ポイ捨て取締り強化!シンガポールで食堂の衛生状態向上へ

シンガポール

シンガポール国家環境庁(NEA)と食品庁(SFA)は、公共の食堂でのポイ捨て行為や使用済みトレイの返却義務を徹底するため、取締りを強化すると発表。特定地域には監視カメラも導入し、規制を強化します。シンガポールは世界最高の公衆衛生管理国として知られ、ゴミ問題に取り組む取り組みも進めています。国内ではトレイ返却率が90%に向上し、利用者の意識改革に成功しています。
ゴミ問題は国内外で共通の課題であり、シンガポールの対策は他国にも参考になるでしょう。
今回はこの規制についてと、世界で一番清潔な国と評価の高いシンガポールのハイテクゴミ対策について解説します。

シンガポール、ゴミ問題に取り組むハイテクゴミ対策の実態とは? 

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2023年5月29日

衛生状態を良好にたもつ

ホーカーセンターでは2021年9月1日から、コーヒーショップとフードコートでは2022年1月1日から、テーブルのポイ捨てを抑制する取り組みを開始しました。ホーカーなどの良好な衛生状態を促進することに貢献し、社会的な責任を国民に知らしめるための取り組みの一環として始まったものです。 

少数の非常識な行動を抑制

使用済みのトレイや食器の片付けを利用者に促し、忠告を拒否する者には書面による警告が発行され、再犯者には罰金300シンガポールドル(約3万円)が科されるか、裁判所に起訴されます。

2023 年3月 31 日現在で、書面による警告が 2 回のみで、罰金を科されたり法廷で起訴されたりした人はいません。

ただ、 2020年には約1万9,400件の違反切符が発行され、翌2021年は約1万5,500件、2022年はポイ捨てと高層階のごみの投棄に対して約2万1,200枚の違反切符を発行しています。違反は増加傾向にあり、少数の非常識な行動を抑制するために今回規制が強化されます。

公衆衛生度は向上傾向に

国家環境庁 (NEA)によると、ホーカーで食事をする人のトレイと食器の平均返品率は、2021 年8 月の 65% から現在は約 90% に増加しており、コーヒーショップやフードコートでは約90% となっています。

シンガポール管理大学の公衆衛生満足度調査でも、約95% の利用者が使用済みのトレイや食器を常に返却していると示されており、2021年の調査では58%の回答者が利用者各個人がトレイと食器の返却に主に責任を負っていると感じていたのに比較して、2023年の調査では84%と数値が向上しています。

世界で最も衛生管理に厳しい国

シンガポールはゴミのポイ捨てにも罰金を課すなど、世界で最も公衆衛生の管理に厳しく、それが人気の理由にもなっています。世界中の国々がゴミの削減や処理対策を迫られていて、それはシンガポールでも社会の重要な課題になっています。

国内のゴミ埋立地は、本島から8kmの南にある面積約3.5平方キロメートルの人工島で、世界初の人造オフショア埋立地であるセマカウ埋立地しかありません。

このごみ埋め立て地は、環境省によると、当初は2045年まで維持可能であると計算されていました。しかし人口の急激な増加や使い捨て製品の普及などにより、2035年にはその許容量を超えてしまうと予測されています。

ゴミのない社会(Zero Waste Nation)

シンガポールは、「ゴミのない社会(Zero Waste Nation)」を国家環境庁主導ですすめており、ゴミの「3R(Reduce:ゴミの削減、Reuse:再利用、Recycle:再資源化)」を推進しています。ただ、固形廃棄物全体におけるリサイクル率は約60%に留まっているのが現状で、先進的な技術を持つ民間企業と連携して、スピーディーな問題解決に取り組んでいます。

清潔な国をいかに保つか

世界の国々で社会問題化しているゴミ問題。
シンガポールは政府の強いガバナンスを活かして、国民の意識改革から始めて独自の解決法を模索しています。

「清潔な国シンガポール」をどうやって維持し、その名声を保っていくのか。

その動向は各国の参考にもなるでしょう。

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