東南アジアの新規株式公開(IPO) マレーシアがトップ

マレーシアの地元紙「The Edge Malaysia Weekly」によると、マレーシアの新規株式公開(IPO)の件数は2024年に2005年以来最高レベルに達し、取引件数では東南アジア地域トップとなったことがわかりました。
マレーシアが東南アジアのIPO大国として現在台頭していますが、今回の記事ではその背景について解説します。

東南アジアの新規株式公開(IPO) マレーシアがトップ
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年7月6日
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最高記録

2024年はマレーシアのIPO市場にとって例外的な年となりました。
2024年の上場件数は55件と2006年以来の最高記録であり、総額74億2,000万リンギット(約2,547億円)が調達されました。
時価総額は313億7000万リンギット(約1兆770億円)に達し、2023年と比較して130%の増加となり、2017年以来の最高記録でした。
マレーシアが最高件数
2024年に東南アジアの主要6カ国(シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイ)で実施されたIPOは前年比で17%減の136件で、件数ではマレーシアがトップの55件、次いでインドネシアが41件、タイが32件でした。
専門家によるとマレーシアの投資家の関心は強く、外国人投資家の積極的な参加によってIPOは支えられ、応募超過率が200%を超えていると強調しています。
代表的なIPO事例
マレーシアのIPO市場は近年、活発な動きを見せています。以下に、2020年以降の代表的なIPO事例をご紹介します。
①ミスターDIY
マレーシア最大のホームセンター・チェーンで、2020年10月にマレーシア証券取引所に上場しました。
このIPOでは約15億リンギット(約460億円)を調達し、同社の市場価値は約106億リンギット(約3,250億円)と評価されました。
上場後も積極的に店舗網を拡大しており、現在ではアジア全域で2,000店舗以上を運営しています。
②99スピードマート
マレーシアの小売大手である99スピードマートが、2024年にIPOで約23億6,000万リンギット(約768億円)を調達し、過去7年間でマレーシア最大規模となりました。
調達した資金は小売ネットワークの拡大や新たな流通センターの建設、配送トラックの増強などに充てられる予定で、同社は2025年末までに店舗数を現在の約2,600店から3,000店に増やす計画を立てています。
マレーシアのIPO市場が好調である背景
他の東南アジア諸国と比較してマレーシアのIPO市場が好調である背景には、以下の要因が挙げられます。
①多様な産業構造と上場企業数の多さ
マレーシアの株式市場は、製造業、サービス業、消費財など多岐にわたる産業で構成されており、上場企業数も多いことが特徴で、その多様性が市場の安定性と成長性を支えています。
②投資家にとっての魅力的な市場環境
マレーシアの株式市場は国際会計基準など国際基準を採用しており、外国企業にとって上場しやすい環境が整っています。また、政府は外国企業の上場を促進するため、投資銀行などと協力し、中国、ベトナム、インドネシアなどの企業の上場を模索しています。
③消費関連セクターの活況
2024年のIPOのうち、消費関連セクターが件数・調達額ともに最も多く、全体の46%を占めています。特にマレーシアでは「99スピードマート」など、消費関連企業の活発なIPO活動が市場を牽引しています。
さらなる発展が期待
マレーシアのIPO市場は多様な業種で活発に展開していて、特に小売業やエンジニアリング分野での大型IPOが市場の注目を集めています。今後もマレーシアの経済成長と合わせてIPO市場のさらなる発展が期待されます。