英語能力指数でシンガポールは2位
先日、スウェーデンの教育大手会社により、英語能力を指数化した「英語能力指数」の2023年のランキングが発表されました。
世界113カ国、あるいは地域中でシンガポールが2位に入り、あらためて国民の英語能力の高さが確認されました。
そこで今回は、シンガポールの英語能力の高さ、その背景について詳しく掘り下げていきます。
英語能力指数でシンガポールは2位
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年 1月9日
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シンガポールはアジア圏では1位
今回の調査はスウェーデンの教育大手である「EFエデュケーション・ファースト」社が発表したもので、毎年実施されています。
シンガポールは昨年の2位と順位は変わりませんでした。
評価は「英語能力が非常に高い」と判定されていて、シンガポールのほかに、1位のオランダやオーストリア、ドイツなどの10ヶ国が入っています。
アジア圏では唯一トップ10にランキングされていて、あらためて英語能力の高さが示されています。
日本は87位
日本は昨年の80位からランキングを下げていて、その評価は「英語能力が低い」となっています。
他のアジアの国ではフィリピンが20位、隣国のマレーシアは25位、香港が29位と、比較的上位にランクインしています。
日本は49位の韓国、82位の中国からも差をつけられ、広げられています。
シンガポールの言語
多民族国家であるシンガポールは、英語、中国語、マレー語、タミル語、実に4つの言語が公用語として定められています。
シンガポール人の多くの方は、自分の民族の言葉は当然ですが英語も話すバイリンガル、あるいはトリリンガルが普通です。
共通語は英語で、老若男女を問わず、ほぼ全てのシンガポール人が話すことができます。
シンガポール人の多くが話す英語は、中国語やマレー語が入り混じった「シングリッシュ」という独特の英語です。
シンガポールの言語政策
ではなぜ、シンガポール人は英語が話せるのでしょうか。
それは、1965年のマレーシアからの分離独立時に、初代首相であるリー・クアンユーが「英語を共通言語として、それに、それぞれの民族の母語をはなすことができるバイリンガルを育てる」という二言語政策を打ち出したためです。
シンガポールは、歴史的に東西を結ぶ重要な位置にあるという地理的な優位性があり、英語が主要言語になれば、アジアだけではなく世界中から優秀な人材がシンガポールに集まってくるとリー氏は考え、この政策は最も重要であるとして強力に推し進めました。
英語比率の増加
シンガポール政府は5年毎に世帯調査を実施していますが、調査結果では若い世代ほど英語を使う頻度が高まっていることが明らかになっています。
英語比率の増加は非常に顕著で、家族間で話す言語が英語である比率は、2000年には23%であったのが、2005年には28.1%、2010年には32.3%、そして2020年には48.3%と、急激に増加しています。
ミレニアル世代では、家庭における言語は自身の民族の言葉ではなく、英語にシフトしていることが明らかになっています。
「母語も重視」へとシフト
シンガポールでは英語が最重要言語であるという認識は変わりませんが、母語の教育も強化していく方向へとシフトし始めています。
2021年から小・中学校では「母語支援プログラム」が導入されており、母語により重点を置いた、新しいスタイルのバイリンガル教育政策を推し進めています。
この政策の成功により新興諸国でも活躍できる人材を増やして、シンガポールの相対的な優位性を維持していく考えです。