マレーシアの医療ツーリズム|アジア有数の治療拠点へ
マレーシアは、シンガポールやタイ並びにアジア有数の医療ツーリズム拠点です。コロナ前は年間130万人が利用し、高い技術と手頃な費用が人気の理由です。政府は2025年に550億円の収益回復を目指し、医療インフラ整備を進めています。日本人医師の駐在も増え、マレーシアを拠点に活躍する人もいます。日本の医師余り問題を踏まえ、海外で活躍する機会が広がれば、マレーシアは有力な選択肢となるでしょう。アジア有数の医療ツーリズムのハブとして、日本人医師の活躍にも注目が集まります。
そこで今回は、マレーシアの医療ツーリズムについて解説します。
マレーシアの医療ツーリズム|アジア有数の治療拠点へ
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年5月23日
- 2026年3600万人突破?マレーシア観光戦略
- アジア経済の未来図:マレーシア・シンガポールSEZが示す新たな協力モデル
- エアアジア「世界最高のLCC」15年連続受賞|その秘訣と業界への影響
- 急成長するマレーシアのキャッシュレス市場:世界第3位の成長率の秘密
マレーシアの医療ツーリズムの市場規模
2019年、マレーシアは130万人の医療ツーリズムの人々を受け入れ、合計 17 億リンギット (約550億円) の病院収入がもたらされました。
しかし、2020年と2021年はコロナに伴う国境閉鎖により、大きな損失を記録しました。
政府は、医療ツーリズムの市場規模は低下しているが、短期から中期的に回復すると予想しており、2025年に17億リンギット (約550億円) の収益回復を目標に掲げています。この5年間でマレーシアを主要な医療ツーリズムの旅行先として確立させるため、政府は国のヘルスケア業界にバリューチェーンに関する明確なガイドを示しました。
また、マレーシアは2020年に「Health and Medical Tourism: Destination of the Year(健康及び医療観光地)」の世界1位のタイトルを獲得しました。このタイトルを獲得するのは4回目になります。
マレーシアの優位性
マレーシアにおける医療ツーリズムの魅力は、何といっても高い医療技術を比較的安価な治療費で受けられる点にあります。病院を含めたインフラ整備はアジア諸国の中でもトップレベルで、大きな私立病院であれば設備は十分に整っています。また大体の診療所や病院で英語・中国語・広東語が通じるので、アジア圏を中心に外国人も安心して受診できます。
さらに海外旅行傷害保険に加入していれば、キャッシュレスで受診できます。
アクセスの良さも魅力で、LCCの充実も人気を高めている理由のひとつでしょう。
医療技術が欧米諸国と同等のレベルであれば、患者数が増えるのは必然的と言えます。
日本人医師進出も
お隣のシンガポールでも国家ぐるみで医療ツーリズムを推奨していて、医師不足の解消と高度な医療水準維持のため、外国で取得された医師免許(条件付き)を認めて世界各国から優秀な外国人医師を招致しています。
ここ数年は日本人医師が常駐するクリニック、日本人スタッフが勤務している私立病院も増えています。
また、医師ではありませんがマレーシアを拠点に医療ツーリズムのオンラインブッキングサイトを運営する会社を興した日本人もいらっしゃいます。
日本人医師の国際的な活躍
少子化が進む日本では、近い将来「医師余り」に陥ることが予想されています。
日本人医師が世界で活躍しているという話はあまり聞きませんが、日本人医師が世界トップレベルの医療技術を発揮していくには、国内だけでなく海外で働くことも視野に入れるべきでしょう。製造業で世界を席巻した日本ならば医療分野でもそれは可能なはずです。
多くの日本人医師が世界の医療の良いところや悪いところを実際に経験して、水準の高い医療サービスを提供する「医療ツーリズム」において、日本人医師の国際的活躍がもっと見られるようになることを期待します。