ラトビアの首都、リガの交通事情
世界遺産の旧市街が街の中心にあるリガ。とはいえ旧市街はリガのほんの一部であり、住民のほとんどは旧市街の外側で暮らし働いている。あまり語られることのないリガの人々の生活の軸となる交通機関はどのように運行しているのか。また少し複雑になっている乗車券のシステムなども見ていく。
ラトビアの首都、リガの交通事情
著者:ラトビアgram fellow さえきあき
公開日:2024年9月11日
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意外と充実した公共交通機関
地下鉄はないものの、リガ市内には色々な交通手段がある。旧市街から一歩外に出ると、そこら中にバスやトラム、公共交通ではないがものすごいスピードで歩道を走行するスクーターなどに出会う。2024年現在、リガにはトラムが6路線、トローリーバスが22路線、そして普通のバスが52路線も運行している。商業地域や繁華街、住宅地のあるエリアがこれらの公共交通機関で網羅されている。早朝から午後12時近くまで運行しており市民の足として十分機能している。唯一の欠点としては、混雑する時間帯には時間通りに動かないことだ。
市内から出る場合は電車が使える。電車の車体には古いものと新しいものがあるが、古い方にあたると揺れが激しくノイズも大きい電車旅となる。とはいえ新車体でも日本の電車と比べると揺れる方ではあるため、車体の問題というより線路の問題のように思われる。
乗車券の種類が複数存在
公共交通機関の乗車券は電車を除き全て同じものを使用できる。しかしこの乗車券、入手手段が複数あり市民でさえすべての方法を把握していないため、なかなかに混乱させるシステムとなっている。
運転手から乗車券を買うことはほぼ不可能だ。バスの路線によっては運転手から直接買うしかできない場合もあるが、リガ市内を巡回するバスでは通用しない。飛び込み乗車ができないというわけだ。タッチ決済のできるカードなども使えない。それではどうやって乗車するのかというと、大きく分けて2種類、カードリーダーを使う方法とQRコードを読み取る方法がある。
1つ目が日本でもよくある、車内入口付近に設置されたカードリーダーにピッと乗車券をかざす方法。2種類あり片方がICカードで、アプリを通してチャージ、そして乗り物内にある機械にカードをかざす。もう片方は、観光客がよく使う紙の乗車券。コンビニで簡単に買え、こちらもICカードと同じ機械にかざして使う。
そして2つ目がアプリで乗車券を買い、車内のQRコードを読み取る方式だ。そしてこの乗車券を購入できるアプリがなんと3種類も存在している。
乗車券購入方法はアプリによって少々異なるが、この中のひとつ、「RIGAS SATiKSME」がおそらく最もわかりやすかったので使用方法を紹介する。
アプリを開いて一番下にある「BUY A TICKET」をタップすると乗車券の種類が選択できる。90分のもので現在は1.5€。数年前はこれより少し安かったらしく、インフレの影響がこんなところにも表れているのだと実感する。バスやトラムに乗って「RESISTER A TRIP」というボタンから車内に貼られているQRコードを読み取ってから制限時間がスタートする。
2種類の方法どちらにおいても、乗車券を持ったままでは意味がなくアクティベートが必須である。ラトビアに限らず、ヨーロッパの国々では時々車内に無賃乗車を取り締まる係員が乗ってくる不意打ちの検査がある。
バスやトラムでは頻繁に行われるわけではないが、電車ではほぼ毎回行われる。もちろん、無賃乗車が見つかった場合は罰金の支払いが命じられる。このチェックが必要な理由としては、日本のバスや電車のように乗車時と降車時でのダブルチェックをパスせずとも交通機関に乗れてしまうからだ。
日本のバスや電車だと乗車・降車、両方のタイミングでICカードなりチケットなりを通してゲートを通過する必要があり、そもそも無賃乗車ができないシステムになっている。
しかし、大規模でない欧州の都市の公共交通機関にはそのようなシステムがなく、やろうと思えば無賃乗車ができてしまう。ルールを守り運賃を払う人が大半であるが、ルールの欠陥を突く人もいるため乗車券のチェックをする係員が必要なのだ。
まとめ
小さい国とはいえさすがは首都、公共交通網は充実している。しかしながら乗車のためのアプリが乱立していたり、抜き打ちで乗車券のチェックが行われていたりと、日本のシステムに慣れていると少々面倒だと感じる部分がある。
欧州の都市と日本の都市は根本的に作られ方が違い、日本の都市は交通網とともに発達してきた歴史があるので日本の例をそのまま欧州に当てはめることは不可能だ。
しかし改札システムの便利さを知っていると、係員がたまにチェックするシステムは手間がかかるうえ、チェックしていないときに無賃乗車が発生して未収の運賃があるかもしれないという問題があるため、公共交通運営の立場からすると望ましくないのでは、と考えてしまう。