格安で英語留学ができるフィリピン「0円留学」の謎に迫る!

フィリピン

欧米諸国よりも比較的安く英語留学ができることで人気を博しているフィリピン留学。近年では、より安く留学をしたい方向けに「0円留学」という制度を取り入れる語学学校も増えてきています。「0円」と聞くと怪しいイメージが強いですが、巷で人気の制度として根付きつつあります。そこで今回は、フィリピン留学の中でも特に気になる「0円留学」という制度について、またこの制度を利用することで優良人材の確保に活かせる可能性についてご紹介いたします。

格安で英語留学ができるフィリピン「0円留学」の謎に迫る!

   著者:フィリピンgramフェロー たこ坊
公開日:2023年 12月29日

フィリピン留学の現状

近年、「格安で英語留学ができる」という謳い文句とともに人気上昇中のフィリピン留学。コロナ禍とともに一度は衰退したものの、コロナ禍が明けて以降、再び勢いを増しています。コロナ禍では、フィリピン国内のロックダウンの影響で入学できないまま帰国となってしまった生徒たちに、事前に受け取っていた授業料等を返金しないまま持ち逃げした学校などもあってネガティブイメージが流布したものの、いまだに人気は衰え知らず。一般社団法人海外留学協議会(JAOS)によると、2022年に海外留学をした日本人の数が29,505人、そのうちフィリピンへ留学した人数が7.3%の2,160人となっています。コロナ禍以前の2019年には8,232人がフィリピン留学に行っていたため、航空券の価格などが落ち着けば、再びコロナ禍前の水準まで戻るのではないかと筆者は期待しています。

(引用元:一般社団法人海外留学協議会 JAOS :一般社団法人海外留学協議会(JAOS)による日本人留学生数調査 2022(PDF)
https://www.jaos.or.jp/wp-content/uploads/2023/05/2022JA

(引用元:一般社団法人海外留学協議会 JAOS :一般社団法人海外留学協議会(JAOS)による日本人留学生数調査 2019(PDF)
https://www.jaos.or.jp/wp-content/uploads/2020/01/20191

フィリピン留学のメリットとしては主に3つあり、「欧米諸国よりも安く留学できる」「マンツーマンレッスンを受けることができる」「学生寮がキャンパス内にあることから安心して滞在できる」という点が挙げられます。欧米諸国(アメリカ、オーストラリア、カナダ等)で留学する場合は1ヶ月50万円~60万円ほど必要と言われていますが、フィリピン留学の場合は25万円~35万円程度あれば収まるため、15万円以上の節約が可能となります。また、欧米出身のネイティブ講師を採用している学校も多いことから、欧米諸国に行くよりも安くネイティブ講師の授業が受講できるのも魅力のひとつです。

現在フィリピンに在住する筆者がフィリピン生活を始めたキッカケもこちらのフィリピン留学でした。

(ソース:SchoolWith 海外留学の総合エージェント 期間別フィリピン留学の費用まとめ https://schoolwith.me/countries/PH/expenses_all

0円留学とは?

そんなフィリピン留学ですが、最近複数の学校で開始しているサービスのひとつに「0円留学」というプログラムがあります。

「0円」と聞くと「何それ、怪しい」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、こちらのプログラムについてご紹介します。

「0円留学」とはその名の通り、0円で留学できるプログラムです。しかし、留学に関わるすべての費用が無料というわけではなく、無料となるのは主に授業料に加えて寮費、食費、掃除・洗濯などの生活費のみで、その他の航空券、ビザ代、空港までの送迎費用などはご自身でお支払いいただく必要があります(※学校によって異なります)。

もちろん、誰でも参加できるわけではなく、面接などを通して選ばれた方のみが参加できる制度となっています。「それなら学校側はどうやってマネタイズするの?」と疑問に思いますよね。学校側のマネタイズの仕組みについて説明します。

学校によって多少内容は異なりますが、基本的には「1日4~5時間インターン業務をする代わりに、授業料・寮費・食費などが無料になる」というサービスとなっています。つまり「1日5時間のインターン業務」から学校側はマネタイズできるということがわかります。それでは、どういった業務をするのでしょうか。もちろん、マネタイズする必要があるので、簡単な仕事ではありません。よく見かける業務内容としては下記の通りです。

・インフルエンサーとしてSNS発信
・学校スタッフとして業務を担当
・提携先企業の業務(コールセンターなど)

インフルエンサーの「0円留学」はご想像の通り、フォロワー数の多いインフルエンサーが学校の宣伝をすることで、案件費用を受け取る代わりに滞在費および授業料が無料になるというサービスです。学校スタッフ業務は、主にフィリピン人講師や日本人スタッフの授業管理や日常のお世話をする業務となります。

学校側としては人件費をかけずに講師や生徒のマネジメントができるというメリットがあります。最後に、提携先企業の業務に関してですが、こちらはほとんどがコールセンターとなります。フィリピンといえば、日本人詐欺グループの摘発がよくニュースでも取り上げられています。

それもあって「フィリピンにあるコールセンターで仕事をする」と言うと周囲から引き留められることも少なくないと思います。しかし、語学学校と提携しているコールセンターはもちろんクリーンな企業ですので、ご心配は無用です。

マネタイズの仕組みとしては、インターン業務で得られた収入から授業料および生活費用を企業から学校に支払うという流れになります。収入が少なければもちろん赤字になることもあるので、インターン生が業務にしっかり取り組むように厳しく管理する企業もあります。

(ソース:AHGS English Academy 0円留学 https://xn--0-k47a861ag50a.com/

(ソース:PR TIMES :2023年QQEnglish【インフルエンサー留学】募集開始のお知らせ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000016874.html

(ソース:Face to Face English School :大募集!「0円インターン留学」 https://f2fenglish.jp/10434

0円留学制度を利用した人材確保

上記でご紹介した「0円留学」をフックとして、人件費を抑えつつ優良な人材を採用しようと取り組んでいる企業もあります。テレワーク可能なポジションでインターン人材を採用し、研修制度としてフィリピン留学を導入。フィリピン国内の語学学校と提携し、フィリピン現地に滞在させながら半日は英語の授業を受講させ、半日はインターン業務に取り組ませる。

企業が学校側へ支払う費用としては、約半日分の授業料と現地での生活費のみ、通常の語学留学費用よりも安くなり、おおむね10~15万円/月前後だと予測されます。

日本で探すよりも安く、かつグローバルな目線を持った人材を確保することが可能となります。

まとめ

フィリピン留学の人気上昇とともに新たに始まった格安留学制度「0円留学」の仕組みについて紹介しました。生徒側のメリットとしては費用を抑えて海外生活体験および英語授業を受講できること、学校側のメリットとしては、人件費を抑えて学校運営スタッフを採用したり、マーケティングの際のフックのひとつとして利用できることなどが挙げられます。

アウトソーシング事業等に携わられている企業様には、人件費を抑えつつグローバルな目線を持った優良な人材を確保する手段のひとつとして、また今後の新たなビジネスに繋がるアイデアとしてぜひ参考にしていただければと思います。

たこ坊

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フィリピン在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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