ドイツ版今川焼きや仮面パレードに夢中!200周年を迎えたケルンのカーニバル
カーニバルはキリスト教圏で行われるイースター前の行事で、仮面や道化師の仮装をして市街パレードを行い、老若男女問わず誰もが楽しむイベントだ。語源は、肉を取り除く俗ラテン語であり、四旬節前の肉を別れを告げる宴であった。
期間は地域によって異なり、灰の水曜日の前日の火曜日が最終日にあたる。ケルンでは今年で200周年という節目を迎え、コロナ禍で自粛が続いていたが、今年はより盛大に行われる予定で、来場者数は50万人にも及ぶと予想されている。
この記事では、カーニバルの起源や期間、カーニバルを祝うドイツの人々の熱狂ぶり、そしてドイツ版今川焼きについても紹介します。
ドイツ版今川焼きや仮面パレードに夢中!200周年を迎えたケルンのカーニバル
著者:ドイツgram fellow 千葉 よう
公開日:2023年3月5日
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カーニバルとは
Karneval(カルネバル)、Fastnacht(ファストナハト)、Fasching(ファシング)は、キリスト教圏でイースター前に行われるキリスト教の行事である。
仮面をつけたり道化師の仮装をして、市街パレードでは飴やグミなどのお菓子をばら撒いたり、老若男女問わず仮装パーティをしたりなど、羽目を外して誰もが思う存分楽しむイベントだ。
現代でこそお祭りのようになっているが、語源は俗ラテン語 carnem levare (肉を取り除く)からきている。四旬節(※)前のAschermittwoch(灰の水曜日)前夜までに行われる、しばらく控える肉に別れを告げる宴だったそうだ。
(※四旬節とは、イエス・キリストの復活祭であるイースター前の40日間という期間であり、この期間荒野の中イエスは断食していたとされている)
復活祭から逆算して46日前の灰の水曜日から四旬節が始まるので、さらにその前の期間(カーニヴァル)に肉やご馳走を食べていた。
期間は地域によって異なるがおよそ一週間ほどで、基本的に灰の水曜日の前日の火曜日が最終日にあたる日程が多い。
カーニバル期間中の月曜日のことを[Rosenmontag(薔薇の月曜日)]といい、ノルトライン=ヴェストファーレン州にあるケルンやデュッセルドルフ、中央部のヘッセン州マインツ等では毎年大規模なパレードが行われている。
パレードの様子
カーニバルで仮装している人々
また、地域のお祭りとして自治体ごとに子ども向けのカーニバルを催していたりもする。
ケルンでは今年で200周年
ドイツ西部ノルトライン=ヴェストファーレン州にあるホーエンツォレルン橋とケルン大聖堂が有名な街「köln ケルン」。
この街のカーニバルは、今年で200周年という節目を迎えた。
ここ数年はコロナ禍でロックダウンや自粛などが続き、控えめな催しとなってしまっていたが、その反動もあってか今年はより盛大にカーニバルが行われているようだ。
来場者数はおよそ50万人にも及ぶと予想され、パレードの参加者だけでも今年は約1万2000人いるという。
ボランティアや関係者 | 3840名程 |
仮装歩行隊 | 3600名程 |
音楽隊 | 1260名程 |
ダンサー | 1700名程 |
パレードのフロート車乗員 | 1600名程 |
期間中はさらに50万人の来場者(予想)が加わる。
ケルン自体が人口およそ108万人(2019年時点)と、ドイツの中ではかなり大都市ではあるが、人口の約半分にあたる人数が州内外よりカーニバルに参加していると考えるとドイツ人のカーニバルへの熱量には驚きだ。
(出典:statista
https://de.statista.com/statistik/daten/studie/251887/umfrage/teilnehmer-am-rosenmontagszug-beim-karneval-in-koeln/)
ドイツ版今川焼き
今川焼き、大判焼き、おやき、回転焼き、御座候、二重焼きなど、地域によって様々な呼び名があるあのおやつ。
筆者の生まれ育った東京では「今川焼き」と呼んでいたため、違和感がある地域の方には申し訳ないが今回は「今川焼き」と定義させていただく。
なぜ突然今川焼きの話になったのか、実はドイツにも似た様に呼称の派閥が別れる食べ物がある。カーニバルの時期には皆がそれを食べるのだ。
ノルトライン=ヴェストファーレン州等の北西部では「Berliner(ベルリナー)」
ベルリン等北東部では「Pfannkuchen (プファンクーヘン)」
南西およびフランクフルト・アム・マイン等の中央部では「Kräpppel / Kreppel (クレッペル)
バイエルン州等の南東部では「Krapfen(クラップフェン)」
