持続可能都市の新潮流:タルトゥ市の自転車シェアサービス
自転車シェアリングが主要都市で普及し、持続可能な都市開発への取り組みが進む中、エストニアのタルトゥ市でもシェアバイクサービス「Tartu Smart Bike」が活用されています。簡単なアプリ操作で自転車を借りられ、市内全域にシェアポイントがあるため利便性が高く、留学生や駐在員など限られた期間の滞在者にも喜ばれています。
今後のモビリティサービスの動向にも注目が集まります。
エストニアのシェアバイクを利用してみた
著者:エストニアgram fellow さえきあき
公開日:2023年5月10日
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世界的なトレンドは自転車や歩行者に優しいまちづくり
昨今、世界では「sustainable(持続可能な)」を目標とした商品開発や、限りある資源の有効活用が求められている。その持続可能な発展はまちづくりやそれに関わるサービスにも適応され、自転車を交通手段として広く使おうという取り組みがEU内では活発に見られる。自転車を中心に据えた都市として有名なのは、デンマークのコペンハーゲンやオランダのアムステルダムだろう。それらの成功都市に倣い、他のヨーロッパの都市でも自転車・歩行者に優しいまちづくりとサービスの提供がされている。そのひとつが自転車をシェアするシェアバイク事業で、エストニア第二の都市タルトゥでも行われている。
タルトゥのあるシティバイクスポットの様子。車体は黒で荷物をいれるかごもしっかりついている。
タルトゥのシェアバイク
サービスは「Tartu Smart Bike」という名前だ。一般的な自転車シェアサービスと同じくスマホを使ってサービスを利用する。会員登録をしたら乗車時間に合わせてチケットを選び、購入するというとてもシンプルなフローだ。チケットの最低料金は2時間2€で、定期のような30日間のチケットもある。
自転車を借りられる場所についてはアプリから確認できる。地図を表示しただけで自転車を借りられる場所が市内全域にあることがわかり、自転車を返却するためのラックも多くある。
市によると、750台の自転車が69のスポットに分散して配置されているとのことだ。毎日通勤や通学で使う人は自分の自転車を持っていると仮定すると、かなりの台数だ。
(引用元:TARTU https://tartu.ee/en/bike-share)
専用アプリの使い方
初めに、マップ上から自転車がある場所を探してそこへ向かう。アプリに表示される青いピンが自転車のシェアポイントで、そこをタップすると自転車が何台あるか、電動の場合は充電具合もこの画面から確認できる。
画面下部に選択したスポットの情報や自転車1台ずつの情報を表示してくれる。
次に、自分がどのくらい自転車を利用するかを考えてチケットを買う。購入した時点から時間がカウントされていく点は注意が必要があるだ。例えば、「明日2時間くらい自転車を使いたいから今日のうちにチケットを忘れないように買っておこう」と購入すれば2€が消えることになる。チケットの数に限りはないので、自転車を使いたい時にその場で買うようにしよう。
最後に「アンロック」のボタンを押して自転車に記載されている番号を入力するか、またはハンドル部分についている液晶に表示されるQRコードを読み取る。すると音が鳴りロックが解錠され、ラックから自転車を取り出せば利用可能だ。
実際に使ってみた感想
登録してチケットを購入さえできれば、使用するのは簡単だ。アプリで自転車の位置を確認できるし、市内全域にシェアポイントがあるため自転車の返却場所にも困らない。
少し厄介なところをあげるとすれば、1回の乗車時間の限度の1時間を超えるとペナルティとして1€かかる点だ。つまり、2時間のチケットを購入したら、最初の1時間が終わるまでにどこでもいいから自転車ラックに一度収納する必要がある。収納さえすれば、再度前項のアンロックの手順を踏んで残りの1時間が使えるようになる。
この1時間毎に自転車ラックに寄らなければいけないシステムの理由はわからないが、おそらく管理会社が自転車の場所確認や盗難の確認をするためだろう。自分で時間管理をしなくても自転車についているディスプレイに残り時間が表示される点は便利だ。
まとめ
街中を歩いていると地元民も普通に使っている様子がうかがえ、以前紹介したBoltのスクーターとともにかなり普及しているようだ。Boltのスクーターが若い学生向けだとしたら、シェアバイクはそれより上の年齢層に使われているように感じる。
留学生や旅行者、仕事での駐在のような限られた期間しか滞在せず、自転車を購入するほど頻繁には使わないという層にとっては、必要な時に少額を払って利用できるシステムはとてもありがたい。
自転車を主要な交通手段として利用を促進していく動きは世界的に見られており、今後のモビリティサービスの動向に注目だ。