2024年は増税ラッシュに?|マレーシア
マレーシアは2024年の予算で税制改革を検討しており、アンワル・イブラヒム首相がその方針を先日明らかにしました。
2024年予算は、アンワル氏が首相に就任してから初の通年予算となります。
コロナ禍からの経済回復が進む中でも、2024年は依然として経済の安定が求められる重要な時期となるでしょう。
この記事では、マレーシアの税制の変更予定点や現在の経済状況についてとり上げます。
2024年は増税ラッシュに?|マレーシア
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年4月15日
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サービス税 (SST) の税率 6% から 8% へ
マレーシアが現在導入している「SST(Sales and Service Tax)」は、販売およびサービスについて課せられる税金です。
SSTは、消費税である「Goods and Services Tax(GST)」にとって代わるものとして、2018年に導入されました。
GSTが6%であったのに対して、SSTの場合は販売税(Sales Tax)とサービス税(Service Tax)の2つの要素で構成されています。
このSSTは2024年3月1日から、6% から 8% への引き上げが実施されました。
ただし、必須のサービスとみなされる飲食のほか、通信サービス、物流サービスや駐車場サービスには適用されていません。
キャピタルゲイン税 (CGT)の拡充
マレーシアでは、キャピタル・ゲイン税は、原則として不動産の売却に対してのみ課税されていました。
この度の税制改正により、2024年3月1日から、マレーシアで設立した非上場企業が株式の処分によって純利益を得た場合についても、10%の税率で課税されることとになっています。
ぜいたく税の導入
昨年発表された2024年予算案では、一定の価格を超える宝飾品や時計などぜいたく品を購入した場合に、ぜいたく税として5~10%の税率で課税する内容が盛り込まれました。
キャピタルゲイン税同様、ぜいたく税は国内経済への影響が大きいと考えられるため、政府は慎重に判断を下すようです。
最も税収が低い国
マレーシアは東南アジア諸国の中でも最も税収が低い国のひとつで、国際通貨基金(IMF)などの国際機関から、税収などでより多くの資金を呼び込むよう再三求められています。
法人税や所得税などの直接税に大きく依存しており、これらが税収全体の65%を占めています。これに対して商品やサービスにかかる間接税などの税金はわずか26%に過ぎません。直接税は景気の影響を受けやすいため、マレーシアの税収は変動しやすいです。先年のコロナ禍などのような景気低迷時には急激な税収の減少につながる可能性があり、リスキーであると指摘されています。
経済の見通し
2023年は経済活動がコロナ禍からの復調が進み、年間の成長率も前年比8.7%アップと大きく上昇しています。
しかし、ウクライナ戦争などの影響で外需が落ち込んだことで成長のペースが鈍化し、2024年の経済成長率は4.3~4.6%と予測されています。
世界経済の減速により輸出の停滞が予想され、民間投資も伸び悩みが予想されています。
周辺諸国との協力が不可欠
マレーシアは東南アジア地域の周辺諸国と、経済的に非常に密接な結びつきを持っています。
中でもシンガポールとは地理的に近接していて、シンガポールの労働力を下支えしている側面もあり、非常に強力な経済的な結びつきがあります。
この記事でも何回か紹介しているように、現在ジョホールバルとシンガポールを結ぶ高速輸送システム(RTS)鉄道の建設工事が半分以上進み、2026年末までには予定通り完成、運行する見通しになっています。
日本企業連合は撤退しましたが、クアラルンプールとをシンガポールとを結ぶ高速鉄道計画も再開しています。
東南アジア諸国は中国との関係もそれぞれ強く、諸国間での結びつきも強化されています。
中国との関係性を見据えながら、周辺諸国でのより強力な関係性が、現在は必須となってきています。