一大イベント、ラトビアの夏至祭
ラトビアを含めた近隣の高緯度地域に位置する国において、クリスマスと並ぶくらい大事なイベントが夏至祭である。数年前に大ヒットした映画「ミッドサマー」のおかげでその一般的な内容は少し知られてはいるが、国によって違いがあってラトビアにも独自の文化が存在する。毎年6月23日・24日に行われる伝統的な祭りを紹介する。
一大イベント、ラトビアの夏至祭
著者:ラトビアgram fellow さえきあき
公開日:2024年8月1日
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北欧の国々で行われる夏のお祭り
日本では映画「ミッドサマー」を経て有名になったのではないだろうか。緯度の高い地域に位置する国々では夏の日照時間がとんでもなく長く、日の出が朝の4時ごろ、日の入りは夜10時ごろになる。その中でも最も日照時間が長くなる日にみんなで集まって祝う、それが夏至祭だ。映画の舞台となったスウェーデンをはじめ、フィンランドやデンマーク、そしてバルト三国でもとてもメジャーなお祭りだ。冬が来て日差しがなくなる前に、目いっぱい光を浴びておこうという気持ちが垣間見える。
ラトビア版の夏至祭
ラトビアでは夏至の日は「Līgo」または「Jāņi」と呼ばれる。正式には「Līgo」が6月23日の夏至祭前日を指す言葉で、「Jāņi」が24日の夏至祭当日を指す言葉であるが、夏至祭を表す言葉として両方使われている。夏至祭は2日間にかけて行われ、両方とも国民の祝日となっている。ただのお祭りというよりは、大きなイベントのようである。実際、統計によってクリスマスを除いたイベントの中で最も祝われているのはこの夏至祭だと明かされている。
夏至祭は通常、家族や親族の間柄で行うイベントで、外国人にとっては少し入りにくい雰囲気が漂うが、首都のリガにある大きな公園では全員参加可能な夏至祭イベントを夜通し開催するため、だれでも雰囲気を味わうことはできる。
典型的な夏至祭の過ごし方
緯度が低い地域では太陽が沈まない「白夜」となることはないが、それでも夏至の日の日の長さは1年で最も長い。6月23日から24日にかけてがこの日に当たるが、多くのラトビア人たちは都市部から田舎へ移動する。そこで家族・親しい人たちと一晩中起きて楽しむのだ。
田舎へ行って何をするのか。映画「ミッドサマー」を見たことがある人なら大体想像がつくだろう。焚火をしたり、歌を歌ったり…等。大きな花冠を作ってそれを被るのも夏至祭の伝統的な光景だ。集まる人たちによってはこの日に伝統衣装を着ることもある。
そして夏至の日の特別な食べ物も欠かせない。夏至の日のチーズ「Jānu siers」というものがラトビアの夏至祭には登場し、食卓を彩る。EUには現在52品目の「Traditional Specialty Guaranteed(伝統的特産品保証」という、地域伝統のものが登録される制度があるのだが、このチーズもそのひとつとして登録されている。
まとめ
ラトビアの夏至祭はクリスマスに次ぐ重要なイベントであり、祝日として2日間盛大に行われる。高緯度地域では、冬が来る前にできるだけ多くの日光を浴びようという気持ちが強く、それが夏至祭が多くの国で今でも祝われている理由のひとつかもしれない。この日を過ぎると日が次第に短くなり、9月には肌寒くなって秋が訪れる。長い冬を乗り切るためには、夏を楽しむこと、そして来年の夏も同じように楽しめることが心の支えになるのだ。夏至祭はイベントそのものの楽しさだけでなく、ラトビアの人々の精神性を感じることができる国民的なイベントである。
【参考】
◇Lauku celotajs:
https://www.celotajs.lv/en/c/brand/cheese/janusiers#:~:text=J%C4%81%C5%86i%20cheese%20is%20a%20Latvian,can%20be%20added%20to%20taste.
◇Live Riga:
https://www.liveriga.com/en/9342-midsummer-festival-in-dzeguzkalns-1