2024年の経済成長予測 2.6%に引き上げ

シンガポール通貨金融庁(MAS)が先日発表した2024年の四半期の調査によると、2024年は国内総生産(GDP)が2.6%拡大するとされています。今回の成長は当初の予測よりも上方修正されています。
なぜ今、シンガポールの経済成長が拡大しているのか、シンガポールの産業構造を確認しながら詳しく解説します。
2024年の経済成長予測 2.6%に引き上げ
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年 2月28日
上方修正

当初2024年の成長率は2.4%と予測されていましたが、2.6%に修正されました。
主に金融や保険、建設、貿易や小売業などの分野を中心に目覚ましい回復力を示していて、予想を上回る対外成長を遂げているためです。
金融や貿易などのシンガポールの主要セクターの業績が好調であることは、投資家の信頼感の高まりを示しており、政府の金融政策に対する信頼感があって投資環境が安定していることが影響しています。
個人消費も大幅成長
最も大きな成長が見られたのは金融・保険部門で、前年比5.1%の成長予測に対して、20前年比5.7%の成長が見込まれています。卸売・貿易部門も前年比2.5%成長予測に対して前年比3%の増加が予測されており、建設部門も前年比3.9%に上昇しています。
個人消費も極めて好調で、6月の調査では前年比3.4%の成長と予測されていましたが、現在は2前年比5.5%の成長が見込まれています。
一方製造業は1.6%から0.6%に大幅に引き下げられました。
積極的な政策が奏功
経済成長予測の上方修正には、政府の積極的な支援政策が功を奏していると考えられています。
政府は「グリーン経済」の促進やデジタル化の推進など、持続可能な成長を目指した政策を強化しており、公共事業への投資を拡大しインフラ開発による雇用創出を目指しています。
また、シンガポールはアジア地域の金融ハブとしての地位を確立していて、銀行や保険業、資産運用セクターが引き続き成長を続けると見られています。
観光業の回復
シンガポールは観光業が重要な収入源であり、パンデミック後の旅行需要が急回復しています。
政府の積極的なプロモーション活動や国際的なイベントの開催が観光客を呼び込み、2024年は訪問客がさらに増加すると予測されています。
シンガポール製造業の強み
今回の予測では製造業はあまり芳しい予測ではありませんでした。狭い国土のシンガポールですが、実はMicron、Infineon、HPなどの先進的な世界的企業が集まり、ハイテク製品の生産拠点となっています。シンガポールは半導体の輸出や高度な医薬品の生産において、世界で重要な役割を果たしています。
日本の製造業は非常に広範囲な製造分野をカバーしていて、自動車産業や重工業など規模が大きく、多様な分野で強みを持っています。
一方、シンガポールはハイテク産業に特化しています。半導体やバイオテクノロジー、精密機械の分野では高い競争力を持っており、グローバルな貿易ハブとしての立地を活かして、製造業のサプライチェーンを効率的に管理しています。
国際的な貿易や物流の中心として機能し続けています。
今後の見通しと影響
シンガポールは製造業やグリーン技術の成長が今後も見込まれ、デジタル化の進展が中小企業の効率化を促進するとされています。
しかしシンガポール経済は、安定した基盤を持つ一方で、外的要因に左右されやすいという特徴があります。世界的な金利の上昇や、ますます混迷を深める地政学的リスクが経済成長の制約となる可能性も十分にあります。
今後も多様な政策で持続可能な成長を実現することが求められています。