ウォン首相 建国60周年メッセージを発信

シンガポールのローレンス・ウォン首相は、8月9日の独立記念日パレードでメッセージを伝えました。
今年は建国60周年にあたり、盛大にパレードや祝賀行事が行われました。
あらためて、シンガポールの60年の軌跡を見ていきましょう。
(引用元:PMO | National Day Message 2025
https://www.pmo.gov.sg/Newsroom/National-Day-Message-2025)
ウォン首相 建国60周年メッセージを発信
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年 9月26日
団結を呼びかけ

ウォン首相はシンガポール国民に対し、急速に変化し、より不確実な世界における新たな課題を克服するために「小さな国である我々は、分裂するわけにはいきません。我々の団結は常に我々の強さの源でした。我々が団結すれば、乗り越えられないものは何もありません」とあらためて団結するよう呼びかけました。
シンガポールの歩み
ではあらためて、シンガポールの歴史について紹介します。
14世紀頃から交易の要地として知られ、1819年にスタンフォード・ラッフルズが港の設立を交渉して以来、イギリスの交易拠点として発展しました。1867年には正式に英領植民地となりました。
1942~1945年には日本に占領され、戦後に英国支配が復活し、段階的な自治が進められました。
1963年にはマラヤ連邦(マレーシア)に合併。しかし、政治的・経済的対立、人種間の緊張の高まりから、1964年に死者36名以上の大規模な人種暴動が発生し、翌1965年8月9日にシンガポールは正式に独立しました。
独立から60年の軌跡
独立以降は経済政策による工業化と外資誘致により、1980年代までは実質成長率は年間8%を達成しました。
現在では世界最高のGDP(国民ひとり当たり)を誇り、教育・医療・生活の質・治安・住宅・インフラなど、主要な社会指標でも高評価を得ています。
華人・マレー系・インド系を中心に4言語(英語、マレー語、中国語、タミル語)を公用語とし、多文化共生を憲法で保障しています。
最近では住居費を含む生活コストが非常に高いことで知られます。
諸国との関係性
ASEAN創立国として地域協力・政治安定に積極的に関与しています。隣国マレーシアとは、離反の歴史を経ながらも、現在はFTAなどで協調を継続し、関係は安定しています。
アメリカや中国といった大国との関係を巧みに維持し、経済交流や安全保障において中立的かつ柔軟な外交を展開し、戦略的バランスを巧みにとっています。
ウォン首相のメッセージ
ウォン首相は以下のようなメッセージを国民と世界に対して発信しています。
・成功の核心は「民意と結束」
シンガポールの成功は単なる運や偶然ではなく、国家への強い想いと共同体の力が成功を築いており、誇りをもつ。
・多様性を抱き統一を築くシンガポールの価値
異質な背景を持つ人々が、共通の目的によって団結している。
・「共に歩む政府」の姿勢
支援や教育の機会を拡充し、誰も取り残されない社会構築を目指すという政府の約束。
・未来に向けた「革新と適応」の必要性
激動する世界情勢において、変化に迅速かつ柔軟に対応する国としての決意を表明。
私の視点から見るこの大きな節目
シンガポールの成功は、”リスクをとってでも未来を築く”その国家的意思と、厳格な社会統治の成果だと感じます。人口わずか約600万人という小国が、世界経済・金融・物流のハブとなったのは異例かつ驚異的です。
柔軟さと効率性
今回の建国60周年には、“これまでの成功に甘んじず、むしろ新たな挑戦に臨む姿勢”が強く印象づけられました。特に、首相のメッセージにある「決意」「団結」「未来への自信」は、国民だけでなく世界へのメッセージにも響く言葉でしょう。
今後、デジタル化や環境対策などでいかに先進的モデルを構築できるかは、他国にとっても注目されるテーマです。シンガポールの柔軟さと効率性が次なる時代にどうつながるか、大変興味深いところです。