バングラデシュ初のメトロ開通:交通渋滞緩和に向けて
世界でも有数の人口稠密地帯であるダッカ首都圏。2001年時点で1,000万人を超えていた人口はその後も増加を続け、2025年には2,500万人を超えると試算されている(出典:東洋新聞)。しかし、都市内交通としての鉄道は全く存在せず、交通需要は道路交通に集中。二輪車の年間登録数は40万台に上り、業界関係者の間では、数年のうちに70万台に達するとも言われている。
自動車の年間登録数は現状4万台程度ながら、自動車市場の拡大も間違いなく進むことから、交通渋滞の深刻化が予想される。その他にもCNG、バイクやバスも通る。JICAによる支援が本格始動した2014年後半の交通状態は、国際空港から市内中心地のグルシャンまで10kmあまりの一般道路を移動するのに3時間以上かかる状況だった。
また都市鉄道の整備が進めば、ダッカ市内の渋滞緩和に加え、排ガスの排出量の減少などにより大気汚染の緩和や温室効果ガスの削減にもつながると考えられている。
(出典:JETRO: https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2019/71f98c21910b8fd7.html)
バングラデシュ初のメトロ開通:交通渋滞緩和に向けて
著者:インドgram fellow 田中志歩
公開日:2023年6月27日
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バングラデシュメトロのあゆみ
上記のような交通状態の課題から、バングラデシュ政府は2005年に「ダッカ都市交通戦略計画(STP)」として、今後20年間にわたる都市交通政策を取りまとめた。これに基づき、JICAは2009〜2011年に「ダッカ都市交通網整備事業準備調査」を実施。STPで提言された首都圏の交通網改善の方策を見直しつつ、適切な大量輸送交通システムの導入についての実施妥当性を示した。2000年代からダッカでは都市高速鉄道の構想があり、2013年から国際協力機構(JICA)による支援が開始された。
2021年一部開通予定でしたが、コロナの影響などから作業が一時中断するも、2022年12月28日バングラデシュでは初の高速鉄道であるMRT6号線の一部が開通された。MRT1号線は、ダッカ国際空港からチョール(Purbachal)まで南北に延びる支線の整備も予定されている。さらにMRT5号線はダッカ商業中心地区を通り、MRT1号線および6号線とも接続し東西を結ぶ地下鉄も開通予定だ。
(出典:東洋新聞 : https://toyokeizai.net/articles/-/455951?page=3)
バングラデシュメトロの現状
2013年から国際協力機構(JICA)による支援が開始され、MRT1号線、5号線、6号線の開通が回想されている。その中でも最も早期に開発されたMRT6号線は、バングラデシュ初の都市鉄道として、ダッカの中心地を南北に結ぶ全長約21km、17駅で構成される予定だ。運賃は、ウットラ・ノース駅からアガルガオン駅まで片道60BDT。
開業は段階的に進められ、第1段階は2022年12月28日に約12km、ウットラ北駅-アガルガオン駅区間が開業した。2駅・午前中のみが開業され、2023年6月には、7駅・8時~20日(金曜日休業)と、開通した駅数も増え、運行時間も長くなっている。
さらにこの6号線は、ダッカの中心地を南北に結ぶ全長約21km、17駅で構成される予定だ。支払いはSUICAやPASMOと同じ非接触ICカード技術方式が導入され、関係機関が発行する交通系ICカードを利用して乗車できる。これらの例を含め、組織体制や法整備、安全運行、駅周辺開発に関する技術協力など、日本は様々な面から協力を行ってきており、日本の技術やノウハウを活用するかたちで同路線が整備されてきている。
バングラデシュメトロに乗ってみて
2022年12月28日のバングラデシュ初となるメトロの開通は、地元の人たちからの注目を浴びている。通勤で使っている人もいるが、週末等は家族や友達と一緒にメトロに乗ることを目的とした観光客でもにぎわっている。沢山のバングラデシュ人がメトロの電車がくるなり写真を撮って記念撮影をして楽しんだり、乗車した際には窓からの景色を見て、母国の発展に感動している印象だった。
日中車で約1時間半の道のりを約10分で移動することができ、さらに10分ごとに時間通りに運航している交通機関は他にない。今後メトロまでの交通手段が増えることで利用者が益々増え、バングラデシュの交通渋滞緩和への契機となるだろう。
今後への期待
バングラデシュは近年、年平均6%を超える堅調な経済成長を続けている。人口は、約1億6,500万人と世界8位であり、首都ダッカは2,000万人を抱える世界有数の大都市であることから、経済開発への期待が高まる一方で、急速な経済発展・人口増加による交通渋滞や大気汚染等が課題ともなっている。
このメトロの開通によってバングラデシュの課題である交通渋滞と大気汚染の状況の改善に期待が高まっている。今後も引き続きバングラデシュの交通インフラ整備に注目していきたい。