カレーが中国の家庭料理に?!浸透している理由と今後のビジネスチャンスとは
カレーはインド発祥だが、中国では「インドカレー」と「日式カレー」というジャンルに分かれている。日本のアニメやドラマでカレーをよく目にする中国人も多く、日本独自で発展した料理という認識だ。そして、中国の家庭では日本のカレーが浸透しており、老若男女問わず愛される味となりつつある。中国でカレールーを販売しているハウス食品の実績を交えながら、中国人のカレーに対する評判や認識を紹介する。
カレーが中国の家庭料理に?!浸透している理由と今後のビジネスチャンスとは
著者:上海gramフェロー 米久 熊代
公開日:2022年5月xx日
日本のカレーが中国に浸透
中国上海市では未だに厳しい外出制限が続いている。筆者が住んでいる小区では、スーパーへの買い出しも許されないため政府から食料の配給がある。先日は日本人なら誰もが知る、ハウス食品のバーモントカレーが配給された。日本人が住んでいる世帯だけではなく、マンション全世帯へ配給されるほど、日本のカレーは中国人家庭に浸透している。
ある日、2世帯一緒に暮らす中国人ママに晩御飯のメニューを聞くと、「今日はカレーにしようかな」と言っていた。日本人にとって簡単にできて美味しい料理としてカレーが親しまれているように、中国でも日本のカレールーは主婦の強い味方のようだ。日本のバーモントカレーと違って、中国版バーモントカレーには八角が入っており、中国人好みの味になっていることも中国家庭にカレーが浸透した理由のひとつかもしれない。
中には日本版バーモントカレーの味のほうが好きだという中国人もいて、自分の持っているフルーツと筆者宅にあった日本のバーモントカレーを物々交換してほしいと隔離中に懇願されたこともあるほどだ。
中国で伸びるカレー需要に外食ビジネス到来か
昔から中国にもカレーは存在しており、カレー粉で味付けをしたチキンなどのおかずは中国人の間で馴染みのある料理だ。しかし、日本のカレーライスとなると話は別だ。中国のカレー料理とはかなり異なる見た目や文化の違いなどもあり、販売当初は日本のカレーに抵抗がある中国人は少なくなかった。それが今や中国の家庭に浸透しているほど人気の料理となったのは、ハウス食品の絶え間ない企業努力があったからだろう。
営業は土日も関係なく、年間3万回もの試食デモ販売を行った。さらに、お子さんに味を知ってもらおうと親子料理教室を開いたり、学校給食のメニューに入れてもらえるよう交渉したりと試行錯誤を重ねてきた。地道な営業活動を続けた結果、カレーの認知度は上海を中心に全国で高まっている。2013年に約20億円だった売上高は、前年比120%が続く好調ぶりで、2018年には3倍の約60億円にまで成長した。
(引用:日興フロッギー https://froggy.smbcnikko.co.jp/17544/)
ハウス食品グループの中国でのカレー事業は、スタートから8年目の12年12月期に黒字化した。売上高は前年を下回ることなく伸び続けており、19年3月期は58億円となった。ハウスの事業拡大に刺激されたのか、華南(中国南部)地方では現地のスパイスメーカーがカレールーの製造販売に参入した。
日中関係が緊張し反日デモがあった05年、12年でもバーモントカレーの売り上げに大きな影響はなかったという。それだけカレーが中国の家庭に浸透してきたということだ。
(引用:産経新聞 https://www.sankei.com/article/20200125-IUIAKROV3FKCTISGOWXBBIYDQE/)
新型コロナウイルスの感染拡大で家庭内調理の機会が増え、中国でカレールーの販売が伸びていることもあり、ハウス食品グループ本社は中国でカレールーを増産する予定だ。約13億円を投じて中国・浙江省の工場にカレールーの新ラインを増設し、生産能力を約35%引き上げる。年内に着工し、2023年の稼働を目指す。
(引用:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79477840T20C22A1TB0000/?unlock=1)
口コミサイトでもCoCo壱番屋は高評価
世界最大のカレー専門店チェーンとしてギネスに認定されたCoCo壱番屋は、中国に56店舗(2022年2月末)出店しており、海外最大の店舗数だ。千葉県(43店舗)、神奈川県(55店舗)の店舗数を中国は上回っている。日式カレーが大好きな中国人は多く、CoCo壱番屋は中国で人気な日本のチェーン店の一つなっている。中国版食べログといわれている中国最大級の口コミサイト『大衆点評』で日本料理に絞って検索すると、CoCo壱番屋の口コミ投稿件数は多く、評価もまずまずといったところ。中国ではデリバリーがかなり普及しており、出前アプリ「外卖」でもCoCo壱番屋の評価はとても高い。新型コロナウイルスが未だ終息していない中国では、デリバリー需要はさらに増え続けると予測されるため、外卖での評価は重要な広告媒体となるだろう。
まとめ
本格的な日本のカレーが食べられると、カレー好きの間で有名な店が上海にある。極めて見つけにくい場所にあるが、数多くの口コミがあり、22年間続いているほどの人気店。
ハウス食品のカレールーの売上は中国で順調に伸びているが、カレー市場としては未成熟で今後も発展の余地がある。魅力ある中国のカレー市場に今後ビジネスチャンスが到来するかもしれない。