「世界の一員」意識で更なる勝機!!代替肉市場

アメリカ

前回の記事のテーマとして代替肉を扱った際、筆者の周りから『でも、日本はもともと豆腐とか、納豆とか大豆製品を沢山食べるし、わざわざ肉の様に加工する必要はないのでは?』とのコメントがあった。
ごもっともな意見である。多くの日本の方がそう思われているかもしれないし、たしかに日本の中ではそうかもしれない。
ただ、自分は「世界の一員」であるという意識や世界の未来という目線を持つと、代替肉は世界で必要なもの、となってくる可能性は濃厚であると思う。


「世界の一員」意識で更なる勝機!!代替肉市場

   著者:シアトルgram fellow 土師 恵
公開日:2022年1月31日

人口増加、食糧危機を救うのは代替肉?!

まず、現在世界でどの様に人口が増えていて、どれくらいの食糧が必要になっているのか、2050年を目安に考えてみる。

2050年には世界の人口は約97億になると予想されている。
日本の農林水産省のデータには、2010年を基準にした場合の2050年の様々な食料需要が示されている。キーとなる数値を最初に示したいと思う。
*全体的な食料需要:1.7倍
*低所得国の食料需要:2.7倍
*畜産物(肉)の需要:1.8倍
つまり低所得国と食肉の需要が特に上がっている。これは2050年に向かって低所得国で経済成長が予想されるからである。国が経済的に豊かになると肉を食す人が多くなる、というデータがある。
それにプラスして、穀物需要は1.7倍になると言われている。穀物は一見今回のテーマに関係なさそうだが、この需要に含まれるのは人間が食べる穀物だけでなく、家畜のエサとしてのそれも含まれている。
このまま肉食を続けると、当たり前だが食肉の需要は上がり続ける。単純に肉の生産供給が追いつかなくなる懸念があるのと、その肉を生産する際の家畜の餌としての穀物の生産も必要になってくる。

2050年のワーストシナリオケースとして、肉の生産も追いつかなければ穀物の生産も追いつかない、食糧危機に拍車がかかる事が考えられる。その頃には世界の覇権が変わっているかもしれないし、現在も輸入の多い日本では、もしかしたら様々なものが手に入らなくなっているかも知れない。
あるデータによると、肉を生産する為の家畜の餌としての穀物をそのまま人間の食糧に回せば、ほぼ世界中の人のお腹を満たすことができると考えられている。

肉食をやめれば世界中の人が満たされる。そのコンセプトは分かるが、筆者も含めて我々現代人は肉の美味しさ、肉料理を食べる喜びも知っている。果たして肉なしの生活ができるだろうか?
そこで一筋の光になるのが代替肉だ。肉をやめても代替肉を食べる事で自分の満足を満たしつつ、他の人の幸せを助ける事ができる。

世界では、代替肉はそういう意味でも注目されている。

Z世代を巻き混み、環境問題を解決するのも代替肉!?

地球の温暖化は温室効果ガスが原因の一つと考えられている。温暖化が進むと、近い将来地球の温度が2度上がり、気候変動が起こったり、生態系が変わったり、氷山が溶け海水が上昇して人間に様々な困った影響を与える。
有名なグレタ・トゥンベリさんをはじめとして、様々な人が懸念している。

あるデータによると、家畜から排出される温室効果ガスは温室効果ガス全体の約14.5〜16.5%と言われている。その中の約7割が牛からだと言われている。牛から出るガスはメタンを含んでおり、二酸化炭素の25倍もの温室効果があると考えられている。また、家畜の飼育に際し、家畜の住処用としてだけでなく、家畜のエサ用穀物の栽培用の土地を確保するために森林伐採している。さらに、人間にそのまま渡れば良い穀物を家畜が消費することによって食糧危機の一つの原因にもなっている。

筆者は牛に恨みは全くないが、家畜の中でも特に牛の飼育規模の縮小を強く希望する声が、アメリカやイギリスなどグローバルノースで環境に関心のある人々から多く上がっている。これらの人々は、牛乳や乳製品、牛肉を食べなければ牛を必要以上に育てる必要はない、牛が少なくなれば環境が改善する、と考えている人が多い。なのでアメリカでは、代替肉は勿論、オーツミルクなどの代替乳、カシューナッツチーズなどの代替乳製品がそこかしこで販売されている。

また、アメリカの特に若い世代、現在10歳から25歳くらいまでのジェネレーションZ(Z世代)と呼ばれる人々の購買理由は、環境に優しい事と企業信念をしっかり示している事であるので、「代替肉は環境に良い。代替肉を扱っている会社は環境問題に真剣に向き合っている」という印象、会社の信念で購買行動を起こす様である。買い物は投票であると思っている人々が多い。

まとめ

日本ではジェネレーションZの人口は少ない。なぜならば少子化社会だからである。
ただ、世界に目を向けると、ジェネレーションZは20億人で世界人口の三分の一を占めている。今はまだ若くて社会の中心にはいないかもしれないが、彼らの時代は必ずやって来る。なのでアメリカでは、このジェネレーションZの購買行動を無視することはできない。

ビヨンドミートやインポッシブルフーズは勿論のこと、昨年アメリカ食肉業界最大手のタイソンフーズが100%植物由来の代替肉の販売を始めた事も、時代の流れかもしれない。

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