グラミー賞から読み解く:J-popとK-pop アメリカビジネスの進め方の違い

アメリカ

今年のグラミー賞、皆さんはご覧になりましたか?
今年の授与式の放送で、昨今国際的に大人気のBTSが歌って踊っているのを観ました。彼らは昨年もノミネートされていましたが、コロナでアメリカの会場には来れず、映像での出演でした。今年は韓国からアメリカに来て素晴らしいパフォーマンスをしてくれました。歌もダンスも上手ですよね。
そんなパフォーマンスを観ながら、どうして日本のアーティストはグラミーに出ないのだろう?と不思議に思いました。
周りのアメリカ人に聞いたり、アメリカ人の書いたブログなどを調べてみました。すると共通する意見がいくつかありました。
その考え、仕組みや趣向がグラミーだけでなくアメリカ、日本間のビジネスのヒントになるかと思い、記事にしてみました。

グラミー賞から読み解く:J-popとK-pop アメリカビジネスの進め方の違い

    著者:シアトルgram fellow 土師 恵
公開日:2022年5月2日

韓国のアーティストにあって日本のアーティストにないもの

個人的には、日本のアーティストのダンスも歌もBTSに負けないくらい素晴らしいと思っています。
筆者にもダンスをしている時期があったのですが、日本のアーティストやグループの踊りを完コピしようとしてもなかなか難しいですし、あんなに素敵に歌って踊るというのはとにかくすごい技術です。
日本のアーティストの素晴らしいパフォーマンスの技術は正直に言ってアメリカでも通じる、と筆者は思います。
ではJ-popとK-popで何が違うのか調べてみました。

アメリカのテレビでみるグラミー賞の様子

英語力

多くのアメリカ人の意見が、J-popというのは「完全に日本向けに作られていて、海外は視野に入れていない感じが受け取れる」というものでした。
これは、多くの場合「歌詞が日本語ばかりなので意味が分からない」というのは勿論の事、「アーティストには日本語のみを使う人が多く、インタビュー等で意識疎通がスムーズにできない」という事でした。
BTSには英語の歌もあるし、アメリカでTVショーに出たりと、韓国語だけでなく英語も使える様です。
日本のアーティストが同じ様にハイレベルなパフォーマンスをするとして、言葉の問題だけでグラミーに呼ばれないとしたら少し悲しいですね。

このことはビジネスにおいてはサービスを英語で説明したり、商品の説明書の英語版も作ってアピールしたりするなどの工夫に繋がると思います。

アメリカのテレビでみるグラミー賞の様子

情報シェアのあり方

K-popの方がJ-popよりも新曲やその他情報にアクセスしやすいという声があります。
確かにアメリカでは頑張って情報を得ないと日本のアーティストの歌を聴く事も姿を見る事もできません。
筆者の感覚では、最近はSNSの発展でこれが少し緩和された気がします。

リージョンロックや著作権の保護で動画を再生できませんの絵


しかし、アメリカでは日本のエンターテインメント産業自体に非常に厳しい制約があるという強い認識が持たれている様です。例えば、日本の楽曲は、Youtubeなどですぐ曲が削除されたり著作権で保護されたりすることが多い、との事です。つまり、楽曲や作品が強固に守られ過ぎていて歌や映像や歌詞が外国の人に届きにくく、翻訳されて広まる事もされなければ、他のアーティストがカバーして広まる事もないという事です。

つまり大衆に広まる機会が少ないということになります。

この事から、アーティスト本人の意向とは関係なく、日本のプロダクションやマネジメント側の会社がアーティストを海外市場でプロモートしていく事に興味がない、とアメリカでは思われている様です。

目当ての曲がリージョンロックをされている場合、その曲を聴くことさえできない可能性があります。
リージョンロックとは居住地域による視聴制限の事で、確かに、VPNを取得してIPアドレスを変更する事で視聴はできます。
しかし、ファンや元々興味がある人でなければ、一般大衆はそんな手間をかけてまでわざわざ知らないアーティストを探さないでしょう。

