ベネチアだけじゃない!イタリアには知られざる魅力あるカーニバルが盛り沢山
イタリアには、毎年イースターの70日前の日曜日から始まるカーニバルがある。最も有名なのは、ベネチアのカーニバルで、豪華な衣装を身にまとった参加者が多数集まる。他にも、トスカーナ州のヴィアレッジョで行われるカーニバルでは手作りの巨大な山車のパレードが見どころで、北イタリアのイブレアでは世界的に珍しいオレンジ祭りが開催される。イタリア各地で開催されるカーニバルは、それぞれの地域独自の特色を持ち、多くの観光客が訪れる。
今回はイタリアを代表する3つのカーニバルの概要や経済効果について紹介する。
イタリアには知られざる魅力あるカーニバルが盛り沢山!来場者数や経済効果は?
著者:イタリアgram fellow たなかさき
公開日:2023年2月1日
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イタリアのカーニバルが行われる時期
(画像出典元: https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/3B5SZ06YFn8)
イタリアのカーニバルは、毎年イースター(今年は4月9日)の日から70日前の日曜日に開催される。今年は2月5日から始まり2月21日に終了した。カーニバルが開催される日程はイースターを基準に計算し、決められる。確実なのは日曜日から始まるということだ。
イタリアを代表するカーニバル3つ
(画像出典元: https://pixabay.com/it/photos/maschere-maschera-di-venezia-1879572/)
イタリアでは各地域でさまざまなカーニバルが開催されている。ここでは最も代表的なカーニバルを3つ紹介する。
Carnevale di Viareggio(ヴィアレッジョのカーニバル)
(画像出典元: https://pixabay.com/it/photos/carnevale-maschera-venezia-2999783/)
ベネチアのカーニバルは2月4日のオープニングセレモニーから始まり、21日に閉幕した。7ヶ所で行われたパレードの参加者は3000人、総観客数は10万人以上に達した。2月5日は伝統的なゴンドラのパレードで始まり、数多くのショーが開催された。見どころは本格的な仮装で、訪れる人々も仮面や衣装を身にまとっている。まるで中世の世界に迷い込んだかのような雰囲気で、人々の衣装を見るだけでも十分楽しめるだろう。(2023年2月22日)
(参考:Si chiude il Carnevale di Venezia 2023|CARNEVALE DI VENEZIA
https://www.carnevale.venezia.it/blog/si-chiude-il-carnevale-di-venezia-2023/#:~:text=Oltre%20100.000%20gli%20spettatori%20in,la%20presenza%20di%2040.000%20partecipanti.)
Carnevale di Viareggio(ヴィアレッジョのカーニバル)
(画像出典元: https://pixabay.com/it/photos/viareggio-maschera-carnevale-3684008/)
トスカーナ州の西側海沿いにある街ヴィアレッジョで行われるカーニバルは、多くの観光客が海外からも訪れる大きなイベントだ。地域の人たちがそれぞれのグループになって作る巨大な山車(だし)が見どころだ。カーニバルにちなんだものや風刺もあり、そのテーマはさまざまである。色とりどりの山車がレジーナマルゲリータ通りを行脚する。大人20ユーロ、子ども15ユーロの入場料を払う必要があるが、手作りの巨大な山車のパレードは子どもから大人まで楽しめるので必見だ。カーニバルには60万人の観光客が訪れ、ヴィアレッジョのカーニバルでの売上高は50万ユーロ(約7000万円)と推定される。(2023年2月19日)
(参考:Record presenze Carnevale Viareggio, 500mila euro incassi |ANSA
https://www.ansa.it/toscana/notizie/2023/02/19/record-presenze-carnevale-viareggio-500mila-euro-incassi_8f24f6ce-c176-41f8-9c94-81159daa49ea.html)
