日常に深く根差したスポーツ|エストニア
冬は雪の国、エストニア。雪が横に吹き付けるような日は外にいる人は少ないものの、少し晴れ間がのぞく日があるとみんなこぞって外に出てくる。そんな冬の日常の中で、ふとした瞬間にエストニア、寒い地域特有の光景に出会うことがある。日本の文化や生活とは異なるエストニアの日常風景とそれを構成するスポーツを紹介していく。
日常に深く根差したスポーツ
著者:エストニアgram fellow さえきあき
公開日:2024年2月5日
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冬のこどもたちの移動手段
エストニアでは除雪車は道路を優先して除雪し、歩行者通路は道に面する各家庭が任意で雪かきをすることが求められている。そのため、雪や雨でコンディションが悪くなってそのままにしてある歩道もたくさんある。あくまで家の前に面している歩道は家を持っている人の管轄であり、自治体ができることといえば雪を溶かす石のような粒のようなものを適宜投げておくくらいだ。そのため、冬の歩道というのは基本的にコンディションが悪い。この上を小さな子どもが歩くとどうなるか、間違いなく転ぶだろう。
そういったことを防ぐためなのか冬の時期の子どもたちは……
ソリに乗っている。
この親子が特殊なわけではない。街中でも街から少し外れたところでも場所に関係なく小さな子どもは親にソリに乗せられている。信号待ちをしている夫婦も信号が青に変わった瞬間、子どもを乗せたソリを引っ張り歩き始める。どうやらエストニアでは冬の時期に小さな子どもを連れて外を歩く場合、ソリに乗せてひっぱっていくのはそう珍しいことではないらしい。ちなみに、ソリに座らされている子どもは防寒のためプクプクに着ぶくれした状態で、後ろから見るとぬいぐるみのようになっている。
歩くスキーの練習風景
歩道から少しそれて大きな公園等に出ると、スキーの練習をしている人も年齢関係なく見かける。スキーといっても日本の急斜面を足をそろえて滑っていくようなものではなく、エストニア特有の高低差のない平地に近いゆるやかな地形の上を大股で歩くように滑っていくものだ。ノルディックスキーと呼ばれるものの一種である。
なぜノルディックスキーをする人が広い公園等にいるのかというと、やはりエストニアで開催される大会が関係しているだろう。
エストニア南部の都市タルトゥでは、毎年2月に「Tartu Maraton」と呼ばれるノルディックスキーの一種であるクロスカントリースキーの大会が開かれる。1960年に初めて開催されて現在まで続いており、この大会はクロスカントリースキーの普及に携わる国際連盟の関係する全世界20ある開催レースの中のひとつである。最も参加者が多かった回は13,200人の参加があったそうだ。開催地のタルトゥは人口10万人の小さな都市のため、大会の規模がいかに大きいかがわかる。
(参考:WORLDLOPPET https://www.worldloppet.com/results/)
ショッピングモールの中にあるアイスリンク
写真は街で一番大きなショッピングモールの中にあるアイスリンクだ。日本の商業施設やテーマパークも冬になれば期間限定でアイスリンクを設置しスケート体験ができるような仕掛けをしているが、ここエストニアには年中使えるアイスリンクを内包した建物がある。写真を撮ったのも8月だ。
ここはアイスホッケーやスケート等の習い事、またはクラブ活動としてアイスリンクが使われており、日常生活の中にどれだけウィンタースポーツが親しみのあるのかということがうかがえる。ショッピングモールの中心部にあるので買い物をしているとアイスリンクを滑走する音が聞こえてきて、日本ではすることがない体験に驚かされる。
まとめ
エストニアの冬季の風景は日本のそれとは大きく異なり、そこでのクティビティも日本人からすると新鮮に目に映る。気候や地形が異なるとポピュラーなスポーツが変わり、ウィンタースポーツに関しては日常生活に深く根付いている。
ビジネスにおいても、気候と地理環境への理解を示し地域文化に配慮することは、現地で成功するためには重要である。これらの地域特有の特性を理解し、尊重することが成功のカギとなるだろう。