中国で拡大する家庭用の掃除用品市場と浸透する日本製品

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近頃、中国では消費者の衛生や健康に対する意識が高まり、家庭用の掃除用品市場が拡大しているという。中国のSNSには掃除用品のタグが多くあり、投稿に対する星の数からも人々の関心が高いことが伺える。日本製の商品も多く紹介されており、中国人の生活に浸透しているようだ。当記事では現地スーパーマーケットやECサイトの様子、市場規模についてなど紹介する。

中国で拡大する家庭用の掃除用品市場と浸透する日本製品

   著者:上海gramフェロー 米久 熊代
公開日:2022年10月24日

中国で浸透する日本製の掃除用品

日本同様、中国のスーパーマーケットにも掃除用品コーナーがある。筆者は中国人の友人からすすめてもらったローカルスーパー2店舗の様子を見に行ったが、掃除用品コーナーで立ち止まる客が多いように見受けられた。掃除用品コーナーには、中国製や海外製の商品と一緒に日本の商品も多くはないが陳列されている。特にエアコン洗浄スプレーとダニ掃除用品はどちらのスーパーでも販売されていた。

(出典:天猫)

ECサイトの天猫、京東で掃除用品を検索すると日本製品が多くヒットする。特に浴槽洗剤やガラスクリーナー、カビ取りハイターなどが人気だ。中国の浴室は日本と違い、バスタブがない家が多い。トイレと同じ空間に風呂があり、カーテンで仕切られている場合もあれば、ガラス張りになっていることもある。湿気が籠るような設計なのでカビが発生しやすい。また、普通の洗剤ではガラスに付いた鱗汚れはなかなか除去できない。「SNSで知った日本のカビ取りハイターやガラスマジックリンは効果があり優秀」と友人は教えてくれた。

(出典:小红书)

あるデータによると中国人が商品購入を検討する際に使用するアプリの1位は「小红书(RED)」だという。小红书で「家居清洁用品(家庭用の掃除用品)」と検索するとタグが11万、関連タグも含めると膨大な数の投稿がある。投稿には日本ブランドの商品が効果が高いとして多く紹介されていた。筆者もその意見には納得で、浴槽用洗剤を日本製とその他(中国製・海外製)とで比較して使用したことがあり、圧倒的に日本製のほうが泡立ちがよくしっかり洗えていると感じた。中国メーカー、海外メーカーの浴槽用洗剤はまったくと言っていいほど泡立たず、洗えている気がしなかった。効果をあまり感じられない製品でも1つだけ良かったことは香り。爽やかな柑橘系の香りはアロマのように心も癒してくれそうなほどだ。中国の美容市場ではアロマシャンプーが大きな話題となり消費者の心を掴んだ中国ブランドがあるが、掃除用品市場でも同じように香りのニーズが高まっており、商品の差別化をするうえで需要な要素の1つだという。

掃除用品市場の消費者31%が、心地よい香りのために割増料金を支払うと回答。18~29歳の消費者は、特にフレッシュで気分を高揚させるような香りを求めている。(引用:拓新化工 http://www.txin-chem.com/newsinfo/2860889.html

コロナ禍が後押しに 中国の家庭用掃除用品市場

中国における清掃用品の市場規模は、2017年の537億9900万元から2020年には664億6300万元に拡大し、年平均成長率は約8.1%となっている。2022年のの小売販売額は成長傾向を維持し、小売規模は792億4800万元に達すると予測。

中国の家庭用掃除用品市場の競争環境は非常に細分化されており、業界への参入障壁は低くなっている。2020年の関連データによると、中国には家庭用掃除用品メーカーが約8,000社あり、輸出収益に基づくと、業界上位3社の輸出収益は約9億4千万元で市場全体の1.9%を占めるに過ぎず、上位5社の輸出収益は約13億7千万元で、市場全体の2.7%を占めるに過ぎない。

(引用:中商情报网 https://www.askci.com/news/chanye/20220616/1708341892859.shtml

新型コロナウィルスの影響で消費者の衛生や健康に対する関心が高まったことで生活が変化し、市場拡大の後押しとなっているという。手洗いうがい消毒などが習慣化したように、健康であるために家の中を清潔にすることが重要な位置を占めるようになったと現地メディアは伝えた。

消費者は掃除をする際に手袋を使用する割合が高く、掃除用品関連の商品で手袋も需要が高い。上記写真は現地ローカルスーパーの手袋コーナー。スーパーでの掃除用手袋の価格は10元前後(約200円)、ECサイトでは5元前後(約100円)の商品がよく売れている印象だ(筆者調べ)。あるデータによると家庭用掃除用品を購入する際、消費者の約半数がスーパーマーケットなどのオフライン環境で買い物をする。しかし、消費頻度が高い消耗品なのでキャンペーン時にはECサイトで買い溜めする傾向にあるのだとか。

効果+αが要求される市場競争

掃除用品を天猫などのECサイトで調べると、日本製の商品が売上ランキングに多くランクインしており、日本ブランドの掃除用品は需要が高いことが伺える。中には日本製と書かれてはいるが、模造品も多く存在するのが現状だ。現地メディアによると、家庭用掃除用品は設備投資が少なく、作成工程が比較的シンプルでハードルが高くない市場なので、競争が激しいという。従来の「効果がある掃除用品」だけでなく「香り」「環境保護」など+αとなる商品が差別化を図るカギとなり得るかもしれない。

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