マレーシア在住の日本人が解説:マレーシアのコロナ対応の実際

コロナ時代

「パンデミック」から「エンデミック」へとコロナの新たなステージに移行したマレーシア。
現在(2022年3月31日)までの累計の感染者数は4,183,359人で、死亡者数は34,939人(出所:REUTERS)。コロナ追跡アプリの常時使用やマスクの着用等の新生活様式は継続していますが、生活はほぼ以前通りに戻りつつあります。

本記事では、気になるマレーシアのコロナ対応の実際をお伝えします。


マレーシア在住の日本人が解説:マレーシアのコロナ対応の実際

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2022年4月13日

迅速な対応

マレーシアで最初の感染者が確認されてから2年と少し。
アジア地域の他国と比べて、マレーシアのコロナに対する対応は全般的に非常に迅速でしかも厳格でもあったとも思う。

強烈だったロックダウン

最初の感染者が確認されてから1か月後、首都圏における宣教活動に端を発した第二波は、活動の参加者数の多さや、参加後の行動確認の困難さに加え、参加者からの第2、3次感染もあり、一気に感染が広がった。
そこで政府は、2020年3月18日に全土に「移動(活動)制限令(MCO)」、いわゆるロックダウンを発令した。これは、文字通り特定業種(フロントライナー)を除く政府・民間の活動の停止を強制するもので、一時は生活必需品の購入の際も一家で一人のみが外出でき、距離も自宅から10Km以内と制限された。違反者には最大で2万円以上の罰金と最大6か月の懲役が科せられ、大臣さえも捜査・摘発された。
感染者が集中したエリアでは、軍隊と警察がバリケードを張り、対象地域を完全に外部から隔離する厳しさだった。
その後制限は若干緩和されたが、最近まで、基本的には州を越える活動は禁止され、通勤も雇用主のレターがなければ許可されず、警察の許可を取らねば検問を通過できなかった。

アプリで行動管理

政府は、感染拡大早期にいち早くコロナ感染対策用のアプリ「マイスジャテラ」の導入を義務付けた。建物や店舗に入る際にスマホでQRコードを読み取ってもらうことで個人情報を登録し、感染者発生時に濃厚接触者を追跡できるようにした。同時に体温の検温も義務付けられた。
アプリは頻繁にアップデートされ、未アップデートのアプリのままだと入店を拒否された。アプリではホットスポット(感染者多発エリア)も確認でき、私も常時自分の住むエリア、勤務エリアの感染状況を確認していた。

ワクチン接種管理にも応用

このアプリは、ワクチンが登場するとワクチン接種の管理にも応用され、接種希望を入力すると、決められた接種順に接種日の連絡がされた。接種後は、ワクチン内容がワクチンパスポートとして記録され、ワクチン接種の有無でステータスが色付けされ、未接種者は多くの場所への出入りが制限された。

SOP(標準作業手順)の順守

MCOの緩和による社会活動、経済活動の再開に際し、厳格なSOPが示され、順守が義務付けられた。公共の場でのマスク着用やソーシャルディスタンスの確保、衛生習慣の奨励や集会の禁止等が幅広く規定され、守らないと最大20万円強の罰金が科された。

感染時の対応

最近、私自身もコロナに感染し、やっと回復してきている。
現在では、感染しても症状がひどくなければ、基本的には自宅での療養となっている。
検査キットでの陽性確認(以前はPCRでの確認だったが、オミクロン以降は検査キットも承認)後、上記のアプリで報告。アプリのステータスの色付けが赤に変わり、あらゆる場への出入りが禁じられる。
その後隔離が解けるまで(ワクチンの接種状態で日数が違う)1日2回、アプリでの報告義務があり、咳や熱、嘔吐や息苦しさ等の症状の有無、パルスオキシメーターの数値、体温、血圧等の報告をし、簡易検査キットで検査結果の報告をする。

まとめ

ロックダウンという鮮烈・強烈な対応で感染拡大を防いだマレーシア。
これに国民が粛々と従ったのには正直びっくりしたが、それ以上に、厳格なSOPをいまだに順守し続けるのは意外だった。人種も民族も違う人々が最近では融合できずに政変なども続いていたが、危機時のまとまりには感心した。
その意味でも、コロナ後のマレーシアは、いい形に変革されるのではなかろうか。


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