2023年の観光収入が目標超え|シンガポール 

シンガポール

世界の旅行や観光がコロナ禍から回復をし、シンガポールの観光は2023年、海外からシンガポールへの訪問者数と観光収入の両方で好調な結果が示されています。

今回は、シンガポール観光の現状とシンガポール観光業の強みについて解説します。

2023年の観光収入が目標超え|シンガポール 

   著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2024年 4月5日

訪問者数は1,360万人

2023年の訪問者数は1,360万人にのぼり、シンガポール観光局(STB)が予測していた1,200~1,400万人を達成しました。過去最高の訪問者数であった2019年の1,910万人の約71%まで回復しています。

観光収入もアップ

観光収入は245億シンガポールドル(約2兆7,300億円)から260億ドル(2兆9,000億円)に達すると推定され、STBの予測(180億~210億シンガポールドル)を上回り、これは過去最高の2019年の観光収入の約88~94パーセントに相当します。

国別の訪問者数

訪問者数は230万人のインドネシアがトップで、中国が140万人、マレーシアが3位で110万人となり、日本は12位の43万人でした。

上位3国やオーストラリア、韓国、米国からの訪問者数は回復にあります。日本の訪問者数は前年比で228%増となったもののコロナ禍前の2019年と比べると48%にとどまり、回復には依然としてほど遠いようです。

STBによると、平均の滞在日数もパンデミック前に比べて長い3.8日でした。2019年の3.4日と比べて増加しています。

約1,500~1,600万人

2024年の外国からの訪問者数は約1,500から1,600万人と予測され、観光収入は260億シンガポールドル(約2.9兆円)から275億シンガポールドル(約3.1兆円)になると見込まれています。

ただ、STBは紛争などの不確実性や世界経済の状況の不透明性などの要因が、訪問者数に大きな影響を与えると見ています。

シンガポールは「観光長者」

以前の「中国からの訪問者のビザの免除措置を実施」の記事でも解説しましたが、シンガポールは極めて巧みな観光戦略を実施していて「観光長者」とも言われています。

東京23区ほどの国土面積しかなく観光資源には乏しい一方で、古くから東西貿易の要所として栄えた抜群の立地のため、政府はマレーシアからの独立当初から観光で外貨獲得を目指す施策を強力に推し進めました。

シンボルのマーライオン像やリゾートのセントーサ島などの観光施設を充実させ、受け入れ施設のチャンギ空港を積極的に整備してきました。

SARSから学ぶ

2003年、アジア地域を「SARS(重症急性呼吸器症候群)」の感染拡大が襲い、シンガポールも外国人訪問客数が激減しました。

これきっかけにシンガポールは「観光収入」の最大化にかじを切り、観光産業を以前以上に国家の収入の大きな柱にしていくことを目指しました。

特に注力したのが、国際的な会議や展示会の誘致です。

同時に、統合型リゾート(IR)で観光収入のアップを目指し、2ヶ所を開業して、実際に観光収入の増加に大きく貢献しています。

多岐にわたる観光の強み

シンガポールはさまざまな文化が融合した国際都市のため、チャイナタウンやリトルインディアなどには各宗教施設や文化的なスポットが多数存在しています。訪れる人々に多様な体験を提供し、独自の食文化とも合わせて、大きな魅力になっています。

また「ガーデンシティ」と呼ばれるその美しい都市景観と、世界でも有数の安全で清潔な環境は、観光客が安心して滞在できる空間を提供しており、観光の魅力のひとつにもなっています。

中国とビザの相互免除措置を開始したことで、さらに多くの観光客がシンガポールに訪れることでしょう。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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