EU Green Capital for 2024 はスペイン・バレンシア!

スペイン

環境に配慮した都市生活をリードしている模範的な優良都市に「Europian Green Capital Award(EGCA) 2024」にスペイン・バレンシアが選定された。

スペイン国内では2012年にVitoriaが受賞して以来の2都市目の快挙となった。

本記事ではEGCAを受賞したスペイン第3の都市であるバレンシアの知られざる魅力と、環境改善やスマートシティ実現に向けての取り組みを、バレンシア在住者目線を交えてお伝えする。

EU Green Capital for 2024 はスペイン・バレンシア!

   著者:スペインgramフェロー 北田ミヤ
公開日:2023年11月18日

EU Green Capital Award (EGCA) とは?

EGCAとは、2008年に創設された欧州連合の欧州委員会主催の賞で、2010年から選考がスタートした。

都市環境を改善することによって経済と生活の質を向上させる取組を表彰するもので、環境に配慮した都市生活をリードしている都市に贈られる。

10万人以上の住民を有する大都市のEuropian Green Capital (EGC) と、2万人規模の小都市のEuropian Green Leaf (EGL)、人口規模により2つのタイトルが存在する。

受賞するには以下の12の持続可能性を評価したテストに合格する必要がある。

1.air (大気)
2.noise (騒音)
3.waste (廃棄物)
4.water (水)
5.nature and biodiversity (自然と生物多様性)
6.land use (土地利用)
7.eco/innovation (エコイノベーション)
8.climate change mitigation (気候変動の緩和)
9.climate change adaptation (気候変動への適応)
10.mobility (モビリティ)
11.energy efficiency (エネルギー効率)
12.governance (ガバナンス)
12の持続可能性を評価

(引用元:Valencia, Elsinore, and Velenje win 2024 European Green City Awards
https://environment.ec.europa.eu/news/valencia-elsinore-and-velenje-win-2024-european-green-city-awards-2022-10-28_en

(引用元:Valencia is named European Green Capital 2024 | Visit Valencia
https://www.visitvalencia.com/en/news-room/valencia-named-european-green-capital-2024

EGCAにバレンシアが選ばれた理由

人口約837,000人を有するバレンシア市はスペインの南東海岸に位置するバレンシア州の首都である。

今回EGCA2024のタイトルが授与された主な理由としては、持続可能な観光・気候中立性・都市緑化を推進する取組の成果が認められたことがあげられる。

2023年現在、都市住民の97%が緑豊かなエリアから300M以内の住宅に住んでいるというから驚きだ。事実、筆者の住むエリアも近くに全長12㎞にもわたる緑豊かな公園が広がっていて、最高の散歩コースとなっている。

上記のようなグリーンインフラ、利便性が高く街中を網羅する公共交通システムに加え、特に果樹園と地中海を結ぶ52㎞に及ぶサイクリング&歩行者ルート、人々の憩いの場として賑わうレイナ広場の改修整備は審査員から多くの称賛を集めたという。

(引用元:Valencia nombrada Capital Verde Europea 2024
https://iambiente.es/2022/10/valencia-nombrada-capital-verde-europea-2024

(引用元:Valencia 2024-Environment.ec.europa.eu. Valencia 2024 (europa.eu)
https://environment.ec.europa.eu/topics/urban-environment/european-green-capital-award/winning-cities/valencia-2024_en

EGCA受賞都市としての取り組みと今後の課題

今回の受賞によりバレンシア市には賞金600,000€(1€=¥163換算で約9,800万円)が授与された。これは都市環境の持続可能性を一層高めるための対策を支援するものであり、グリーン都市として現状に甘んじることなく今後も継続して環境改善に取り組むというミッションに挑むことになる。

すでにバレンシア市では博物館・学校・市場・スポーツ施設などの194の公共施設がネットワーク化されている。何千ものデータが地図に描かれているジオポータルを使用すると、交通状況や駐車場の空き状況、サイクリングネットワークの拡張までもリアルタイムで確認できる。

