パリ2024オリンピックでの英語排除計画に衝撃! その背景を探る
英語は世界の公用語。英語を勉強すれば世界が広がる。
今のご時世、英語くらいはなんとか。
日本語という母国語がありながらも、英語学習をさらに強化しようというモチベーションの高い人も多い時代になってきた。
コロナ禍で特にその需要が伸びたオンライン英会話というのもひとつの目星であろう。オンライン英会話では、ネイティブプランやノンネイティブプランがあり、英語圏の先生と非英語圏だが流暢に話す先生を選ぶなどというオプションは、英語学習への意識の高さから生まれた選択肢とも言えるだろう。
英語こそが国際語だという意識が強まる中、なんとフランスとイタリアについては、英語を排除しようとしている背景がある。
イタリアとフランスが英語を排除しようとしているわけ。
著者:イタリアgram fellow 伊田里アネ
公開日:2023年5月16日
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フランスが英語を禁止にしたい理由
次のオリンピックは、フランスの首都パリで2024年に開催される。
このパリオリンピックで、なんとフランスは英語での競技名表示をフランス語にしようとしている。
フランスで開催されるオリンピックなのでフランス語ファーストであるのが当たり前だと、現在各オリンピック連盟機関に問い合わせているというのだ。
つまり競技名は英語がスタンダードで定義される名称ではないという。
そもそもフランスは、憲法でフランス共和国の言語はフランス語であると定義し、1994年に成立されたトゥーボン法により、公用文章・宣伝広告・放送で、フランス語以外の言語の使用は禁止されている。
今でもフランス語擁護者団体が強く、その教育機関を司るアリアンスフランセーズでは、その年によってフランス語カリキュラムが多かったり、英語を強化したりとその教育方針によって変化することがある。
つまり、フランス人にとっては、フランス語を話すことこそフランス人であるという誇りでもあるのだ。
フランスに旅行した時に英語が通じないと嘆く人が多いが、それは法律で決められていることなので仕方がないといえよう。
(参考記事:Le breakdancing? French Olympic planners plot to end the invasion of the English language
https://edition.cnn.com/2022/02/23/sport/paris-2024-olympics-language-spt-intl/index.html)
イタリアが英語を禁止にしたい理由
イタリアの場合、もちろんオリンピックは関係ない。
どちらかというと、フランスのトゥーボン法に近いかもしれない。
2023年4月6日にメローニ現首相が、公用文章・宣伝・放送などでの英語の使用を禁止すると言い出し、議論になっている。使用すれば10万ユーロ(約1500万円)の罰金にも相当するという厳しいものだ。
そもそも公務員はイタリアの国の仕事をするので、公用語であるイタリア語を使用するのが当然で、正しいイタリア語が読み書きできる前提で職についているとされている。その公の場で、公用語ではない英語を使用するのは言語道断であるということだ。
それは企業の宣伝にも課されるとし、広告宣伝で英語を使用した場合にも罰金が適応されることになる。
(参考記事:Ciao, non hello! Il governo italiano vuole vietare le parole inglesi con multe fino a 100mila euro
https://it.euronews.com/2023/04/04/ciao-non-hello-il-governo-italiano-vuole-vietare-le-parole-inglesi-con-multe-fino-a-100mil)
なぜ今時代に英語を排除するのかは疑問
今回のイタリアの議論で、なぜ英語を禁止にするのかについてだが、これもまたメローニ首相は英国はもはやEUではないとも言及する。アイルランドの立場はいかがと思うのだが、確かに現在のEU加盟国にはそれぞれの公用語がある。
しかし時は21世紀。世界中が英語を国際共通語として勉強をしようとしている最中で、イタリアが今更ながらにフランスに追従しようとしている。
いや、実はイタリアはフランスの法律制定前の1940年代外国語の使用禁止をファシズム政策として執行していた。そしてメローニ首相の政党は、ファシズム系の政党であるため、その時代に回帰される。
ちなみに欧州加盟国のうち英語をもっとも習得している国は、アイルランドをはじめ、オランダや北欧諸国である。フランスとイタリアの英語習得の程度は欧州加盟国27カ国のうち、20位以下であることは想像に難くない。
フランスやイタリアを旅するとき、残念ながら英語は通じなくて当たり前なのだと念頭に置いた方がいいだろう。
(参考記事:Top 38 English-Speaking Countries in Europe
https://www.wordspath.com/english-speaking-countries-in-europe/)
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