「FINE CITY」シンガポール:美しい都市の魅力と厳格なルール

シンガポールは「FINE CITY」と呼ばれることがあります。
「すばらしい都市」 という意味ですが、それとは別に「罰金(FINE)都市」という意味もあり、地元の人が自嘲的にこう呼んでます。
シンガポールは美しい都市景観を守るためさまざまな罰金制度が導入されています。
知らないと困る、うっかり違反してしまう可能性のあるルールもあります。
シンガポール駐在が決まっている方もいるかと思いますので、いくつか気をつけなければならないルールを紹介します。
「FINE CITY」シンガポール:美しい都市の魅力と厳格なルール
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年 7月21 日
厳罰
シンガポールはさまざまな禁止事項をしっかりと明文化して、違反者には罰金を科します。
これは建国の父であるリー・クアン・ユー氏の「国家の発展には民主主義より規律が必要」「法制度の強さと活力が最も重要」「経済を後押しするために法の支配とクリーンな政府が重要」という国家のビジョンに則ています。
リー氏の「犬と同じです。小さいうちから適切な方法で訓練すると、外に出て、おしっこや排便をしなければならないことを知るようになります」という厳しい言葉に彼の想いが込められており、建国当初から規律が重要視されてきました。
宗教や文化や風習が異なる民族が共存するシンガポールでは、社会の秩序を保つためにはある程度強制的な手段が必要だったのだと思います。
ブレない態度
1994年、国際的な事件が起きます。米国の18歳の青年が路上駐車してある自動車にスプレーで落書きしたことに対して、シンガポール当局がその罰として6回のむち打ち刑を科した事件です。
これに対して米国のメディアや人権活動家たちは、こぞってシンガポールは野蛮な国であると非難しました。
リー氏は毅然と「私は”人間は残念ながら生まれながらにして性悪だ”と考えている。だから律しなければならない」「シンガポールが制度を廃止すれば、より良い社会になる保証をするなら廃止する用意があるが、彼らは保証できるだろうか」「シンガポール政府は、むち打ちを非人道的だと非難し、それをやめさせようと圧力をかける外国に屈服するようなことはない」と述べ、さらに「良い政治とは正しいことと間違っていること、良いことと悪いことをはっきりさせることだ」と強く言い放ちました。
当時シンガポールに駐在し会社の運営に悩んでいた私に、彼のこの言葉は突き刺さり、その後の生き方に影響を強く与えました。
知っておきたいシンガポールのルール
ここで、シンガポールに滞在する上で知っておくべきルールについて紹介します。
シンガポールに入国する際に特に注意しなければならないのが次の2つのルールです。
【チューイングガムの持ち込み禁止】
結構有名になっているルールですが、気をつけなければいけないのは、罰金金額の最大が10,000シンガポールドル(約100万円)の罰金ということです。日本のコンビニなどで買って持ち込まないように注意しましょう。
【たばこや酒類の未申告での持ち込み】
たばこは、例え1本の持ち込みでもきちんと申告をしないと罰金の対象です。持ち込む場合には税関で忘れずに申告をしましょう。
その他注意すべきルールは
【公共交通機関での飲食】
MRTなどを利用する際は十分に注意をしましょう。罰は500シンガポールドル(約5万円)と高額です。
【ごみのポイ捨て】
これもついつい忘れがちなルールですので覚えておきましょう。罰金は1,000ドル(約10万円)です。
【横断歩道以外で道路を渡る】
地元民も守らない人もいるのでうっかり真似てしまいますが、これも罰金の対象で、50ドルの罰金です。
【使用済みのトレイや食器を片付ける】
以前こちらで紹介しましたが、6月1日からホーカーやフードコートなどの公共の食堂で、使用済みトレイや食器の放置に対する取り締まりが強化され、再犯者には罰金300シンガポールドル(約3万円)が科されるか、裁判所に起訴されます。
「クリーン&グリーン作戦」
美しい洗練された都市国家であるシンガポールですが、他の都市としっかりと差別化を図り、その価値を維持していくために、さまざまな厳しいルール、細かな条例があって、罰金が容赦なく課されるのです。
事前に知っていたら問題ないので、しっかりと理解・把握しておきましょう。