マレーシアの国家的記念日:ナショナル・デイとマレーシア・デイ 

マレーシア

8月になると街のいたるところで目につくようになるのが、マレーシアの国旗です。立て続けに国家的記念日があり、国中がお祭り気分でいっぱいになる時期になります。
そこで今回の記事では、これら2つの国家的記念日「ナショナル・デイ(8月31日)」と「マレーシア・デイ(9月16日)」について解説いたします。

ナショナル・デイとマレーシア・デイ

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2022年8月xx日

ナショナル・デイ

ナショナル・デイは、1957年8月31日に「マラヤ連邦(現マレーシアのマレー半島の部分)」がイギリスから独立したことを祝う日です。
この日はマレー語ではHari Merdekaといわれます。Hariは「日」、Merdekaは「独立」を意味し、直訳すれば「独立記念日」で、カレンダーには「National Day」と表記されています。
今年でマレーシアは65回目の独立記念日を迎えます。
この日、マレーシアの初代首相となるアブドゥル・ラーマン氏が、クアラルンプール市中心のメルデカ広場で、「Merdeka」と叫んで独立を宣言しました。その時の歴史的な写真はマレーシアでは非常に有名です。現在建設中のKL 118 とも呼ばれるムルデカ 118 は、118 階建て、高さ 678.9 メートルの超高層ビルで、世界で2番目に高いビルとなります。尖塔が北に偏っていて、これは隣接するムルデカ・スタジアムでのラーマン氏が独立を宣言したときの挙手をイメージしたといわれています。

マレーシア・デイ

マレーシア・デイは、1963年9月16日、サバ州、サラワク州、シンガポールがイギリスから独立してマラヤ連邦に加わり「マレーシア」という国ができた日を祝う日です。
9月16日が祝日として制定されたのは2010年で、比較的新しい祝日です。

2つの独立

マレーシアの建国から2年後の1965年、マレーシアから分離独立する形でシンガポールが建国され、現在に至っています。
つまり、マレーシアは建国の過程で2回の独立を経験しているため、「ナショナル・デイ」と「マレーシア・デイ」と表記することになったようです。

イベント

毎年8月になるとテレビやラジオ、スーパーなどで「マレーシア独立の歌」が、テレビでは『Merdeka! Merdeka! Merdeka!』のフレーズが一日中流されます。
モールやスーパーでは、「Merdeka Sale」が開催され、国民の楽しみのひとつにもなっています。
多くの国民(特にマレー人)が、自分の家や車にマレーシアの国旗を掲げてマレーシアの独立を祝います。また、毎年クアラルンプールでは国王(Agung)夫妻はもちろん、全閣僚、世界各国の代表者を招いて、独立を記念したイベントが大々的に開かれます。
独立記念日前日のカウントダウンは非常ににぎやかで、花火があちらこちらでひっきりなしに打ち上げられます。
一方マレーシア・デイの方は、今のところはそれほど大々的なイベントは行われていません。

マレーシアの国是

最近は報道でよくマレーシアの国是「ルクンネガラ(Rukun Negara: マレー語で「国家原則」の意味)」についてとり上げられています。
これは1969年に発生したマレーシアの民族間の対立「5月13日事件」として知られる、マレー人と中国人が衝突した深刻な人種暴動に対して、1970年のメルデカデーに制定されたマレーシアの国家哲学宣言のことです。「神への信仰」「国王と国家への忠誠」「憲法の尊重」「法による統治」、そして「良識ある行動と道徳心」の5つを指しています。
マレーシアは多民族国家で、それぞれの民族が言語や宗教、文化、伝統を守りながら暮らしており、それぞれの民族のアイデンティティーを尊重しながら、ひとつの国家として調和や発展を目指しています。この難しい課題に取り組み続けるため、マレーシアはこの国是を掲げています。
今、世界で分断が広がる中、あらためてこの理想への深い理解が必要だと強く感じています。


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