ユニコーン企業誘致に本腰、マレーシア政府の投資促進策|マレ―シア
マレーシア政府は、ユニコーン企業やベンチャー企業の誘致に向けた新たなプラン「KL20アクションペーパー」を発表しました。同プランでは、新設の「イノベーションパス」を通じて優遇ビザの発給や税制優遇など、企業や起業家に手厚い支援を提供します。家族への配慮も込められ、マレーシアへの移住を後押ししています。
このような施策は、マレーシアが多様な企業の投資を呼び込み、イノベーションと経済発展の核となることを目指していることを示しています。同国が持つ多民族が共存する社会や、製造業を中心とした経済の多角化など、投資に適した環境も整っています。
今回はこの記事を紹介するとともに、企業投資に関するマレーシアの優位性について解説します。
クアラルンプールをスタートアップ・ハブのトップに
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年6月13日
KL20アクションペーパー
KL20アクションペーパーでは、テック系企業やスタートアップ向けのビザ「イノベーションパス」を新たに発行して、優遇措置を提供しています。
新しいパスは「創業者・起業家」「経営幹部」「高度人材」「一般人材」という4つのカテゴリーに分かれています。
優遇措置
新たなパスにはさまざまな優遇措置があります。
「一般人材」のカテゴリーでは2年間、その他の3つのカテゴリーでは5年間のビザが発給されます。
「創業者・起業家」および「経営幹部」向けのパスでは、配偶者も就労が認められます。
現在、企業の駐在員や現地採用者向けに発給されている雇用パスでは、就労先とひも付けされているため、失業時には国外退去までの猶予期間は設けられていません。新たな「高度人材」と「一般人材」向けのパスでは、失業時も最大90~180日間の国外退去までの猶予期間が認められます。
マレーシアへの移住促進
今回の新しいパスでは帯同する家族のケアにも力を入れています。
新しいパスでは、全てのカテゴリーに対して2週間の「配偶者プログラム」が提供されます
このプログラムで、海外からの移住者にとって必要とされる内容
・マレーシアのライフスタイルや文化の紹介
・労働習慣の紹介
・移住経験者の紹介
・キャリア構築のコンサルティング実施
・リクルーターや人事担当者の紹介
・託児所や語学学校の紹介
など、非常に手厚いサポートが提供されます。
税制優遇も
このKL20アクションペーパーでは、ビザ取得にかかる手数料を免除したり、パス取得者の家賃を補助したり、さらに税制面でも進出企業に優遇を与えています。
人材育成プログラム、資金調達プログラムなどの整備に向けても多くの施策が盛りこまれています。
企業投資への環境が整っているマレーシア
マレーシアは企業投資に関して多くの優位性を有しています。
今回の新たなプランだけではなく、マレーシア政府は新興企業やスタートアップを呼び込み投資を促進し、さらに企業を育成するためにさまざまな政策や優遇的なプログラムを実施しています。
以前の記事でも紹介しましたが、テクノロジーハブを設立してテクノロジー関連のスタートアップの補助を行っています。さらに、イノベーションや研究開発分野への助成金や補助金を提供するなどの支援も行っています。
経済も多様性に満ちている
マレーシア社会の特徴は、さまざまな民族がそれぞれの文化や生活を大事にし、他の文化に対しても寛容な気持ちを持っていることです。
その影響か、経済も非常に多様性に満ちています。
製造業、サービス業、農業など、さまざまな分野に経済が広がっており、特に自動車や電子機器の分野では、世界的にも強力な競争力を持っています。
マレーシアは多国籍企業にとって大変に魅力的な投資先となっていて、新興企業やスタートアップにさらに魅力のある環境を提供し始めています。