世界トップクラスの経済成長率|フィリピンの一人当たりのGDPについて
2023年、フィリピンはアジア太平洋地域で最大の新興市場のひとつとなり、世界でも有数の開発途上国として認識されています。1人当たりのGDPは過去20年間で劇的に上昇し、2000年頃と比べると現在は約2.5倍まで増加しています。
今回はフィリピンが世界の中でもトップクラスの経済成長を成しえた理由、また今後のフィリピンの1人当たりのGDPの推移について解説致します。
世界トップクラスの経済成長率|フィリピンの一人当たりのGDPについて
著者:フィリピンgramフェロー アルト
公開日:2024年 1月30日
長年GDP1,000米ドル台だったが現在は3,500米ドル台
フィリピンの1990年〜2009年までの約20年間の1人当たりのGDPは、1,000米ドル台(約250,000円)をキープした上昇水準でした。しかし、2010年以降はアジア太平洋地域の新興市場の中でも大きく成長し、現在は約3,500米ドル(約525,000円)となりました。2010年以降の年間の上がり幅は約200米ドル~300米ドル(約30,000円~45,000円)と新興国トップクラスの上昇水準で、2019年は3,414ドル(512,100円)、前年比6.86%増加の成長でした。
世界的に流行した新型コロナウィルスの影響を受けなければ、既に4,000米ドル(約600,000円)に到達していたと、上記の情報を元に算出できます。
(引用元:The World Bank https://data.worldbank.org/indicator/NY.GDP.PCAP.CD?locations=PH)
1人当たりのGDPが成長した2つの大きな要因とは
1、BPO産業の拡大
ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO) がGDPの成長に重要な役割を果たしてきました。BPOビジネスはフィリピンのサービス業界全体の数値として大幅な割合を占めており、1980年から2020年までに36%から60%以上に増加しています。フィリピンがBPO部門を成長させることができたのは、フィリピン最大のBPO市場である米国文化への関心と、英語を主とした必要な言語を話す専門家が国内に多くいたからです。BPO産業は毎年300億ドル(約4兆5,000億円)近くフィリピン経済に貢献しており、約130万人のフィリピン人が1,000社以上のBPO企業に雇用されていると推定されて、その数字は毎年8〜10%の増加をしていくと予想されます。
(引用元:Nextford University
https://www.nexford.edu/insights/the-future-of-bpos-in-the-philippines-and-growth-opportunities#:~:text=The%20Philippine%20BPO%20industry%20contributes,to%20the%20economy%20each%20year.)
)
2、OFWによる海外労働の増加
国外で働くフィリピン人労働者(Overseas Filipino Workers)の外貨獲得額が年々増えフィリピン経済の成長の後押しをしています。1980年は国内GDPのわずか1.93%でしたが1990年には3.3%、2000年には8.5%、2020年代にはGDPの約10%以上と増加を遂げています。現在、OFWによる外貨獲得額は年間総額380億米ドル(約5兆6,871億円)にまでのぼり、世界で5番目に高い成長率を維持しています。IMF(INTERNATIONAL MONETARY FUND)によると2022年度フィリピンGDPの約8.7%がOFWによる外貨獲得によって成り立っていると算出されており、今後も高い水準で成長し続けるとされています。
(引用元:Investopedoa https://www.investopedia.com/articles/investing/091815/emerging-markets-analyzing-philippines-gdp.asp)
2030年には1人当たりのGDP6000米ドルの予想?
2033年までにフィリピンは、中国・日本・インド・韓国・オーストラリア・台湾・インドネシアに加わり、アジア太平洋地域の1兆ドル経済規模のグループの1国になると予測されています。 フィリピン経済の力強い成長により今後1人当たりのGDPは2022年の3,500米ドル(約525,000円)から2030年までに6,200米ドル(約930,000円)に到達すると言われています。
あとがき
1980年代までは政治的混乱や経済危機の影響で1人当たりGDPの成長率は低下しましたが、1990年代以降の民主化の進展や経済改革の実施、ASEAN経済共同体(AEC)の成立などにより再び成長軌道に乗りました。2023年以降もSEAN諸国の中で高い水準で成長するとされていますので、今後のGDPの成長率に注目が集まることでしょう。