シンガポールの人口   過去最高の604万人に 

シンガポール

シンガポール政府の最新の報告書によると、シンガポールの総人口は2024年6月時点で604万人となり、2023年6月より2%増加し、初めて600万人の大台を超えました。

過去5年間の年率の人口増加率は1.1%で、小さな都市国家で国土も小さい中で堅実に人口を伸ばしています。

今回の記事では、シンガポールの人口動向について深掘りしようと思います。

シンガポールの人口   過去最高の604万人に  

   著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2025年 1月10日

外国籍が4割!

今回の年次報告書の人口概要に掲載されたデータによると、604万人のうち国民は364万人で、約54万人の永住権保持者を含む外国籍の非居住者(外国人労働者、移民家事労働者、扶養家族、留学生など)の人が約240万人で、全体の約4割を占めています。

非居住者人口は昨年から約5パーセント増加しており、その中でも労働許可証保持者(低熟練労働者)の増加が人口増加に最も大きく貢献しました。

少子化が進行

国民はわずかに0.7%の増加にとどまり、国民の出生数は2万8,877人、昨年より5.1%減でした。2023年の国民の出生率は0.97にとどまり過去最低となりました。

また、65歳以上の国民が全人口に占める割合は2024年には19.9%に増え、より一層少子高齢化が進行したことが明らかになっています。

外国人労働者が労働力を補完

報告書では、「シンガポールは根本的に労働力が限られているため、外国人労働者が地元の労働力を補完している」と述べており、「世界中から企業がより幅広いスキルにアクセスできるようになっている」とシンガポールの労働状況を示しています。

また、シンガポールの企業がコロナ禍によって遅れていたプロジェクトの遅れを取り戻そうとしており、特に建設や造船部門の労働許可証保有者の数が増加していることも明らかにしています。

積極的な移民政策

シンガポール政府は、小さな都市国家で少子高齢化により労働力不足になるため、外国からの労働力を積極的に受け入れてこれを補うという政策をとっています。

建設や製造業、IT、金融、ヘルスケアなど、あらゆる分野で外国人労働者を受け入れています。建設や製造業などの低賃金労働者は、主にフィリピンやインドネシア、バングラデシュなどの東南アジア諸国からの移民が多く、高賃金労働者は欧米諸国や中国からの専門職が中心です。

さらにシンガポール政府は、優秀な人材を定住させるために、優秀な外国人に永住権(PR)や市民権を積極的に付与しています。2019年には永住権を約32,000件、市民権を22,000件新たに付与しています。

さまざまな影響や課題

外国人労働者や移民が増えることで、シンガポール社会にさまざまな影響や課題が生じています。

外国人の増加に伴い住宅需要が増加しており、これにより住宅価格や賃料が高騰し、シンガポール国民にとって住宅の購入が難しくなる問題が発生しています。

外国人労働者の増加は、シンガポール国民との間に社会的緊張を生み出しています。特に低賃金労働者の増加は、地元の雇用機会や賃金に悪影響を及ぼすのではないかという懸念が広がっています。政府は外国人労働者の雇用規制を厳しくすることで、シンガポール人の優先権を確保しています。

成長と社会の安全確保の調整

政府は労働政策や住宅政策を調整し、社会の安定を保とうと努めています。

しかし実際には、国人労働者の増加に伴う課題は依然として残っており、社会的緊張や住宅問題などは喫緊の課題になっています。これらの課題が解決されるには、さらなる調整が必要でしょう。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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