人気はすでにお墨付き・ヨーロッパのカップヌードル事情
日本を代表する食べものとして、ヨーロッパでも寿司やラーメンが愛されているのは、もはや周知の事実だろう。しかし、カップヌードルも負けてはいない。一般スーパーの店頭に置かれ、各家庭で常備されるようになるまで、それほど時間はかからなかった。食べるために必要なのは熱湯だけなのに、麺がほぐれてスープと相まれば、思わずうなるほどの美味しさが味わる。
簡単に出来て、小腹もちゃんと満たせるカップヌードルのファンたちは、いつか、日本で発売されている「リミテッド(限定)バージョン」も食べてみたい!と夢見ているのである。
人気はすでにお墨付き・ヨーロッパのカップヌードル事情
著者:オランダgramフェロー 稲葉 かおる
公開日:2022年2月15日
調理する気分が味わえる?
日清カップヌードルは、インスタントカップ麺を代表するブランドである。ヨーロッパ諸国の大手スーパーの棚にも、もちろん並んでいる。限定モノなどのバラエティに富んだ日本のそれと比較すれば種類こそ少ないが、間食のみならず、昼食や夕食に活躍する場面は非常に多い。
こちらでは、カップヌードルは2つのカテゴリーに分けられる。
ひとつは「スープ・スタイル」の汁入り麺である。もうひとつは「ウォック(中華鍋)・スタイル」の焼きソバだ。主食はじゃがいもとパンであるヨーロッパの人びとにとって、麺が持つ独特の味と、スープやソースのうま身は絶品で、表現しがたいほどおいしいと大好評だ。
例えばオランダでは、カップヌードルは立派な夕食にもなり得る。その理由は、夕食を作るように「調理できるから」だという。水を入れたやかんを火にかけ、沸騰させてカップに注ぎ込み、気分次第で海苔や小切りにしたネギなどを加え「手間暇」をかけて作るからだそうだ。そこが、テイクアウトとは違うポイントなのである。
スープは日本では「飲む」ものだが、ヨーロッパでは「食べる」と表現する。こちらでのスープの位置付けは、メイン・ディッシュとしてりっぱに食卓へと上る料理なのである。こうして考えると、スープ・スタイルのほうは、麺が入ったスープであるため、れっきとした夕食の役目も果たすというわけだ。
カップヌードルが頻繁に食卓へ登場する前、ヨーロッパの人びとが愛用していたインスタント食品といえば、粉末スープだろう。こういったスープは間食や夜食など、小腹が空いたときすぐに作れて便利である。しかし、スープだけでは何となく物足りない場合は、クラッカーやパンなどを添えて食べることにもなろう。その点、カップヌードルは麺でしっかりと小腹も満たせる。 また、粉末スープはマグなどを用意しなくてはならないが、カップヌードルなら余計な食器を使う必要がなく楽である。軍配が後者に上がるようになった理由の1つが、この手軽さだ。
ヨーロッパ国内で購入可能なカップヌードルは?
2022年1月現在、ヨーロッパ諸国では以下の種類のカップヌードルが購入できる(注・コロナ禍により、今後、輸入規制がかかった場合等はこれに準じない)。
1.欧州市場向け(ハンガリーにある日清の工場で生産されている)
⇒ 一般の大手スーパーマーケットで購入できる。
2.中国(香港を含む)で生産され、欧州に輸入される商品
⇒ 中華系食材を扱うスーパーマーケットや、ネットで購入できる。
3.日本で販売されているカップヌードル
⇒ 日本食品を扱う小売店(主に大都市にある)で購入できる(不定期)。
特に2.の、香港を含む中国で生産される商品に関しては、ネット経由で1ダース以上をまとめ買いをする消費者が多いようだ(箱買いをすると、20%から40%ほど割引特典がつくためである)。
また、中国で生産されたカップヌードルは、比較的こってりとした味付けがなされており、個性的な味で人気がある。逆に、ヨーロッパ市場向けのカップヌードルは、風味が比較的マイルドに仕上げてあるようだ。その理由は、食べる人たちに好みで自由に塩梅してもらえるよう配慮されているがゆえとのことだ。
最後に
各国々、または各地域の食生活に沿い、そこに住む人たちの味覚を十分に研究し熟知した上で、万人から愛される味を提供し続けているカップヌードルだが、さて今後は、どんな味が登場するのだろうか?
日清カップヌードルに限ったわけではないが、ヨーロッパ各国のインスタント麺消費量(国民1人の消費量)を国別に示した資料。
ロシアは、一人当たりのインスタント・ラーメン消費量が非常に多く(13.9)、ポーランド(8.4)とウクライナ(7.3)が続いている。
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Instant Noodle Consumption in Europe – Landgeist(https://landgeist.com/2021/09/17/instant-noodle-consumption-in-europe/)