イタリア:コロナ禍で空前の出前ブーム。デリバリー市場は2,500億円越え

イタリア

朝は同僚たちとバールでエスプレッソを飲みながらクロワッサンを食べ、夜は友人や家族とおしゃべりを楽しみながら外でアペリティーボ(食前酒)。イタリア人のささやかな楽しみを奪った、コロナ禍によるロックダウン。そんな中、外食好きのイタリア人の間で大ブームになったのがフードデリバリーである。

コロナ禍で図らずも急拡大したフードデリバリー産業。今では多くのレストランにフードデリバリー可のステッカーが貼られているのを見かける。コロナワクチン接種証明書提示などの義務が撤廃された今、コロナ前に戻りつつあるイタリアで、フードデリバリーサービスはどうなっているのか。

イタリア、コロナ禍で出前がブームに。現在のフードデリバリーサービスは?

著者:イタリアgram fellow たなかさき
公開日:2023年2月17日

フードデリバリー産業が与えた影響

(画像出典元:https://pixabay.com/ja/photos/%e5%ae%85%e9%85%8d%e4%be%bf-%e9%85%8d%e9%81%94%e4%ba%ba-%e9%85%8d%e4%bf%a1%e3%82%b5%e3%83%bc%e3%83%93%e3%82%b9-6771892/

筆者の住むトリノ県でも、配達用のバッグを背負って自転車で走る配達員をよく目にする。現在では自転車だけでなく、バイクや車で配達している配達員も多い。イタリア3大フードデリバリーサービスは、Deliveroo、Just Eat、Glovo。どのサービスもトップページに住所を入力し、配達可能店一覧から頼みたい料理を頼むだけ。ネットだけでなくアプリでも簡単に注文することができるので、つながらない電話を待つよりずっといい。

そもそもイタリアには出前という文化がほとんどなく、出前といえばピザか中華料理で、選択肢が限られていた。みんな外食をするのが好きだし、家でご飯となると料理好きのイタリア人は手料理を振る舞う。日本に比べて多くのイタリア人男性は、キッチンに立つことに戸惑いはない。男性も料理がとても上手で、イタリアにきたばかりの頃は驚いたものだ。さすが食文化の国、イタリアである。そんなイタリアでコロナ禍のデリバリーサービスの急拡大は大きな変化であった。

人気のデリバリーメニューは?

(画像出典元: https://pixabay.com/ja/photos/%e3%83%94%e3%82%b6-%e3%82%a4%e3%82%bf%e3%83%aa%e3%82%a2%e3%81%ae-%e8%87%aa%e5%ae%b6%e8%a3%bd-3007395/

イタリア人はデリバリーで何を注文しているのか。もちろん第1位はピザ(28%)、第2位はフライドポテトやシチリアの伝統料理アランチーニなどの揚げもの(21%)と続き、第3位はハンバーガーやサンドイッチ(18%)であった。次にデザートやジェラートなどのスイーツ、日本食は全体の6%で、人気料理は何といっても寿司である。

(引用:  https://www.ansa.it/canale_terraegusto/notizie/in_breve/2022/01/31/comfort-food-cibo-piu-ordinato-a-domicilio-e-in-ufficio_b86eb0fe-162b-4260-a8ab-b94b2b6750d0.html#:~:text=Indagine%2C%20la%20pizza%20%C3%A8%20prima%20nelle%20scelte%2C%20segue%20la%20frittura&text=ROMA%20%2D%20Il%20cibo%20pi%C3%B9%20ordinato,arancini%20e%20crocch%C3%A8%20(21%25).

やはりピザの国イタリアである。ピザのデリバリーが圧倒的人気を誇っている。ハンバーガーやサンドイッチなどは外食する時間がなかったり忙しい会社員が昼食時に利用しているようだ。日本食は全体の6%に留まったが、寿司は根強い人気である。

フードデリバリーサービス今後も拡大予測

(画像出典元: https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/tL92LY152Sk

イタリア人の3人に1人(37%)が、1年間に電話やパソコンからピザやエスニック料理、本格的なグルメを注文したことがあるという。

(引用:Coldiretti https://www.coldiretti.it/economia/cibo-a-domicilio-per-un-italiano-su-tre-37

現在ではフードデリバリーサービスはイタリア人の生活に欠かせないものになっている。コロナ禍のロックダウン以降、フードデリバリーが当たり前になったのだ。

近年この分野は飛躍的に成長しており、現在ではオンライン食品市場の44%を占め、18億ユーロ(2021年比20%増)の価値を生み出している。

(引用:Uomini & Donne https://www.uominiedonnecomunicazione.com/italiani-e-food-delivery-le-tendenze-tra-self-care-e-social-media/

オンライン食品市場のなかでも、フードデリバリーサービスが全体の約半分を占めている。その他、スーパーマーケットの宅配サービスも拡大している。

デジタルフードデリバリー分野は、2020年にかけて59%の成長を記録し、15億ユーロの価値を生み出すなど、とどまるところを知らない勢いを保っている。

(引用:FoodAffairs https://www.foodaffairs.it/2021/11/30/boom-del-food-delivery-in-italia/?amp=1#amp_tf=%251%24s%20%E3%82%88%E3%82%8A&aoh=16733870416987&referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com

多くのレストランがコロナ禍で営業できなかった中、フードデリバリーサービスによって利益を生み出すことができた。

2021年-提出された財務諸表によると、Deliverooは2020年比で約90%の増収を記録した。販売およびサービス部門の売上高は、前年同期比75%増の1億2,300万ユーロとなった。

(引用:START MAGAZINE https://www.startmag.it/economia-on-demand/il-food-delivery-in-italia-chi-sale-chi-scende/

Deliverooがイタリアでのフードデリバリー産業のトップとなっている。

イタリア人のオンライン食品消費額が29億ユーロに達し、プラス84%の成長を遂げた2020年を経て、2021年もさらなる飛躍が期待されている。食料品部門(スーパーマーケット商品)だけでも、昨年は39%の伸びを記録した。Netcomm-Politecnico di Milano Observatoryのデータによると、14億ユーロの売上高となり、2022年も例外ではない。

(引用:il sole 24ore https://amp24.ilsole24ore.com/pagina/AElvK3CB

コロナ禍を経て規制が緩和された今でもデリバリー産業は成長し続けている。

まとめ

(画像出典元: https://o-dan.net/ja/

規制が緩和されても、自宅で家族や友人と気軽に楽しめるデリバリーは外食が好きなイタリア人にも受け入れられたようだ。宅配員の雇用問題など解決しなければならない問題もあるが、スーパーやレストランの宅配など、さまざまなスタイルでデリバリー産業は今後も発展していくだろう。

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