和牛・包丁・錦鯉!円安で外国人観光客が爆買いするもの

ビジネスニュース

今回の円安を外国人視点で語れば、「ワオ!日本に行かなくてどうする?!」というものだろう。各メディアの報道ぶりを見ると爆買いは確実に復活している。

大阪ミナミの松坂牛、長岡市の錦鯉、かっぱ橋の包丁、秋葉原の家電とアニメグッズ、ドンキホーテのお菓子、原宿のブランド品…。海外では買えないものが飛ぶように売れている。渋谷のドンキホーテで100万円使ったベトナム人女性や、原宿のブランド店を回って120万円使った香港人がニュースになっていた。

和牛・包丁・錦鯉!円安で外国人観光客が爆買いするもの

著者:gram fellow デビッド・イマ
公開日:2022年11月14日

和牛、包丁、錦鯉…。円安で外国人観光客が爆買いするもの国

この度の爆買いは以前のような中国人主導のものではなく、日本に旅行するのを2年間ガマンしてきた様々な国の人達によるものである。星野リゾート代表は「世界に旅需要のマグマ」が溜まっていると表現している。

世界に旅需要のマグマ、分散が課題 星野リゾート代表
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC01B1O0R00C22A8000000/

10月11日の入国規制緩和以降のTVでの報道を10数本チェックすると、シンガポール、マレーシア、ギリシャ、アメリカ、フィンランド、ドイツ、アルゼンチン、ベトナムと実に様々な国の人達が訪日している。

多くの人が
「日本に来たくてたまらなかった」
「2年間ガマンしていた」
「入国規制が緩和されたと聞いてすぐに航空チケットを買った」
などと話し、日本に旅行したいという熱い気持ちがマグマのごとく、多くの人達に溜まっていたことがわかる。

最近のTVニュースとYouTuberの動画をチェックしてわかること

ソーシャルリスニングの要領で、日本のTVメディアと海外YouTuberのYouTube動画をチェックした。

以下をざっと見ると、外国人達が前々から目をつけていた「日本でしか買えないモノ」を大胆に買いまくっていることがわかる。

一部の旅行者にはかっぱ橋の包丁がものすごく魅力的なようだ。

安い日本”で“爆買い”過熱 アメ横、かっぱ橋に外国人続々(2022年10月12日)
インバウンド復活! 八芳園に多くの外国人観光客(2022年10月14日)
爆買い客”様変わり「120万円使った」…中国から減少も インバウンド回復に光明(2022年10月14日)
円安日本に殺到 外国人観光客“爆買い50万円”…ショップ「売り上げ20倍」に (2022年10月17日)

韓国人大喜び、激安ニッポンに行くなら今だ!
1ドル150円定着とみて、ニッポン買いに高い関心(jbpress/2022年10月21日)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72357

注目されるのは和牛、そしてなんと、錦鯉。著名な松坂牛レストランでは、タイ、シンガポール、香港から予約が続々と来ていると言う。

活気戻るミナミ 歴史的円安も追い風に(冒頭で大阪ミナミの松阪牛焼肉Mの外国人利用状況が紹介されている)

日本を満喫するYouTuber

動きの速い一部の外国人旅行者は、コロナ入国規制が撤廃されたばかりの日本にいち早くやって来て、YouTube動画で日本の経験のすばらしさをレポートしている。以下はすべて2022年10月中旬にアップロードされたもの。

First ones back in JAPAN! (Opening day in TOKYO!)
First tourists in AKIHABARA, TOKYO (Japan’s pop culture capital)
FIRST DAY IN JAPAN (we’re in Tokyo)
TOKYO, JAPAN DAY 2 (Harajuku, Meiji Shrine, Ramen)

外国人から見て、日本は旅行コンテンツだらけの国

外国人YouTuberが日本に来てアップロードする動画は、マーケティング目線で実に多くの知見を与えてくれる。上の5本を見ただけでも、彼らの共通の関心が「東京」「秋葉原」「ラーメン」「寿司」「自動販売機」「原宿」だということがわかる。日本に来て真っ先に行くのが秋葉原であり、続いて原宿。ラーメンの有名店でラーメンを食べ、回転寿司のタブレット注文で寿司を頼んで美味しく食べる。

