シンガポール QRコード利用出入国で効率化を実現

2024年にQRコード決済を利用した出入国システムが導入されて以来、5,030万人以上の旅行者がシンガポールの陸上検問所で、パスポートなしのQRコードの利用で入国審査を受けたことが発表されました。
開始時にこちらで紹介しましたが、予想以上に利用者が増えているようです。
今回はシンガポールの出入国の現状と今後について深掘りして解説します。
シンガポール QRコード利用出入国で効率化を実現
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年 7月24日
自動車旅行者の約70%が利用

シンガポール入国管理庁(ICA)の発表では、この期間中に3,000万人以上の旅行者が車でQRコードによる通行許可を利用しており、これは自動車旅行者の約70%に相当します。
2025年3月の学校の休暇期間中は、2024年の同時期と比較して1時間あたり2,000人多い旅行者を通過させることができたと発表しました。これは、QR コードによる出入国をする人が増えたためと解析しています。
30%の高速化を達成
また同庁のチュア上級副長官は、「QRコードの導入により、入国審査の30パーセントの高速化に成功した。この1年間で導入率は上昇しており、一般からのフィードバックも好意的だ」と語っています。
QRコードを活用した入国管理の最新動向
QRコードを用いた入国審査の導入されたことで、パスポートの提示を省略でき、これにより、4人乗車の車両で約20秒、10人乗車の場合は約1分の時間短縮が可能となり、全体の待ち時間が30%以上削減されるとも報告されています。
今後の展望
シンガポール入国管理庁は、2026年初頭までに全旅行者の95%が自動化されたレーンで入国審査を受けられるよう計画しています 。QRコードシステムのさらなる普及により、入国審査の効率化が進み、旅行者の利便性が向上することが期待されています。
懸念点とそれに対する対応策
効率化に成功したQRコードによる出入国管理ですが、まったく懸念や不安がないわけではありません。取り組むべき課題も存在します。
1、技術的な問題や使い方の難しさ
一部の旅行者はQRコードの生成や使用方法に戸惑いを感じていて、特に高齢者にとっては新しいシステムの導入は負担となる場合があります。
これに対してシンガポール入国管理庁は、モバイルアプリを通じてQRコードの生成手順を簡素化し、より分かりやすい設計を心掛けています。チェックポイントではスタッフが旅行者をサポートし、QRコードの生成や使用方法を案内しています。
2、セキュリティとプライバシーの懸念
QRコードを使用することで、個人情報の漏洩や不正利用のリスクを心配する声もあります。
これに対しては、公式のアプリのみを使用し、他の非公式なアプリやウェブサイトを利用しないよう旅行者に注意喚起しています。
安全でスムーズな手続きを目指す
QRコードを活用した入国手続きは、多くの利便性を提供していますが、上記のような懸念点も存在しています。さらに、偽のQRコードや詐欺のリスク、システム障害やトラブル時の対応などの懸念もまだ残っています。
ただ、旅行者は公式の情報源を利用して適切な手順を守ることで、これらのリスクを最小限に抑えることができますし、入国管理庁も引き続きシステムの改善と旅行者へのサポートを強化しており、安全でスムーズな入国手続きの実現を目指しています。
今後も社会的に調和を図り、経済的・国際的なニーズとのバランスを考慮しながら、さらなる改善が図られていくことでしょう。