マレーシア味の素 セレンバンに新工場を正式開所
2022年12月10日、マレーシア味の素は、ネグリ・センビランの州セレンバンの「バンダル・エンステック・ハラル・ハブ」エリアに新工場を正式開所したことを発表しました。
マレーシア味の素はマレーシアに設立された最初の日系企業の 1 つで、1961 年に事業を開始し、うま味調味料「味の素」は、今やマレーシアの家庭ではなくてはならないものになっています。
今回はマレーシアの日系企業の老舗「味の素マレーシア」と味の素の海外進出について紹介します。
マレーシア味の素 セレンバンに新工場を正式開所
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年2月16日
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工場の新築移転
マレーシア味の素は、1965年にクアラルンプールの郊外ジャラン・クチャイ・ラマに敷地面積10万㎡(東京ドーム2.2個分弱)の工場を開所し、うま味調味料の生産を開始しました。今回開所した新工場はクチャイ・ラマ工場を移転新設したもので、18.8万㎡の敷地に延床面積5.4万㎡の工場を93億円を投じて建設しました。
移転先となる工業団地はハラルに準拠したインフラが完備されており、ロジスティクスも良好で、最新の機材や技術が導入されたスマートファクトリーであり、従業員の娯楽施設などもあって従業員が長期的に働きやすい環境を提供します。
ハラル認証
マレーシアの食品産業は「ハラル」の認証制度を避けて通ることはできません。
マレーシアは価値観が多様で、異なる価値観が認められていますが、実際にはハラルとノンハラルが共存しています。マレーシア国民の7割近くがイスラム教徒であり、多くのイスラム教徒は「ハラル」の認証に対して敏感です。
マレーシアのハラル認証団体JAKIMのハラル認証は、世界のイスラム諸国の中でも高い信頼を得ています。現在その認証を得ている企業は8000社弱ありますが、マレーシア味の素はその中でも優れた取り組みを行っている「ホワイトリストカンパニー」として表彰されています(ホワイトリストカンパニーはわずか90社ほどしかありません)。
かつて味の素は、インドネシアでそのハラル性が大きな問題となったことがあり、マレーシアなどのイスラム諸国で何度もデマ拡散と風評被害による影響を被っています。味の素はハラルに対する理解を深めて取り組みを強化してきており、その姿勢が高く評価されています。
味の素の海外進出
味の素は、池田菊苗博士が1908年に昆布だしに含まれる味の成分であるグルタミン酸を発見し、その味をうま味と名付けました。鈴木三郎助氏が池田博士の「食を通じて社会に貢献したい」という願いを共有して1909年に事業を開始し、世界初のうま味調味料「味の素」を発売しました。創業2年目の1910年に台湾や韓国に「味の素」を輸出したのが海外進出のきっかけです。日本の企業の中でもかなり早い時期に海外進出を果たしています。
味の素の海外進出のポイントとしていえるのは、現地生産への転換です。これは海外市場での売上高が増大し、現地政府の輸入規制が始まったことをきっかけにスタートしています。
その後は、進出する先の国の人口が多いか人口増大が見込まれることを条件に進出を続け、R&Dは海外の現地で行って国や地域に応じた事業展開を強化しています。
様々な調味料を開発し、現在では冷凍食品が主力商品となっており、冷凍食品のトップブランドになりました。今や26の国・地域に海外拠点を持ち、130以上の国・地域で事業を展開する、日本が誇るグローバル企業です。
ASEAN5ヶ国(タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム)では、ASEAN留学生向け奨学金を「味の素奨学会」が行っており、社会に貢献し得る人材の育成に寄与しています。
マレーシアの味
屋台やレストランなどで炒めものを頼むと、味付けはまず「味の素」と言っても過言ではないでしょう。キッチンにアの赤いデザインの袋が見えます。スーパーでも棚の幅広く陳列されていて、多くの人が購入していきます。味の素はマレーシア人の食卓に深く浸透しており、マレーシアに来て改めて驚きをもってそのすごさを感じています。