2018年に半年海外旅行をしてイスラエル、アメリカ、ハンガリー、英国などのホステルにいる各国の20〜30代と交流した時の経験を踏まえると、日本は非常に魅力的なコンテンツだらけの国だ。漢字かなの看板があふれる都市の街並み、ありとあらゆる飲食店や食べ物がその一例だ。居酒屋はエネルギッシュだし、自販機や、シャワートイレですら魅力的なものとして目に映る。これだけ旅行コンテンツがあふれている国は珍しい。

彼らは子供の頃から見ているアニメにも強い興味を示す。原体験として日本の光景をアニメで見ており、それを確認しに日本に来る。アメリカからやってきたアニメ好きの青年から聞いた話だ。成田-東京間スカイライナーの窓から見える建物を見てすぐに”It’s a high school!”とわかったそうだ。
秋葉原に行って細かく作り込まれたフィギュアやアニメのアイテムを見た時に、「おお!これは買わなければ」という気持ちになる。

日本のコンビニは最強

日本のコンビニも欧米から来た旅行者にとっては驚異的なコンテンツだ。東京オリンピックの時期に海外から来たメディアの記者達は、コロナゆえ都心のレストランに行くことは禁じられていた。消去法的にコンビニにたどり着き、弁当、おにぎり、惣菜を買って宿舎で食べたところ、それらの衝撃的なおいしさに驚いた。感激して報告する記事をあちこちで書いている。

New York Timesの記事では記者がコンビニで買って食べて美味しかったものを写真入りで紹介している。

Tokyo Convenience Store Chicken Gizzards Saved My Life
https://www.nytimes.com/2021/08/01/sports/olympics/olympics-tokyo-conbini.html

以下の記事もコンビニの商品がいかに美味しいかを書いている。また、夜中でも在庫がきちんと補充されていることに驚いている。

”Tokyo convenience stores are an unexpected champion at the Tokyo Olympics”
https://www.timeout.com/tokyo/news/tokyo-convenience-stores-are-an-unexpected-champion-at-the-tokyo-olympics-080321

こうした”コンビニ経験”は欧米の都市ではできない。例えば英国のスーパーでは、調理済みの料理を売っているが量がハンパではなく、見るからにヘルシーではないメニューが多い。腹が減ったらファーストフードにするか、飲食店に入って手頃な値段ものもを食べるかで、選択肢がとにかく少ない。日本のコンビニの食べもののバラエティと味の良さに驚かされるようだ。米国のセブンイレブンも品揃えは日本ほど豊富ではない。そうした国々で暮らしている外国人にとっては、コンビニもまた強力な旅行コンテンツだ。

政府目標の年間5兆円は軽くクリアする勢い

日本のラーメンは欧米の大都市で確実にファンを増やしている。英国では高級レストランでラーメンを供していたことがあった。円安も手伝って、現在の東京のラーメンは劇的に安い。
最近のJapan Timesの記事では、ニューヨークと東京のラーメン店の価格を比較していた。

The almighty dollar gets even mightier for U.S. travelers in Japan”
https://www.japantimes.co.jp/life/2022/10/15/general/japan-travel-yen-dollar-exchange-rate/

日本ではチャーシューなどを盛り沢山にすると10ドル。これがニューヨークでは16ドル。以下のTV報道では、ニューヨークに出店している一風堂のラーメンが、日本で820円のところ2800円もすると驚いている。

アメリカではラーメン1杯2800円!?記録的な円安・物価高でアメリカ在住の日本人が苦境に・・・現地の価格を徹底調査

従って、入国規制が緩和されて日本にやってきた外国人旅行者は、まず日本のラーメンを食べることになるのだろう。

まとめ

政府は今回の入国規制緩和でやって来る外国人旅行者の消費を5兆円と見込んでいる。しかしメディアの報道から感じられる彼らの旺盛な消費欲からすると、5兆円はどう考えても控えめな試算だ。

”外国旅行消費5兆円目標、令和7年に達成方針 和田観光庁長官「なるべく早く」”
https://news.yahoo.co.jp/articles/2e7f3be4e2ca45d3b4d40720d89fb86aa58359c7

2017年に策定された観光立国推進基本計画の目標8兆円を軽く超えて、10兆円規模になるのではないだろうか。

観光庁:観光立国推進基本計画(2017年)
https://www.mlit.go.jp/kankocho/kankorikkoku/kihonkeikaku.html

関連記事一覧