Carnevale di Ivrea(イブレアのカーニバル)
イブレアのカーニバルは他の2つとは全く異なる。北イタリアの街イブレアで行われるカーニバルは、世界でも珍しいオレンジ祭りである。各チームに別れてオレンジを投げ合うのだ。筆者も1度観戦したことがあるが、台車の上に乗った人は顔と頭を覆ったマスクを被り、完全防備で参戦。とにかく時間内にオレンジを投げて投げて投げまくるのだ。投げ終わったあとは地面が見えないほどのオレンジが落ちており、滑ってこける人も1人や2人ではない。そんな変わったカーニバルなのでイタリアだけでなくヨーロッパでも有名だ。
今年は入場券が10ユーロから15ユーロに値上がりした。3日間の初日だけで2万枚のチケット、28万ユーロ(約4000万円)の売上が見込まれ、街には4万人もの人が訪れたとされている(2023年2月20日)。
(画像出典元:Carnevale Ivrea, l’indotto vale 3,5 milioni di eur|RAINEWS https://www.rainews.it/tgr/piemonte/articoli/2023/02/carnevale-ivrea-lindotto-vale-35-milioni-di-euro-27f35648-b62f-4958-a645-a4f93462bd70.html)
カーニバルが及ぼす影響
(画像出典元: https://pixabay.com/it/photos/carnevale-venezia-maschere-1803622/)
ANSAが発表したところによると、2023年のカーニバルの観光客数は過去最高を記録し、500万人に達した。さらに宿泊客数は200万人にもなり、売上高は30億ユーロ(約4230億円)と推定されている。海外からの観光客だけでなく、約50万人のイタリア市民もカーニバルを訪れた。
世界的に有名なベネチアのカーニバルが来場者数、売上高ともにトップで、2番目にヴィアレッジョのカーニバル、3番目にイブレアのオレンジ祭りと続いた(2023年2月20日)。
(参考:Turismo da record a Carnevale, 3 miliardi il giro d’affari|ANSA
https://www.ansa.it/sito/notizie/economia/2023/02/20/turismo-da-record-a-carnevale-3-miliardi-il-giro-daffari_db4b924f-f8ee-43b0-80c7-1abeaffa6ec5.html
)
カーニバルの時期にしか食べられない伝統菓子
カーニバルの時期になると、スーパーやパスティッチェリア(ケーキなどデザートをおいているお店)、バールには伝統菓子が店頭に並ぶ。地域によってさまざまなお菓子があるが、ほぼ揚げ菓子である。甘い物好きのイタリア人はよく朝食にエスプレッソと揚げ菓子を食べたりする。ここでは主なお菓子を2つ紹介する。
1. キアッケレ(CHIACCHIERE)
イタリア全土で食べられる代表的なお菓子だ。小麦粉、卵、砂糖、グラッパなどのリキュールを練り合わせて薄く伸ばして揚げるという、シンプルなレシピだ。サクッとした食感と優しい甘みでついつい手が伸びてしまう中毒性の高いお菓子だ。
興味深いことにキアッケレは地域ごとに呼び名や形が異なる。筆者が住んでいるピエモンテ州ではブジエと呼ばれ、イタリア中部ではフラッペ、トスカーナ州ではチェンチ、ベネチアのあるベネト州ではガラーニという名で親しまれている。
2. フリッテッレ(FRITTELLE)
フリッテッレはベネチアのカーニバルで食べられるお菓子だ。ドーナツのような揚げ菓子で、プレーンなものからクリームが入っていたりとさまざまな種類がある。カーニバル期間にベネチアの街を歩くと必ずどこかで目にする有名なお菓子である。
まとめ
イタリア人にとって、カーニバルはクリスマスに続くビックイベントのようだ。しかし今ではイタリア人だけでなく世界各国からカーニバルを楽しむためにイタリアを訪れる外国人も多い。2月のオフシーズンにも関わらず、コロナ禍後にもたらしたカーニバルの経済効果は決して少なくない。
※1ユーロ=140.9円で計算。(2023年3月26日現在)