最も近いゴミ・リサイクル容器の回収場や図書館、博物館を見つけたり、待っているバスの居場所を把握できたり、エネルギー消費を節約しながらもワンクリックで必要な情報が入手可能である。

加えて廃棄物管理のための新しいスマートガベージコンテナプロジェクトも開始。オーバーフローを回避し、収集ルートを最適化するためにリアルタイムで廃棄物の状況が報告されるなど、街のスマート化を加速させている。

2030年までにCO2排出量を80%削減して気候中立性を達成することを約束しており、今後の取組が注目される。

(引用元:Smart City Valencia Smart City València – València Ciudad Inteligente (valencia.es)
https://smartcity.valencia.es/es/

(引用元:Valencia awarded with EU Mission Label for their plans to reach climate-neutrality by 2030
https://www.visitvalencia.com/en/news-room/valencia-awarded-eu-mission-label-their-plans-reach-climate-neutrality-2030

(引用元:Valencia, Elsinore, and Velenje win 2024 European Green City Awards (europa.eu)
https://environment.ec.europa.eu/news/valencia-elsinore-and-velenje-win-2024-european-green-city-awards-2022-10-28_en

環境プロジェクトの注目で投資が増加

欧州委員会は2050年までにEUを世界初の気候中立の大陸にする目標を発表しており、EUが掲げるグリーンディールは世界に先行している。

2020年10月実施の EU attractiveness survey によれば、投資家が考えるトレンドのNO.2に「持続可能と気候変動を重視した取組」が挙げられ、Europian Climate Foundationの調査において、EU全体でエネルギー、運輸、建築、製造、農業セクターへの投資の体制が整ったプロジェクトが600件近く明らかになった。それらのプロジェクトへの投資は今後2000億ユーロに達し、2020年にパンデミックにより失われた雇用のおよそ1/4に相当する230万人の雇用が創出されると予測されている。

今後もEGCA受賞都市がリードしていく形でEU全体の環境改善と経済成長の両立へ向けた取り組みへの投資家の注目は更に高まると考えられる。

(引用元:A System Change Compass: Implementing the European Green Deal in a time of recovery – Club of Rome
https://www.clubofrome.org/publication/a-system-change-compass-implementing-the-european-green-deal-in-a-time-of-recovery/

(引用元:Methodology EY will leverage its existing ready to go research capabilities and turn this in a real-team observatory(PDF)
https://assets.ey.com/content/dam/ey-sites/ey-com/fr_fr/topics/power-and-utilities/02-09-2020/covid-19-pour-une-relance-verte-et-resiliente-en-europe/a-green-covid19-recovery-and-resilience-plan-for-europe.pdf

まとめ

この記事を読んだまだバレンシアを訪れたことがない読者は、緑豊かな公園が広がり、ゴミ一つ落ちていない環境への配慮の感度が高いスマートな街を思い浮かべるかもしれない。

実際、芝や樹木、川が美しく保たれた公園はとても気持ちが良く、車道・自転車、電動キックボード道・歩道がしっかりと整備された街づくりや、CO2排出削減の一環でもあるシェア自転車も至る所に見つけることができる。

そのうえ年間平均気温が約20℃前後で過ごしやすく、治安も良くてとても魅力的な都市だ。一方で、まだまだゴミの仕分けを無視して廃棄する人や、路上へのポイ捨ても後を絶たず日常的に残念な光景を散見するのも実情であり、都市としての方向性と個々の住民のモラルの感度にズレを感じずにはいられない。

これはバレンシアだけに限ったことではなく、例えば日本でも河原でのBBQのゴミ放置など一部の人間の良識に欠ける行動が度々問題視されているが、最終的にはコンプライアンスの徹底こそが、持続可能な街づくりに欠かせないのではないだろうか。

北田ミヤ

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スペイン在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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