オランダのローカルスーパーマーケットでお鍋の食材を揃えてみた?!
オランダ南部の都市、マーストリヒト。人口12万人強の、国内では10本の指にも入らない地方都市ですが、大学があるために外国人居住者も多く、国際的です。マーストリヒトといえば、社会の授業で一度は耳にしたことがあるかと思われるマーストリヒト条約で有名な街です。1991年にここで行われた首脳会議でヨーロッパ連合条約が合意され、新通貨EUR(ユーロ)への貨幣統合を始め、その後のEUの経済、政治統合を大きく加速させることになった原点がここなのです。
ここマーストリヒトのローカルスーパーマーケットで日本の冬の定番「お鍋」の食材を調達できるか挑戦。日本の食材はどこまで手に入れることができるでしょうか?
オランダのローカルスーパーマーケットへ潜入ーそこで手に入る日本食事情
著者:オランダgram fellow 久国尚美
公開日:2022年1月14日
20年前vs現在の日本食事情
筆者がオランダに移住したのは1999年。当時は日本米一袋買うにも苦労し、日本米のような丸い米粒のローマ米で代用していました。かろうじて街中の小さなTOKOと呼ばれるアジアショップで多少の日本食の取扱いがあった程度。ところが近年のSUSHI、それに続くRAMENブームのおかげでスーパーでも手軽にありとあらゆる日本食材が手に入るようになりました。残念ながら巷の寿司、ラーメン店の殆どは非日本人オーナー&従業員であるため、我々本場の味を知っている者にしてみれば、食べてみて、ん??という感じなものもあります。それでも寿司やラーメンを始めとする日本食がヨーロッパの食文化の一部として受けいれられることに成功したムーブメントへのこの人たちの貢献は非常に大きく、在欧一日本人として非常に感謝しています。
オランダのスーパーで鍋の材料は揃えられるか?
今回は、オランダの中流層に絶大の支持を誇る全国チェーンの”アルバートハイン”にて、日本で食べているお鍋の材料は、揃えられるかチャレンジしたいと思います。
まずは野菜売り場。おネギ、白菜、ほうれん草、椎茸。おネギは日本のように太いお鍋用のものは流石にありませんが、八百屋さんのように山積みです。椎茸に至ってはずばり”SHITAKE”です。ほうれん草は葉の部分だけがすでに洗って袋詰になっているので、このまま使えます。ルッコラも苦味が少し春菊のようでお鍋に意外に合います。
野菜が揃えば次はタンパク源。
お豆腐は硬いフェタチーズのようで、生食にはおすすめしませんが、お鍋には十分です。
お肉は鶏もも。鶏は脂分の少ないムネしか手に入りませんでしたが、ここ2、3年で骨なしのももが出回るようになりました。唐揚げにも使いやすいです。豚、牛は薄切がないので、お鍋にはちょっと無理でしょうか。
野菜、肉と出揃えば、〆は麺。おうどん、お蕎麦、ラーメンの乾麺があります。
調味料も最近は粉末ダシ、味噌、テリヤキソース、胡麻ドレッシング、七味唐辛子までが手軽にスーパーで買えるようになり、オランダでも日本で食べる鍋の材料が手に入れることができました。
今回、意識して買い物に行ってみたら、こんなに日本食関連の商品が普通にあることに改めて驚きました。
伝統的にじゃがいも、肉、茹で(過ぎ)た緑黄色野菜を食してきたオランダ人、他ヨーロッパ諸国に比べそのグルメへの興味の無さを笑われがちなオランダですが、この20年で随分変わったことは認めざるをえません。
欧州での日本食のプレゼンスは過去5年ほどで大きく拡がり、これまでのように、作り方が難しいとか繊細だとかいうニッチ感はなくなり、自宅で簡単に試そうというようなアクセスしやすい存在になりました。
オランダであまり見かけない日本の食品に勝機あり
日本に一時帰国するときにオランダに大量に持ち帰るものの一つに、お湯を注ぐだけのフリーズドライ食品があります。欧州にはいまだにマッシュポテトくらいしかフリーズドライ製品はありません。日本国内市場では登山やアウトドア嗜好者に人気と聞きましたが、海外市場向けという視点に立っても、フリーズドライ製品は商品が軽いので輸送がしやすい(輸送コストが浮く&CO2排出減)、商品の型崩れや破損に神経質にならなくて済む(パッケージングの簡素化は、ゴミの削減に関する規制が日本の2ー3歩先を行く欧州のニーズに合う)などの利点があります。
それ以外にも、コロナで経験した世界的パンデミックや、地球温暖化で今まで起こり得なかった地域で自然災害が起こる昨今、日本以外ではあまり浸透していないマスクのように「災害への備蓄」という新しい価値観を欧州市場に紹介できるかもしれません。
軽量、味良し、商品ラインアップ豊富と三拍子揃った日本のフリーズドライ食品は、色々な意味で大きなポテンシャルを持っているのではないでしょうか。