今春も高濃度で飛散!花粉症を発症する人が増加中|スペイン

スペイン

2月・3月の降雨量の増加や冬季の高温が原因で、花粉の量が増加し飛散時期も早まったことで、2025年春のスペインでは例年より花粉濃度が高く、アレルギー症状がより強く出たり持続的になっていると報告されている。本記事ではスペインの花粉症事情についてお伝えする。

今春も高濃度で飛散!花粉症を発症する人が増加中|スペイン

   著者:スペインgramフェロー 北田ミヤ
公開日:2024年7月11日

花粉症に悩む人が増加中

過去25年間でスペインにおけるアレルギー有病率は50%以上増加している。中でも花粉症(rinitis alergica)の有病率は、スペイン全土の成人を対象とした調査で21.5%、13〜14歳の青年が14.6%、6〜7歳の子どもが9.3%と報告されている。

特に花粉の飛散量が多く花粉症患者への影響が強く表れている特定の地域は、南部のSevilla(セビリア)、Jaen(ハエン)、西部~南西部のBadajoz(バダホス)、Caceres(カセレス)、中部のToledo(トレド)、北部のVitoria(ビトリア)。

南部は毎年花粉の飛散が多い地域だが、今年は北部のビトリアでも5000粒/㎥超と例年に比べ高水準で、マドリードの南にある中部の都市、トレドも6000粒/㎥、バダホス、カセレスにいたっては1.9万粒/㎥と超高濃度で、全国的に花粉が多く、どの地域でも油断できない春となっている。

主な花粉の種類や飛散時期は?

スペインも日本同様、春(3月〜5月)と秋に花粉の飛散が多くなる。ただ、日本で多いスギやヒノキはほとんど飛散しておらず、スペインならではのオリーブや、イネ科の花粉の影響が大きいようだ。スギやヒノキで悩む多くの日本人にとっては朗報に思えるが、最近ではスペインの花粉で症状が出る日本人も増えているようなので要注意だ。

以下は主な花粉の種類と飛散時期である。

花粉の種類飛散ピークと地域
Olivo(オリーブ)4~6月、主に南部のアンダルシア地方で多い
Gramineas(イネ科植物)5月~7月、スペイン全土に飛散
Betulaceae(カバノキ科)3月~5月、主に北部のバスク地方やカタルーニャで多い
Platano de sombra(プラタナス(スズカケノキ))3月~5月、都市部の街路樹として多い
Artemisia(ヨモギ)8月~10月、乾燥した地域全域に多い
花粉の種類と飛散時期
 
(写真:よく見かける街路樹。プラタナス属の一種、スズカケノキ)

FARMACIA(薬局)で入手可能な薬をご紹介

日本とは違うオリーブやプラタナスなどの花粉が影響し、春、スペインに出張や旅行に来て予想していなかったような花粉症の症状が出てしまった!という時のために、スペインの薬局(ファーマシア)で入手可能な薬とその特徴をお伝えしたい。

まずは、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンの作用を抑え、くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどの症状を軽減する抗ヒスタミン薬(Antihistaminicos)には以下のようなものがある。

商品名効能など
①クラリチン(Clarityne) 日本でもおなじみの、クラリチン
②エバステル(Ebastel)
③バクチル(Bactil) 1日1回の服用で効果が持続。 ②のEbastelは筆者も服用しているが、1箱7カプセル入りで11ユーロ。睡眠前に服用すると翌日快適に過ごすことができる。また、日中に服用しても眠気が起こりにくいそうだ。
④ジルテック(Zyrtec)
⑤アレルシナ(Alercina) 迅速に作用し、鼻症状・目のかゆみの両方に効果的。
⑥テルファスト(Telfast) 非鎮静性で日中の活動に影響を与えにくいとされている。
花粉症の薬
 

また、局所的に鼻症状を軽減させる、Aerosoles Nasales(鼻用スプレー)や、目のかゆみや充血に効く,抗ヒスタミン作用をもつ点眼薬、Patanol(パタノール)なども一般的に市販されているので、FARMACIAで症状を説明すると症状に合った薬を出してもらえる。

(写真:1日1回の服用で24時間効果が持続するエバステル(Ebastel))

まとめ

スペインでも日本同様、春と秋に花粉の飛散が多くなり、毎年花粉症に悩む人が増え続けている。今春も地域によっては歴史的に高い花粉濃度が観測されており、注意が必要だ。

現在では「Eltiempo.es」や、「Polenes.com」、気象庁の公式サイトである「Agencia Estatal de Meterologia(AEMET)」など、リアルタイムに花粉情報を提供しているいくつかのサイトを活用できる時代なので、滞在予定の地域の花粉情報を事前に確認し、自分に合った対策を講じることをおすすめしたい。

【参考】
◇SEAIC | Niveles ambientales de polen:
https://www.polenes.com/home

◇El Tiempo:
https://www.eltiempo.es/

◇Agencia Estatal de Meteorología – AEMET. Gobierno de España:
https://www.aemet.es/es/portada

◇Farmacia Online y Parafarmacia Online Angulo:
https://nutricionyfarmacia.com/

◇Farmacia Imperial Valladolid | Farmacia Online de Confianzav:
https://www.farmaciaimperial.es/

◇An ecological study of allergy epidemiology in Spain: a 25-year time series research: Quantitative statistics supporting the allergy growth:
https://www.ijehs.com/article_713526.html?utm_source=

◇Prevalence and Impact of Asthma and Allergy on Daily Life, Health Outcomes and Use of Healthcare Services in Children: A Population-Based Study | Archivos de Bronconeumología, “Más lluvia:
https://www.archbronconeumol.org/en-prevalence-impact-asthma-allergy-on-articulo-S0300289623001631?idu=2&utm_source=

◇“más polen”: las predicciones apuntan a que esta será una primavera dura para los alérgicos | Salud y bienestar | EL PAÍS:
https://elpais.com/salud-y-bienestar/2025-03-20/mas-lluvia-mas-polen-las-predicciones-apuntan-a-que-esta-sera-una-primavera-dura-para-los-alergicos.html

北田ミヤ

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スペイン在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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