良品計画、東南アジアで新戦略

シンガポール

「MUJI(無印良品)」を展開する良品計画は、出店を加速している東南アジア地域の生活や風土に合わせた製品開発を推進すると発表しました。アジアでの事業拡大に向けた戦略の一環で、その第1弾として、シンガポールの現地法人が新作のアパレル商品を合わせて発表しました。
今回の記事では「MUJI」のアジアを中心とする海外戦略について解説します。

無印

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2022年10月日

「MUJI」のアジア出店

良品計画は、日本以外では東南アジア、欧州、北米、中国、オーストラリアなど世界各国で計1,000店舗以上を出店しています。東南アジアではシンガポール10店舗、マレーシア9店舗、タイ22店舗、フィリピン5店舗、ベトナムに2店舗を展開しています。シンガポールではCaféに特化した店舗も出店し好調です。
東南アジアではすでにブランドが定着し、マレーシアでは2022年度の売上高が前年比で80%増、シンガポールでも15%の増収となり、コロナ禍のロックダウンなどの影響による業績の低迷から大幅に回復させています。

海外出店の歴史

「MUJI」初の海外進出は1991年で、イギリス・ロンドンに海外初の店舗であるロンドン1号店がオープンしました。その後は香港、フランス、シンガポールと出店を加速しました。
一部では「日本の禅精神を体現している」と高い評価を得ましたが、海外事業が黒字になることはなく、アジアからは1998年に撤退、2001年の香港再出店までは、アジアの店舗はゼロという事態となり、海外進出は一度失敗しています。
その後、戦略を大きく切り替え、順調に海外事業を拡大させ、現在では日本国内の店舗数を上回る店舗が世界中の国々に存在します。

マーケティング戦略

圧倒的高品質で消費者の注目を集めた自動車や電子機器産業以外で、強いブランドイメージを築くことに成功し、優れた戦略で他を圧倒し熱狂的なファンをつけた「MUJI」のブランド戦略を紹介します。
「無印良品」の名の通り、商品のシンプルさと機能性が圧倒的な魅力となっていて、トレンドに乗らず、時を超えて受け入れられるミニマルな製品デザインが特徴です。シンプルな商品を派手さのない簡素化されたパッケージで包装し、手ごろな価格で販売しています。これが誰にでも受け入れられる最大の強みとなっています。また商品コンセプトを「無印良品」という簡単でわかりやすい一言で表した秀逸さが、唯一無二のブランドに成長した最大の強みです。

海外再出店成功の理由

「MUJI」は最初の海外進出の失敗を活かし、「グローバルマーケットは存在しない。ローカルマーケットがたくさんあるだけ」という思想に基づき、ローカライズを徹底して海外展開を成功させています。マレーシアでは、チキンカレーやビーフ・ルンダンなどの国民的な料理のインスタント商品を開発し、シンガポールでは、地元で調達された装飾品が棚に並べたり、店内にカフェを併設して買い物客の心をとらえています。

新たなライフスタイルを意識

現在、高温多湿の気候に対応する軽くて涼しい生地を使用し、カジュアルさをコンセプトの中心に据えた商品設計に注力しています。まず、日常生活に欠かせないアパレル製品の改良に着手しました。従来は商品の設計と開発を日本に依存しており、現地のニーズを捉えきれなかったので、今後はより現地に根付く商品設計を手がけていく方針です。また、コロナ禍によるライフスタイルの変化も商品設計に取り入れ、アウトドアブランドである「MUJI WALKER」の製品ラインアップを拡充しました。

生活に欠かせないブランド

店舗数も多くなり、今では現地の生活に欠かせないブランドとなっている「MUJI」。
今後も新たな展開続け、それが日本が逆輸入していくのも近いような気がします。楽しみですね。

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