「Grab」が世界のトップ100企業に選出!その成功の鍵とは?

マレーシア

シンガポール拠点のマレーシア発配車アプリの「Grab」が、米タイム誌の2023年版「世界で最も影響力のある100社」に輝きました。

「Grab」は以前にも2度取り上げましたが、今回はそのスーパーアプリとしての強力な側面がますます発揮され、世界的な優れた企業として選出されました。そこで本稿では、「Grab」について再び詳しく探ってみたいと思います。

マレーシア発配車アプリGrab  最も影響力ある100社に選出  

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年8月31日

破壊的創造をもたらす企業

タイム誌が選定する「世界で最も影響力のある100社」は、企業の影響力、業績、イノベーション、野心などを評価基準としています。今年で3回目のリストが発表される中、「Grab」はシンガポール拠点から出発し、東南アジアの各国でモバイルアプリを駆使して配車や料理の宅配など多岐にわたるサービスを提供しています。

今回の3度目の選出で、「Grab」は”ディスラプター(最新技術を活用して産業に革命をもたらす企業)”部門で選ばれました。

デジタル経済への貢献

2022年、近距離無線通信技術であるNFC(Near Field Communication)機能の追加が行われました。これにより、従来は料金所やガソリンスタンド、コンビニでのチャージが必要でしたが、スマートフォンのeウォレットアプリを通じていつでもどこでもチャージが可能になりました。

当初、NFCカードの供給量が限られていたため、Touch’n Goの販売オフィスでは長蛇の列ができ、オンライン販売も大変な人気でした。

シンガポールで利用可に

「Grab」は「GrabMerchant Commerce」プラットフォームを立ち上げ、小規模事業者の電子商取引(EC)サイト構築を支援しています。同時に、ブランド開発、マーケティング、在庫管理などもサポートすることで、東南アジアのデジタル経済の普及に寄与していると発表しました。

強い使命感

「Grab」のCEOであるアンソニー・タン氏は、「Grabは金銭を追求するのではなく、使命を追求する」と述べています。

また、「Grab」はアジア地域の8か国に500以上の都市を擁し、この地域で銀行口座を持たない人々が70%にも上るなど、金融アクセスの制約が存在します。このため、「Grab」はデジタルバンクを開始し、金融取引を促進し、中小企業の参入を支援して賃金と生活水準の向上を目指す使命感を強調しています。

社会の安定を築く

東南アジアの労働力の約70%が非正規労働者とされ、デジタル経済へのアクセスを改善することで経済成長と公平性をもたらし、すべての人々が潜在能力を最大限に発揮できるようにすると述べ、地域の安定に寄与する姿勢を示しています。

地域適応

10年以上前、企業は「グローカル」というコンセプトでアジア市場に進出し、地域の環境やニーズに適切に対応して成功を目指しました。

しかしながら、現在ではアジア地域全体で共通する特性が見られ、個々の国の違いや格差が縮小してきています。このため、地域の共通性に基づいたアプローチが重要とされています。

日本企業は対応できるのか?

残念ながら、日本の企業はこの新しいメインストリームに対応しきれていないと、マレーシアに住んで、アジア地域を移動していると強く感じます。

アジア地域の特性を鋭くつかみ取り、迅速に意思決定を下し、試行錯誤を良しとし、アジア地域の安定と発展のために強い使命感を持って挑む、そんな企業や個人が数多く進出するのを強く望みます。

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