大きな派閥だとこの4つの呼称だが、その他にも一部地域では「Fastnachtsküchle」「Puffel」など、様々な呼び方もある。
#Pfannkuchen? #Berliner? #Kräppel/#Kreppel? #Krapfen? Wie ihr zu dem Siedegebäck aus Hefeteig sagt, deutet darauf hin, welche Sprache/#Dialekt in eurer #Heimat verbreitet ist. Mehr über die #Sprachen und #Mundarten in #Berlin und #Brandenburg 👉 https://t.co/VuEjC7Grsg pic.twitter.com/p58i2SHQxz
— rbb|24 (@rbb24) November 5, 2022
(Twitter ドイツニュースrbb24公式アカウントより)
筆者の住む地域(中央部)ではクレッペルと呼ぶのだが、配偶者の出身地ではベルリナーと呼ぶので、我が家でもベルリナーで通っている。
ベルリナー自体はチェーン店のパン屋などで一年中いつでも買うことはできるが、カーニバルの季節になると店頭で特設コーナーが出来て目に入りやすいため、いつもこの時期に買っている。
これを食べると「もうすぐ春が来るなぁ」と思うようになった。
チョコヌガーの入ったベルリナー。カーニバル仕様で道化師のピンが刺さっている。最近ではエッグノックフィリングやチョコヌガーが入っていたりと、バリエーション豊かだ。
この時期は色々なところでベルリナーの看板を目にする機会が多い。
どこのパン屋でも一つ€1弱で買うことができ、直径10cm程と大きくひとつで充分にお腹が膨れるのもとても良い点だ。
今川焼きのような、あるものの呼称についての議論をSNSなどで目にするが、遠く離れたドイツでも地域にって異なる呼称に関する論争が起きているのはとても面白いと思う。
やるからには全力で
日本では、仮装やコスプレは子どもや若者が楽しんでいる印象が強いが、ドイツでは年齢や性別を問わず、皆がそれぞれ好きなように楽しむ。
カーニバルやワルプルギスの夜、ハロウィン、LARP(中世の格好をするイベント)、その他仮装のテーマを決めたパーティといった機会が多い為、都心部には仮装専用のコスチューム屋がたくさんあるのだ。
仮装はカーニバルにちなんだ道化師の格好や伝統的なものが多いが、近年では人気作品のコスプレ、ポケモンや動物、ユニコーンなどの着ぐるみパジャマの様な格好も目にすることが多い。
筆者が実際に駅や街中で見かけたのは、色違いのピエロの格好をした子ども達、恰幅の良いおじさま達が5人ほどでお揃いのフリフリスカートのついたユニコーンの格好で、ビール瓶片手に盛り上がっていたり、若者のグループでお揃いのポケモンの格好をしていたりなど、それぞれの仮装を楽しんでいる様だ。
メイクもかなり本格的な方が多い。仮装に対し意欲的かつ真面目、行事ごとはやるからには全力で楽しむというドイツの国民性がうかがえる。
ドイツ人にとって、仮装は大変身近で老若男女問わず楽しめるものなのだ。
カーニバルに合わせて赤と白の色合いのものが多い
(Deiters公式 https://www.deiters.de/c/kostueme/anlaesse/last-minute-rot-weiss/)
より便利な未来
夏にフランクフルトやデュッセルドルフで行われる日本祭りでは、アニメやゲームといった日本カルチャーのコスプレをする日本好きの方が非常に多い。アニメやゲームのコスプレはなかなか売っていないので自分で作らなくてはならない。
装飾の細部まで丁寧に手作りされていて、アニメ・ゲームファンのコスプレクオリティの高さに大変驚かされる。
やはり作り物は手先の器用さが求められるので、工作などが苦手なファンからすると日本のように比較的簡単にアニメ関連のグッズが手に入るのは非常に羨ましいようだ。
それに限らず、ドイツから見ると様々な面で日本は便利だとつくづく思う。
昨今オンラインストアもとても便利になり、専門店の種類が充実している。
外出せずとも売買ができる環境が整いつつある現代では、手に入れようと思えば基本的になんでも手に入る。
だが、日本で一般的なものがドイツでは入手が難しかったり、当たり前の様に目にしていたものがこちらでは希少価値が高かったりなど、ドイツもオンライン化が進み便利になったとはいえ、それでも難しい時があるのが現実だ。
筆者が子どもの頃に比べれば大変便利な世の中になったのだが、欲を言うとさらなる利便性の進化を期待している。
終わりのないないものねだり、言うだけは簡単になってしまうが、遠く離れていても故郷のものが更に身近に求めやすい将来になってゆくのだろうか。