シンガポールの成長予想が4.1%に上方修正

「2025年は4.1%の成長」
数字だけ見ればよくある経済ニュースのひとつですが、先進国で資源もなく、国土も小さい都市国家がこの水準を保ち続けているのは驚きでしかありません。
奇跡の成長を遂げた国は多いですが、その後も淡々と伸び続ける国は実はそれほど多くありません。ではシンガポールは何をしてそれを実現しているのか、詳しく見ていきましょう。
(引用元:Economists raise their Singapore growth forecasts for 2025 and 2026: MAS survey | The Straits Times
https://www.straitstimes.com/business/economists-raise-their-singapore-growth-forecasts-for-2025-and-2026-mas-survey)
シンガポールの成長予想が4.1%に上方修正
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2026年 02月20日
世界の需要を「自国の数字」に変える国

最近の輸出動向を見ると、非石油輸出が再び勢いを増しています。
電子部品、半導体関連、医薬品。いずれもAI需要と強く結びついた分野です。シンガポールは”大量に作る国”ではありません。世界で需要が発生したあとそれを最も摩擦の少ない形で受け止め、付加価値を乗せて外へ流す、それがシンガポールの仕組みなのです。
港、空港、金融、通関――
この国が輸出しているのは、「仕組み」そのものなのです。
一極依存しない
今回の成長見通しの特徴は、特定産業だけが突出していないことです。製造業だけでなく、金融、建設、卸小売と、主要分野がそろって上向いています(製造業+5.4%、建設+4.8%、卸小売+4.4%、金融保険+4.1%)。
ひとつの産業に賭けない、これは長く伸びる国の条件でしょう。奇跡の成長を遂げた国ほどその後に偏りが生まれ、歪みが出やすいです。
シンガポールはそこを上手く調整し続けているように思います。
小さな国であることの意外な強み
国が小さいことは間違いなく弱点でしょう。しかし同時に、政策の切り替えが速いという利点でもあります。大国のように決定が遅れて熱を出しすぎることが少ないです。状況が変われば政策も規制も人材戦略も比較的素早く切り替えられる、それを数十年見事に実施しているのがシンガポールなのです。
「周辺の成長」を吸って伸びる
私自身、東南アジアで長く暮らしてきて感じるのは、シンガポールの成長は国内だけで完結していないということです。周辺(マレーシアやインドネシア)に生産・人材・消費の広い土台があり、シンガポールはそこから生まれる需要や資金や人の流れを、最終的に取引が成立する場所として提供しているのです。
成長の敵は「外部ショック」と「自信の過剰」
今回の調査でも下振れリスクとして地政学、そしてAIバブルの崩れのような指摘が出ています。だからこそ、私はこの4.1%という数字は、シンガポールという仕組みが今はうまく回っているという意味にとらえています。
資源がなくても、国の強みを「仕組み」に変えて持ち、それを徹底する。それが奇跡のあとも伸びる理由だと思います。
成功体験を神話化しない
シンガポールは、成長を奇跡として語りません。成功体験を神話にもしません。そのあたりは非常にドライなのです。世界の空気が変われば、仕組みを点検し、手直しし、また静かに回し続ける職人のようです。
資源がないからこそ、人、制度、信頼など、目に見えないものを磨き続けるしかなかったのがシンガポールです。しかもそれを、誇らず、疲れも見せず、淡々と積み重ねてきました。
今回の4.1%の数字も、その結果にすぎないでしょう。




















