シンガポール:富裕層人口ランク、都市別で世界5位

シンガポール

英国の調査会社ヘンリー&パートナーズが公表した世界主要都市の富裕層人口ランキングで、シンガポールは世界5位となり、アジアでは東京に次いで2位でした。
ほかの都市に比べ小さな都市国家でのランク入りは、さすがにすごいことだと思います。
今回の記事では、シンガポールの富裕層について解説します。

富裕層人口ランク、都市別で世界5位

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2022年10月日

世界有数の富裕層が集まる都市

シンガポールの富裕層人口は24万9,800人。うち資産が1,000万米ドル以上の「マルチミリオネア」は8,040人、1億米ドル以上の「センティミリオネア」が336人、10億米ドル以上の「ビリオネア」が26人となっており、2022年に入ってからの富裕層人口の増加率は1%で、年初からの富裕層の人口の増加率は1%でした。
なお、1位はニューヨークで富裕層人口は34万5,600人、以下2位は東京(30万4,900人)、3位はサンフランシスコ・ベイエリア(27万6,400人)、4位ロンドン(27万2,400人)、6位ロサンゼルス&マリブ(19万2,400人)、7位シカゴ(16万100人)、8位ヒューストン(13万2,600人)、9位北京(13万1,500人)、10位上海(13万100人)と続いています。
人口比率でみると、シンガポールは「ミリオネア」の人口比率は7.5%で2位、1位のオーストラリアが8%、3位の台湾が5.9%となっており、世界有数の富裕層の多い都市となっています。
HSBC(香港上海銀行)は、シンガポールの人口に占める富裕層の割合が今後8年間で豪州や米国、中国を上回り世界一となると言及しています。

富裕層が集まる理由

シンガポールに住む富裕層には世界的な投資家であるジム・ロジャーズ氏、フェイスブックの共同創業者であるエドゥアルド・サベリン氏、スペインのサッカーチーム「バレンシア」のオーナーである投資家ピーター・リム氏などが名を連ねています。
シンガポールに移住した日本人の富裕層は、ビジネスや投資などで成功をした人が多いです。最近は、仮想通貨で稼いだ人たち、20代や30代で若くして億万長者になったがシンガポールに来るケースも増えています。
全体の傾向として、長者番付に名を連ねる人々の多くは不動産、投資家、石油取引、銀行業などが多いようです。
そういった富裕層がシンガポールに集まる理由は、主に3つあると思われます。
まず、税金面で大きく有利で、シンガポールは税金面で「お金持ちほど得をする」という傾向があります。所得税の最高税率は22%で日本の45%に比べるとたったの半分程度です。配偶者控除などのさまざまな控除があって、税負担を抑えることが可能です。また贈与税や相続税がないので、日本のように「3代続くと財産はなくなる」というようなこともありません。
2つ目はやはり英語が共通語であることがあげられます。
3つ目は教育水準が高く、インターナショナルスクールも数多くあることで、ジム・ロジャース氏の移住理由もここにあると述べています。

映画「クレイジー・リッチ」

2018年に公開された大ヒット映画「クレイジー・ リッチ」は、シンガポ ールのエリート富裕層のばかばかしいほど豪華絢爛 なライフスタイルが描かれています。たしかに街中ではフェラーリなどの高級車をよく目にします。車に課せられる関税が非常に高く、日本の普通車でも日本の3~4倍の価格になるシンガポールなのでそのリッチさがわかると思います。
富裕層が多い一方で、月収10万円以下の低所得者層が人口の2割程度にも及ぶとされており、「富の格差」は非常に大きく、完全に格差社会でもあります。

不平等の拡大

教育に対する富裕層のお金のかけ方は目を見張るものがあり、シンガポールでは「富の格差」が「学力の格差」にもつながっています。コロナを経て教育格差がさらに広がりつつあり、子どもの貧困問題がますます深刻化し、不平等が拡大している感があります。
シンガポールの「光」と「影」がこの記事から垣間見られます。

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