需要急増のフードデリバリー|スペイン

スペイン

スペインは美しいビーチ、素晴らしい建築物、活気に満ちた文化で世界中から旅行者が訪れる人気の国。「美食の街」として知られ、料理が美味しいことでも有名だ。

伝統的なタパスやトルティージャ、パエリアなど、スペイン料理は国の文化の不可欠な部分であり、バルやレストランへのアクセスに事欠かないスペインにいると、フードデリバリーは無縁の世界のようにも感じる。ところが、スペインのオンラインフードデリバリー市場は、COVID-19のパンデミックをきっかけに昨今需要が急増した。

市場は2024年までに79億8,000万ユーロの収益に達すると予測されており、年間成長率(CAGR 2024-2028)は9.09%で、2028年には113億ユーロの市場規模になると予測されている。本記事では、スペイン国内で利用できる、人気のフードデリバリーアプリの特徴をご紹介する。

需要急増のフードデリバリー|スペイン

   著者:スペインgramフェロー 北田ミヤ
公開日:2024年8月7日

Glovo

2024年、スペインの消費者を対象に実施したブランド別のオンラインフードデリバリー予約に関するStatistaの調査によると、過去12ヵ月間に調査対象者の51%が利用したフードデリバリープラットフォームがGlovoで、フードデリバリーアプリの中では最も利用されていたという結果となった。確かに街中でも黄色いバッグが目印のGlovoの配達員を一番よく目にする。

Glovoは、ファーストフードから、寿司、一流レストランまで様々な料理を主要都市(バルセロナ・マドリード・バレンシア)のユーザーに配達する、2014年にバルセロナで設立された、スペインのフードデリバリーアプリである。

スペイン全土の何百もの都市をカバーして国内では41%と最大の市場シェアを占めており、スペインで最も急成長している食品配達会社のひとつだ。

また、レストランの食事だけでなく、食料品や医薬品を含む幅広い配達オプションもある。

(写真:Glovoの配達員)

Just Eat Spain

Glovoに続き39%の市場シェアを占めているのがJust Eat Spainで、もうひとつの国内トップフードデリバリーアプリだ。

Glovo同様複数の都市で事業を展開し、何千ものレストランと提携している。毎日顧客においしい料理を提供しながら、地元企業の支援にも重点を置いている点が特徴だ。

また、Just Eat はスペインで最も古いフード デリバリー アプリで、国民に広く使用されている。

配送料がリーズナブル、アプリのレイアウトがわかりやすくお目当ての食べ物を簡単に注文できる点も人気の理由かもしれない。

Just Eatは2023年にデジタルストアフロントの数が15%増加し、スペインでダウンロードされたフードデリバリーアプリのトップとなり顕著な成長を示している。

(写真:Just Eat Spain)

Uber Eats

日本でもお馴染みUber Eatsは、スペインでも利用できる。

Uber Eats Spainでは、スペイン全土の何百ものレストランから配達を行っていて、顧客の住所や注文相手に応じて何らかの形の割引やクーポンを提供していることが多い。

Too Good To Go

これまで紹介したプラットフォームと趣きが異なり、食品廃棄物をなくす方法として構築されたアプリが、Too Good To Goである。

Too Good To Goは、デンマーク発祥のフードロス解決アプリで、ヨーロッパを中心にアメリカ、カナダ、オーストラリアなど世界17ヶ国で使用されている。食品ロスは世界中で問題となっており、毎年約13億トンの食品が捨てられている。

フードロス問題に取り組む一環として開発されたこのアプリは、カフェやレストランなど食品を扱う店と提携し、ユーザーの地元で閉店間際の売れ残った商品を割引にして提供し、まだ食べられる食品の廃棄を防いでいる。

提携先にはスペイン全土のカフェ、レストラン、さらにはベーカリーも含まれており、おいしい食べ物を届けてもらいながらフードロスの削減に貢献できるという素晴らしいアプリである。

Happy Cow

最後に紹介するアプリが、ベジタリアンやビーガンのオプションを好む人を対象としているHappy Cow。

彼らのウェブサイトには、全国のレストランから選択できる7,000以上の場所がリストアップされていて、アプリでは様々なオプションから食の嗜好を指定することができる。

まとめ

人口や食文化の違いもあるため一概に比較出来ないが、オンラインフードデリバリー市場で世界最高の収益を生み出し、2024年には4億163億000万ユーロに達すると予想される中国と比較すると、2024年に67億ユーロになると予測されるスペインの市場規模は小さくみえるものの、2025年に15.1%の収益成長が見込まれて今後も成長が続きそうだ。

消費者側はサービスの充実具合・低価格の配送料などばかりに目がいきがちだが、日本ではまだ導入されていない「Too Good To Go」のような単なるフードデリバリーの域を超えた、世界的にも問題視されているフードロス削減の一端を担うようなシステムは特に、世界中に広く普及することが期待される。

【参考】
◇Best Food Delivery Apps in Spain in 2024 | Go! Go! España:
https://gogoespana.com/en/blog/food-delivery-apps-spain/

◇Online Food Delivery – Spain | Statista Market Forecast:
https://es.statista.com/outlook/dmo/online-food-delivery/spain

◇Online food delivery bookings by brand in Spain 2024 | Statista:
https://www.statista.com/forecasts/1001406/online-food-delivery-bookings-by-brand-in-spain

◇Too Good To Go | Save Good Food From Going To Waste:
https://www.toogoodtogo.com/en-us

◇Spain’s Food Delivery Market: An Analytical Overview – Dashmote:
https://dashmote.com/articles/spains-food-delivery-market-an-analytical-overview/

北田ミヤ

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スペイン在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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