マレーシア自動車事情:国内自動車メーカーの台頭と魅力的な選択肢
東南アジアはどの都市も交通渋滞がひどいことで有名です。
タイのバンコクやインドネシアのジャカルタ程ではないにしろ、マレーシアのクアラルンプールも渋滞が激しく、また、年々ひどくなっています。
クアラルンプールは人口200万人に迫るマレーシア第1の大都会ですが、急速に発展したため鉄道網の整備が追い付かず、東京や隣国のシンガポールとは違って自動車がなければ生活が成り立ちません。
今回は、そんなマレーシアの車事情について紹介します。
マレーシア自動車事情:国内自動車メーカーの台頭と魅力的な選択肢
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年9月14日
どれくらい車が走っているの?
2020年12月時点で、マレーシア陸運局(JPJ)で登録されている車は1,700万台を超えており、乗用車の総台数は東南アジアでインドネシアに次ぐ2位です。
年間の販売台数は、2021年には約51万台、2022年には前年比41.6%増の72万658台となり、過去最高を記録しました。
(出所:マレーシア自動車連盟(MAA)データ)
私の身近なところでいうと、夫婦共働きが多く一家に2台という家族がほとんどで、多くのコンドミニアムでは1世帯1台しか駐車場に置けないので、コンドミニアムの周りの路上に駐車している状態です。
どんな車が走ってるの?
東南アジアというと圧倒的に日本車が走っているイメージがありますが、マレーシアはどうなのでしょうか。
実は、マレーシアには東南アジアでは珍しく国産自動車メーカーが2社あり、かなり力を入れています。
1社は「プロトン」で、1983年、当時の首相マハティール氏の自動車国産化構想に基づき設立され、三菱自動車と資本、技術提携されてましたが、現在は中国の吉利汽車が49.9%の株式を保有しており、事実上中国企業傘下となっています。
もう1社は「プロドゥア」で、1993年に第二の国産メーカーとして設立され、マレーシア企業とダイハツ自動車も資本参加しました。2005年に発売となったMyvi(マイヴィ)は大ヒットし、現在マレーシアで販売される車種別で1位でもはや国民車ともいえます。
シェアでは「プロドゥア」が41.6%と断トツで首位で、2位にホンダで17%、3位はトヨタで11%、4位にプロトンで9%、5位は日産となっており、国産メーカーで販売台数の半数を占めており、マレーシアにとっても重要な産業の1つとなっています。
(出所:マレーシア自動車連盟(MAA)データ)
自動車のコスト
クアラルンプールは世界の他の54の都市と比較して、新しい中型車を購入するのに5番目に高い都市であると発表されました。ちなみに1位はシンガポールが断トツで、7位に東京が入っています。
(出所:Deutsche Bank’s “Mapping the World’s Prices” 2019)
経済レベルや生活レベルを考えると、とてつもなく高いというのが実感です。
人気車のプロドゥアの Myvi の1,500cc がRM 50,000 (125.5万円)程度で、日本人に人気のトヨタのカローラの1,800ccが RM 124,000 (316.2万円)です。
交通ルールとマナー
マレーシアの交通ルールは、基本的に日本と同じなので日本人にはありがたいですが、日本にはない「ラウンド・アバウト」という交差システムがあり、最初は戸惑います。
運転マナーは残念ながら非常に悪く、最新情報ではマレーシアは世界の危険運転ランキングでワースト8位に入っています(出所:ズトビ社発表)。
右左折の時にウィンカーを出さない車がほとんどですし、割り込みも頻繁で、中でもバイクの運転マナーは悪く、どんな隙間にも割り込もうとしてくるので、バックミラーをよく見て急激にハンドルを切らないことが重要です。
車検・自動車保険・自動車税など
マレーシアでは車検制度がないので、車は自己管理をする必要があります。年中高温で、街路中にHump と呼ばれる減速させるための凸状の帯があるのでタイヤの消耗も早いです。販売店で定期的(半年点検)に点検するのがいいでしょう。
マレーシアの自動車保険は、強制加入は対人保険だけですが、車両保険・対物保険も加入したほうがいいです。
また、最近はクアラルンプールでもちょっとした雨で洪水が発生し、車が水没することが多いため、洪水用の保険もおすすめです(私も去年から購入しています)。
自動車税(ロードタックス)は半年または1年毎で、JPJ(道路交通局)か郵便局で支払いができます。
新しい交通ネットワーク
現在首都クアラルンプールでは公共交通機関網を整備中で、KTMとMRT、LRTやモノレールによって主要エリアが結ばれるようにしています。
これを補完するように「rapid KL」と呼ばれる路線バスがあり、近年では配車サービスも数社運営していて、市民の足となっています。
あらゆる交通手段がうまく機能しあい、安全で豊かな都市となることを夢見ています。