人々だった。多くのレポートによると、地中海式ダイエットがそういった生活習慣病のリスクを軽減するとされ、この渦中においては当然に求められる理想の食生活となる。

そして地中海式ダイエットにあやかりながら、国を挙げてメイドインイタリーの農業製品の輸出促進を行っている。世界137の拠点で1200イベントを開催する「全世界イタリア料理週間」は、まさにイタリアの輸出促進国家戦略となっている。

地中海を代表するイタリアの料理を食べて健康になろうというテーマは、コロナをきっかけに自らの食生活を見直す消費者にとって、わかりやすいメリットでもある。
(引用: Export agroalimentare verso il nuovo record di 60 miliardi

地中海式ダイエットから見直す日本沿岸式ダイエット

ダッシュダイエット、ケトダイエット、フレキシタリアンなど、多くの食事を主軸とした健康法が試される中で圧倒的に人気が高い地中海式ダイエット(地中海食)。低脂肪で食物繊維が豊富な食材を取り入れることが重要なのである。

日本は四季に恵まれた野菜、沿岸から魚介類もふんだんに確保できるため、地中海食に準ずる要素を持ち合わせている。

2023年からアジア食はもはや地中海ダイエットに統合視されている。インフレに悩まされる毎日の買い物ではあるが、食においては本物、高品質、有機栽培的な要素が重要視される。そしてトレーサビリティを重視した商品が良いとされる傾向もある。

和食も地中海食と同様にユネスコの無形文化遺産として登録されているが、そのレシピや技法は海外で再現するには難しさがある。そこで、日本食材を使用した地中海式ダイエットをIPビジネス化させ、日本沿岸式ダイエットが誕生する日も遠くないのではと筆者は考える。

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