マレーシアで静かに広がる新スポーツ「ピックルボール」

最近クアラルンプールのコミュニティセンターやモール、コンドミニアムの多目的コートでは、見慣れない競技を目にする機会が増えてきました。
テニスのようでバドミントンよりもコートが小さい。年配の人もいれば、若いカップル、親子連れまで混ざって、みんな楽しそうにラリーを続けています。それが、いまマレーシアで急速に人気が沸騰している「ピックルボール」です。
(引用元:Pickleball craze takes over Malaysian courts (with video) | The Star
https://www.thestar.com.my/metro/metro-news/2025/08/09/pickleball-craze-takes-over-malaysian-courts)

マレーシアで静かに広がる新スポーツ「ピックルボール」
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2026年03月12日
ピックルボールとは何か?

ピックルボールは、テニス、バドミントン、卓球、この3つの要素を融合させたスポーツと言われています。硬式テニスほど体力を必要とせず、卓球よりもダイナミック。ラケット(正確にはパドル)は軽く、ボールは穴あきのプラスチック製です。コートも小さいため、運動経験が少ない人でもすぐにラリーが続くのが最大の特徴です。
なぜマレーシアで広がっているのか?
最新のデータでは、Reclubというピックルボール専用のアプリでは、ユーザー数が約143,000人 を超え、マレーシアがアジアで最大のピックルボール流行地となっていると報告されています。マレーシア国内ではクラブ数や専用コートも増加中で、全国規模でのムーブメントになっています。
マレーシアでの流行には、いくつかの理由があります。
① 年齢を問わない「参加のしやすさ」
マレーシアでは、健康志向の高まりとともに無理なく続けられる運動が好まれる傾向が強くなっていて、ピックルボールは、そんなに激しい運動ではなく、ケガのリスクも比較的低いため、中高年層にも受け入れられています。
② コンドミニアム文化との相性
都市部のコンドミニアムには、テニスコートや多目的ホールが装備されていることが多く、ピックルボールは既存の施設を転用しやすいため、新たな大規模投資が不要という点も普及を後押ししていると見られています。
③ バドミントンが国民的スポーツ
マレーシアでは、マレー系・中華系・インド系、そして外国人居住者が自然に交わることができるバドミントンが国民的スポーツになっていて、ルールがシンプルで、言語に頼らなくても楽しめるピックルボールも、国籍や文化を越えた交流ツールとしても機能しています。
現場で感じる空気感
面白いのは、試合中の雰囲気です。勝ち負けにこだわりすぎず、ミスが出ると自然に笑いが起こります。他のスポーツよりも遊んでいる感があり、ちょっと体を動かしながら人とつながる場、そんな空気が流れていて、社交のムードが強く感じられます。これは効率や成果を重視しがちな最近の社会の中で、本来のマレーシアの生活らしい余白を感じさせる光景でもあります。
これからの広がりは?
現在は、クアラルンプールやペナン、ジョホールバルといった都市部を中心に広がっていますが、今後は地方都市や学校教育、企業の福利厚生プログラムなどにも少しずつ広がっていく可能性が高いと考えられます。正式な競技化よりも先に、生活の中の簡単なスポーツとして根付いていくでしょう。それがマレーシアにおけるピックルボールの自然な進化形かもしれません。
定着するか?
マレーシアでは「ピックルボールは一時的な流行か」という声もあります。一部では、インフラや国内競技組織の成熟度がまだ途上であるとの指摘もあり、今後、どのように定着していくのかに注目が集まっています。しかし、コートに集う人々の笑顔を見れば、勝敗よりも楽しむ時間の方がずっと大切だと思えます。そんな日常の変化が、今ここにあります。マレーシアの都市生活に、新しい運動を含んだ交流が生まれつつあるのは事実です。
ピックルボールは単なるスポーツのブームではなく、確実に人を集め、笑顔を生み、世代や経験を越えて人をつなぐ新たな接着剤のように機能しているのかもしれないと強く感じています。


















