インドネシアのオンライン食品市場|デジタル革命と成長
日本のネットスーパー市場はデジタル化の進展とともに成長を遂げていますが、発展途上の一面もあります。一方インドネシアのオンライン生鮮食品宅配サービスは、急速な市場拡大とともに独自のビジネスモデルと消費者ニーズの変化に対応しています。
このコラムでは、インドネシアのオンライン生鮮食品宅配市場に焦点を当て、成長の背景、代表的なサービス、およびテクノロジーの影響について探求します。
インドネシアのオンライン食品市場|デジタル革命と成長
著者:インドネシアgramフェロー 尼野さらさ
公開日:2024年 2月28日
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インドネシアの麺文化
インドネシアのオンライン生鮮食品宅配市場は、デジタル経済の拡大と消費者行動の変化に伴い、急速な成長を遂げています。特に都市部でのオンライン食品購入が増加しており、Statistaの報告によれば、市場規模は2024年までに約10億ドルに達すると予測されています。中産階級の拡大とインターネット普及率の上昇によって、市場は拡大を続けています。
市場の競争は激化し、Sayurbox、Segari、HappyFreshなどの主要プレイヤーが市場シェアを争っています。迅速な配送、ユーザーフレンドリーなプラットフォーム、顧客満足度の向上を通じて、市場での地位を確立しようとしています。
(引用元:Revenue Online Food Delivery Indonesia by Segment|Statista
https://www.statista.com/forecasts/1227079/revenue-online-food-delivery-indonesia-by-segment)
インドネシアの代表的な生鮮食品宅配サービス
ここではインドネシア国内でも特に利用者の多いSayurbox、Segari、HappyFreshについて紹介します。各社それぞれスマートフォンアプリやオンラインショップを開発し、独自のビジネスモデルと戦略を展開しています。
◆Sayurbox
2017年に設立されたSayurboxは、インドネシアの生鮮食品宅配サービスにおける草分け的存在。新鮮な地元産の野菜や果物、肉を一般的なスーパーマーケットより安価に提供するオンラインマーケットプレイスです。10,000人以上の農家との協力により、高品質かつ多様な選択肢を100万人以上の顧客に提供しています。
(引用元:Sayurbox: Contact Details and Business Profile|RocketReach
https://rocketreach.co/sayurbox-profile_b44cc5ddfd5c04f0)
◆Segari
Segariは、Sayurboxと同じく、新鮮な果物、野菜、その他の食品を顧客に直接届けるサービスを提供しており、農場から食卓までわずか15時間以内に配達する迅速さが特徴です。2020年にサービスをスタートした同社は、合計で3900万米ドルの資金を調達し、WhatsAppビジネスプラットフォームの採用により、わずか1年で収益が12倍に増加しました。顧客エンゲージメント率は50%に達しています。
(引用元:Segari – Crunchbase Company Profile & Funding|Crunchbase https://www.crunchbase.com/organization/segari)
◆HappyFresh
HappyFreshは、最短90分以内に食料品を配達するサービスを提供しています。大型スーパー、日系スーパーなど実店舗の商品をオンラインで注文できるので、現地在住日本人にも利用者の多いサービスです。東南アジアでのオンライン食料品配達サービスの成長ポテンシャルが今後5年間で7%から8%に達すると予測されています。
(引用元:HappyFresh CEO: Southeast Asia ripe for growth in online|S&P Global
https://www.spglobal.com/marketintelligence/en/news-insights/trending/BYPHFRXci5_-QLwiCAKHIQ2)
インドネシアにおけるデジタル革命の影響
インドネシアのオンライン生鮮食品宅配市場は、デジタル化とイノベーションの進展により大きく変化しています。特にQRコード決済の普及が目立ち、日本よりも早く市場全体で広く受け入れられています。これにより、消費者はオンラインでの食品購入が手軽に行えるようになり、利便性が向上しました。デジタル化は顧客との直接的なコミュニケーションを促進し、市場のトレンドを迅速に捉えることが可能になっています。
筆者の個人的な経験に基づくと、日本のネットスーパーや生協と比較して、インドネシアのオンライン生鮮食品宅配サービスは、その設計段階からオンラインを前提としているのでより効率的な利用体験を提供していると感じます。日本のサービスが従来のスーパーマーケットでの購入や紙媒体での注文の延長線上にあるのに対し、インドネシアのサービスは初めからデジタル化を念頭に置いて設計されていて、その結果、利用者にとってよりスムーズで便利なサービスが実現されています。
まとめ
インドネシアのオンライン生鮮食品宅配市場は、デジタル決済の普及と消費者ニーズの変化により、急速な成長を遂げています。Sayurboxなどの主要プレイヤーは、迅速な配送と顧客満足度の向上により市場での地位を確立しています。これらの進展は、市場の効率化、顧客体験の向上、新たなビジネスチャンスの創出に寄与し、インドネシア市場の成長を牽引しています。