シンガポール人が日本を褒めなくなった理由

シンガポールと日本の関係は親密です。
日本食、四季の風景、歴史文化の体験──日本の魅力は、世界各国で高く評価されています。親日度調査では東南アジア諸国全体で日本への好感度が高く、シンガポールも含め多くの国で「好き/大好き」と答える人が90%を超えています。
そして訪日シンガポール人は、何度も日本を訪れるリピーターが多いことでも知られてきました。しかしここ数年、シンガポールの友人や知人と日本の話題をすると、以前と少し違う空気を感じることがあります。それがどういうことなのか、考察してみましょう。
(引用元:Singapore’s international travellers rethink global travel amid rising costs and shifting destination perceptions
https://yougov.com/articles/53717-singapores-international-travellers-rethink-global-travel-amid-rising-costs-and-shifting-destination-perceptions)
シンガポール人が日本を褒めなくなった理由
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2026年 03月31日
- シンガポール人が日本を褒めなくなった理由
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いまだに「好き」であり続ける国

過去のデータでは、シンガポール人の約78%がリピーターであるとされています。この点だけを見れば、日本は変わらず人気に見えるでしょう。
けれど、ここ数年、シンガポールの友人や知人と日本の話題をすると、以前と違い、評価が複雑になってきたというのが正直な印象です。
こうした変化にはいくつかの背景が見えてきます。
① 旅行コストが重い
まず、旅行そのものの価値観が変わりつつあることです。2025年の調査では、シンガポール人旅行者の多くが旅行のコスト上昇を実感しており、航空運賃や宿泊費の上昇が海外旅行の計画に影響を与えているというデータがあります。日本旅行も例外ではありません。円安が進行しているとは言え、実際の出費は決して安くはなく、以前のように気軽に行ける場所という評価ではなくなっています。
② 観光体験の「質」を重視
これは個人的な観察ですが、SNSや現地の会話の中で、「日本旅行は見るものが多い」という評価から、体験としての価値をより重視する声が増えているように感じています。たとえば単なる観光地巡りだけでなく、現地での新鮮な体験や地方の暮らしなどの深い体験を求める傾向が強くなっています。
③ 「混雑」に対する不満
訪日旅行者数は増加傾向が続いています。2025年にはシンガポールからの訪日者数が約72万人と過去最高を記録しました。これは人気の証でもあるのですが、同時に混雑という現実も伴っています。人気都市は外国人旅行者で混み合い、SNS上では「日本は美しいけれど、余裕がなくなっている…」という声も少なくありません。
④価値観の変化
また、シンガポール人の旅行スタイル自体が変わりつつあることもポイントです。
かつては観光地に行くこと自体が旅の価値でしたが、今は、その場所で何を感じたか、暮らしや価値観の違いを肌で感じる体験を重視する傾向が強まっています。これは小旅行では味わえない、新鮮な体験を求める動きが強まっていることを示しています。
⑤ 「当たり前」になってしまった好感度
親日度調査でも分かるように、日本への好感度自体は依然として高いままです。
問題は、好感度と褒める理由が一致しなくなってきたことです。日本が好きという気持ちは変わらない。しかし、日々の会話の中では、日本を素直に褒める理由を探しにくくなっているように感じるのです。
静かな評価の変化
日本への評価が下がったわけではありません。むしろ、評価が成熟してきたとも言えるのではないかと思います。シンガポール人が日本を語るとき、かつてのような、ただ素直に褒める言葉は減ったかもしれません。けれどそれは距離が冷めたのではなく、価値観が細分化して、評価する言葉を選ぶのに慎重になってきた表れのように感じられます。






















