ニュージーランドの飲食業による食品ロスを減らす取り組みとは?
近年は、各国で食品ロスの問題が重要視されており、SDGs目標12の「つくる責任つかう責任」に取り上げられています。家庭だけでなく、飲食業でも売り切れなかったものや使い切れない食品などの浪費がとても多いです。
そのため、ニュージーランドでは少しでも食品ロスを減らそうと企業やボランティアの人たちが取り組んでいます。今回は、実際にニュージーランドでどれほどの食品ロス問題が起こっているのか、またそれに対してどのような取り組みがあるのかを紹介します。
ニュージーランドの飲食業による食品ロスを減らす取り組みとは?
著者:ニュージーランドgramフェロー 河本 梨奈
公開日:2023年2月4日
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ニュージーランドは食品ロスの量が多いことが問題視
2018年の飲食業における食品ロス調査によると、ニュージーランド全体で年間24,372トン(1店鋪あたり年間2.8トン)の食品を捨てていることがわかりました。その要因の60%が食材の過剰な準備や作りすぎ、作り間違い、33%がお客による食べ残し、6%が食品が使う前に腐っていることです。
カフェではサンドイッチやスコーンといったキャビネットの食べものが売れ残って、次の日に使えなければ廃棄になります。スタッフで残ったものを持ち帰ることはありますが、それでも消費しきれないことが多く、準備食材のうち30%が廃棄となっています。
ニュージーランドのカフェでは1つの料理の量が多かったり、中華料理のお店で一人前の米の量がお茶碗の3杯ほどでどうしても食べきれないという人が、自分も含めて多くいます。この解決方法としてニュージーランドでは持ち帰り文化が発展し、お店で食べきれなかったものを持ち帰り、次の日に食べる人が多くなりました。それでも実際にカフェで働いている側としては食べ残しを捨てる機会が多いことを実感します。
ニュージーランドの食品ロスを減らすための取り組みを2つ紹介
近年では食品ロスを減らすために、企業や団体が主体的になって動いています。今回は日本ではあまり見かけない魅力的な取り組みについて2つ紹介します。
Food Print
Food Printは閉店前の売れ残り商品を割引して売るアプリです。使い方はとても簡単で、アプリで名前とクレジットを登録すると利用できます。通知を設定しておくと、どこのお店が売れ残りを値下げして販売しているのかをリアルタイムで教えてくれます。自分の欲しい商品を選択したら、前払いで取り置きできます。その後は閉店時間までに取りに行けばいいのでとても便利です。
本来であれば廃棄となっていた食品がFood Printを通して、以下のメリットが生まれます。
・飲食業側は食品ロスを減らしながら、利益を出すことができる
・飲食業側に新しいお客様が来る機会、客側には未開拓のお店に行く機会ができる
・環境保全につながる
スーパーの割引と違ってアプリで通知があるからこそ、売れ残りの商品を売り切る機会が増やせるのです。
The Food store
The Food storeはカフェやレストランなどの売れ残りを、ホームレスやお金に厳しい人に無料で渡すボランティア団体です。閉店前もしくは閉店作業の時間帯に登録されたカフェやレストランにボランティアの人たちが訪れ、廃棄される食品を集めて必要とする人々に配っています。
60店舗以上の飲食店が参加し、年間48万の食品を1日100人の人に配っています。廃棄されるはずであった食品の金額は260万ドル以上にものぼるそうです。
The Food storeの取り組みは、廃棄になる予定だった食品は求めている人たちのところへ届けられ、その結果廃棄ロスをカットでき環境にも優しいです。
まとめ
食べきれなかったものを持ち帰ったり、カフェやレストランの食品を安く売ることは、食品ロスを減らすことにつながります。アプリを使ったりボランティアとして活動したりと、食品ロス削減に取り組む人が多くなっていると感じます。誰もが簡単に取り組める行動を身近に取り入れていくことが、これからの食品ロスと環境に向き合う大事な一歩なのかもしれません。
【引用】
◇Foodprint:https://foodprint.app/#our-mission
◇The Free Store:https://www.thefreestore.org.nz/
◇LOVEFOOD hate waste NEW ZEALAND:
FOOD WASTE IN THE CAFE & RESTAURANT SECTION IN NEW ZEALAND
◇Wellington City Council:
Food waste in New Zealand