シンガポールの中国正月(春節)
中国正月(旧正月)は春節とも呼ばれ、中国暦において最も重要な行事です。東南アジアや世界各地でも祝われており、香港や台湾はもちろん韓国、北朝鮮、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ブルネイなどでも祝日となっています。
今回は、シンガポールで祝う中国正月について紹介します。
シンガポールの中国正月(春節)
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年1月23日
旧正月(春節)
旧暦で正月を祝う中国文化圏では、グレゴリオ暦の1月1日ではなく、この春節のタイミングが1年の始まりで、70%を中華系で占めるシンガポールでは、1年で一番大きなイベントになっています。
シンガポールでは、2023年は1月22日(日)・23日(月)の2日間が「チャイニーズ・ニューイヤー」として祝日となっています。
旧正月には何をする?
幸運と繁栄に満ちた新しい年を迎えるために、大晦日の深夜には花火でお祝いし、新年になると多くの家の玄関は春聯(しゅんれん)と呼ばれる赤い色をした縁起の良い貼り紙で装飾されます。また、吊るされたランタンや、繁栄を象徴するといわれる金柑の木に赤や金で装飾します。子供に配るお金の入ったお年玉袋(「紅包(ホンバオ)」でシンガポールでは福建語読みで「アンパオ」と呼ぶのが一般的)や、街を歩く人が新調した赤の色合いの服など、さまざまな場面で赤を目にします。
「福」と書かれた正方形の赤い紙を逆さまにして家の玄関に貼ります。これは「福がすでに来た」ということを表しています。
また、みかんをプレゼントする習慣もあり、これはみかんを表す中国語と「吉」を表す中国語の発音が似ているからとされています。
旧正月前には、日本と同じように家を大掃除するのが一般的で、竹のほうきで床を掃いて邪気を追い払います。反対に旧正月中は、幸運が遠のかないように、掃除を避けます。また髪を切ることは「幸運を切り捨てる」と考えられていて、みんな旧正月前にこぞって散髪を済ましてしまいます。
「魚生(ユーシェン)」
もう一つ大切な習慣は、普段は離れて暮らしている家族が集まって一緒に食事をすることです。この時食べる年越し料理は「年夜飯(ニエン・イエン・ファン)」と呼ばれていて、代表的なのが「撈起(ローヘイ)」と呼ばれる魚の料理(刺身サラダ形式)です。「魚生(ユーシェン)」とも呼ばれ、かき混ぜ、箸で持ち上げる時に「ローヘイ」とかけ声をかけるのでそう呼ばれるようになりました。大勢で箸でサラダを豪快にごちゃまぜにして食べる楽しい風物詩です。
イベントで祝う旧正月
今回はコロナ禍で中止されていたいろいろなイベントが再開される予定です。
シンガポールの旧正月のイベントで人気があるのは「チンゲイ・パレード」です。このパレードは、今や国際的なイベントになっており、世界各地から数多くのパフォーマーが参加します。パレードは市庁舎からサンテック シティへまで進み、伝統的な中国の曲芸や、ドラゴンダンス(竜の舞)やライオンダンス(獅子の舞)などが披露されます。美しいランの花や最新のコンピューター技術で装飾された壮観な山車は必見です。
また、チャイナタウンは多くの色鮮やかなランタンで飾られ、散策の目を楽しませてくれます。
日本とは違う祝いかた
日本の静かなお正月の過ごし方とは違った中国正月。シンガポール全体がとっても華やかなムードに包まれ、楽しい雰囲気を感じることができます。元旦に日本の新年を迎え、すぐにまた旧正月でフレッシュな気分が味わえて、身も心も引き締まります。