アーティストを売り出す側としても、もし甲乙付け難い程に素晴らしいパフォーマンスをするアーティストが2人いたとして、VPNを取得しIPアドレスを変更しないと楽曲が聴けないなら、取得しなくて良い方の方が手間が少ないですよね。

これはビジネスにおいては、情報に楽にアクセスできる工夫や広告宣伝方法にも関わってくるコンセプトだと思います。

価値観のガラパゴス化

K-popよりJ-popの方が価値観が独特、と言われる事もあります。
これは具体的には、日本では女性は可愛くあるべき、スリムであるべき、また、か弱そうである事や若い方を良しとする傾向の価値観です。アメリカでは日本のそう言った文化をJapanese kawaii cultureと呼びます。これは良い意味でも悪い意味でも使われます。

アメリカの価値観では女性は大人っぽくある方を推奨するの図

確かにそういった事を指摘する意見もあります。肯定的なコメントでは「きゃりーぱみゅぱみゅ可愛い」や「AKB可愛い」などファンの方からと推測される肯定的なコメントもありますが、否定的なコメントも多くあります。
「日常的でないコスチュームを着た、幼く細く小さく見える女の子がパンを咥えて走っている演出、この楽曲に関係あるの?」や「ハイスクールの制服を着て、似たようなメイクをしたスリムな女の子達が複数人で踊っている。しかもそういうグループが沢山あるが、全て同じに見えて個性が感じられない。しかもしばしばグループの中で順位を決めている」などです。

筆者にとってはそれぞれのアーティストやグループが可愛いらしく感じますし、大好きです。
独特の世界観やグループとしてのまとまりを強調する為に揃いの衣装でパフォーマンスしている事だったり、総選挙はエンターテイメントだったりすることは理解ができます。

なぜなら筆者は日本人だからです。

しかしアメリカ人の感覚では、過度に可愛いく見せる事やわざわざメンバーを全て同じに見せる事、オーディションでもないのに人に順位をつける事、しかもそれを頻繁に行っている事が滑稽な様です。

そもそもアメリカでは、女性に褒め言葉として「可愛い」という表現はあまり使いません。なぜならアメリカでは女性は可愛くあるべきでも、か弱くあるべきでも、スリムであるべきでも、若くあるべきでもないからです。

この考えはビジネスにおいては多様性のコンセプトにつながってくると思います。

まとめ

1つ目の画像はJ-popとK-pop世界ではどっちが流行っているかの図。K-popの方が流行っていte、なんと日本でも。
2つ目の画像は世界での興味関心の図です。2009年を境にK-pop が上昇している図です。
3つ目の画像は日本での都道府県別のK-pop とJ-popの流行り具合いです。K-pop の勝ちです。
4つ目の画像日本での興味関心の図です。K-pop の方が上回っています。

Googleのデータによると、2009年〜2011年にかけてK-popの快進撃が始まりました。それまではJ-popと同じ位の知名度でした。韓国のエンターテイメント業界が世界に向けて働きかけた結果でしょう。
これには、語学、マーケティングを含む情報へのアクセスのし易さ、世界基準の価値観にターゲティングするなど色々な勝因があると思います。

日本のサービスや商品の素晴らしさは、日本に住んでいた筆者は良く分かります。
しかし、アメリカでは日本は未だにミステリアスな国の一つの様で、情報があまり入ってこない、もしくは情報にアクセスしづらいという認識の様です。
たしかにアメリカで街を歩いていると、英語、韓国語、中国語の標識はありますが、日本語の標識は本当に全く見かけません。
日本企業がアメリカでビジネスを更に成長させるには、アピールし過ぎるくらいアピールすると良いかも知れませんね。

最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事が皆様のビジネスのヒントになれば幸いです。

 

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