屋内スキー場に注目!中国で拡大するウィンタースポーツ市場

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今年の異常な暑さが嘘のように落ち着き、中国にも秋が訪れている。筆者が住む上海市では秋のは短く、すぐ長い冬がやってくる。ウィンタースポーツ用品店では冬本番に備えて商品を見に来る客もちらほら出てきた。また、上海では世界最大規模となるウィンタースポーツ施設が今年開業予定となっている。北京で冬季オリンピックが開催されたことを機に、中国ではウィンタースポーツブームがきているのだ。

屋内スキー場に注目 中国で拡大するウィンタースポーツ市場

   著者:上海gramフェロー 米久 熊代
公開日:2022年11月7日

中国でウィンタースポーツ需要が高まる

2022年2月20日に開幕を迎えた北京冬季オリンピックでフィギュアスケートの羽生結弦選手が中国で人気を集めたことは記憶に新しいだろう。ニュースやSNSでとりあげられ、筆者が住む近所の書店には羽生結弦選手の本が特設コーナーに並ぶほど。氷上競技種目をはじめとしたウィンタースポーツへの関心が中国人の間で高まった。

北京での冬季オリンピックの開催が決定した際、ウィンタースポーツ人口を3億人にするという目標を中国は掲げていた。現在、中国全体のウィンタースポーツ人口は約3億5000万人に達し、スケールの大きな目標はなんと現実のものとなった。

上海市にあるウィンタースポーツ用品店
中国の屋内スキー場(出典:小红书)
スキーやスノボー教室(出典:小红书)

上海市にあるウィンタースポーツ店には、客が季節を問わず1年中ウィンタースポーツを楽しむことができる施設が多数ある。限られたスペースを活用してスキーやスノーボードを個人で練習できる教室もあれば、スキー場のようなゲレンデで天候を気にせず滑ることができる屋内施設も。

中国国家体育総局の統計によると、2021年初めの時点で、中国全土に標準的なアイススケート場が654ヶ所、屋内外各種スキー場が803ヶ所あり、2015年と比べてそれぞれ317%増と41%増となった。

(引用:人民網日本語版 http://j.people.com.cn/n3/2022/0117/c94476-9945521.html

中国のウィンタースポーツ市場規模

上海市にあるウィンタースポーツ用品店と屋内練習場一体型の施設

北京での冬季オリンピック開催を機に、ウィンタースポーツ施設が日増しに整備され、以前はニッチだったウィンタースポーツが大衆に楽しまれるものになってきた。ショッピングサイト・京東の統計によると、昨年のダブル11(11月11日のネット通販イベント)におけるスキー関連商品の消費者直接取引件数が前年同期比23倍、氷上関連装備の取引額が同比15倍に達した。

「ウィンタースポーツ旅行」も爆発的な伸びを見せていて、家族や友人と一緒に近くのスキー場に行って遊ぶというのが新たなトレンドとなっている。「中国ウィンタースポーツ観光発展報告(2021)」によると、回答者の55%が「長距離ウィンタースポーツ旅行に行きたい」と答え、82%が「近距離ウィンタースポーツ旅行に行きたい」と答えた。

「2021年中国ウィンタースポーツ産業発展研究報告」によると、2015‐20年、中国のウィンタースポーツ産業の規模は2700億元から6000億元にまで拡大した。「ウィンタースポーツ発展計画(2016—25年)」によると、2025年その規模は1兆元に到達すると見込まれている。

(引用:人民網日本語版 http://j.people.com.cn/n3/2022/0117/c94476-9945521.html

N&N南恩(出典:天猫)
Vector(出典:天猫)

天猫でスキーやスノボード用品を調べると大量の商品がヒットする。市場の盛り上がりを見て2021年だけでも新規参入するブランドは前年の2倍になっているという。スノーボードブランドとして生まれたBRUTONなどの専門海外ブランドが人気だが、国潮圏で多くのZ世代から支持を得る「李寧」や、「N&N南恩」「Vector」など新しくできた国内ブランドも若者を中心に人気を集めており、注目度が高い。Z世代が好むウィンタースポーツブランドトップ10のうち6つが国内の新興ブランドとなっている。

屋内スキー場が増加 上海市に世界最大規模の施設

近年、中国では季節を問わず楽しむことのできる屋内スキー場が急増しており、世界の4割以上を占める数だと現地メディアは伝えている。また、屋内スキー場の世界面積ランキングでは半数が中国、トップ3はすべて中国がランクインしているという。(筆者調べ)

(出典:小红书)

今年まもなく開業予定の世界最大規模となる屋内スキー場が、中国上海市浦東エリアに建設されている。90,000万平方メートルある屋内スキー場の他に、巨大水遊びスポット、リゾート施設、ホテルなどで構成されている。総面積は227,000平方メートルにもなり東京ドーム約4個分の広さとなる。現地メディアによると、アルプスをテーマにしたスキー場には3種類のゲレンデが設けられている他、25以上の雪遊びスポットがあるという。また、各種アイスショーや展示会、イベント、ショッピングや物販、グルメなど1日中楽しむことができる。

(引用:网易订阅 https://www.163.com/dy/article/HCTD8IG2053478CE.html

まとめ

スキー・スノボード用具を一式揃えるには費用がかかるため、高所得者が中心となっていた消費者層だが、北京冬季オリンピックで国民の関心が高まりその他の層にも拡大していった。球技など他スポーツと比較するとウィンタースポーツの人口はまだ数なく、これからさらに伸びるであろう期待できる業界だ。海外ブランドは続々と中国市場に参入しており、EC開拓や直営店のオープンも相次いでいる。

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