中国には存在しない?!日本の消臭スプレーが中国で人気の理由とは

中国

上海市出身の知人から「中国人は日本の日用品を好んでよく買う。特に布用の消臭スプレーは中国にはない商品だと思う」と言われた。需要があるにも関わらず、中国製品はないと現地で思われている消臭スプレー。当記事では中国における日本製の消臭および除菌スプレーの市場状況を紹介する。

中国には存在しない?!日本の消臭スプレーが中国で人気の理由とは

   著者:上海gramフェロー米久 熊代
公開日:2022年3月11日

中国に浸透している日本製の消臭スプレー

中国での交通手段は主に3つ。電車と自転車、そしてタクシーである。タクシーはとても安価で、徒歩30分ぐらいの距離までならおよそ10元(2022年2月のレートだと180円ほど)のため、日本に比べ中国のほうが気軽にタクシーを使う人が多い。日本のタクシーと違い、中国ではドライバーの自家用車を使用していることがほとんど。日本のもので例えると、ウーバータクシーが一番イメージに近いだろう。

中国スーパーの消臭スプレーコーナー

タバコ文化である中国のタクシー内は、タバコの臭いが充満していることが多いが、たまに車内で日本の消臭スプレーを見かける。また、中国のスーパーでも日本と同じように消臭スプレーは売られているが、そのほとんどが日本製品である。

上海に住んで30年以上経つ中国人の知人が「消臭スプレーという商品は中国にはない。もしかしたらあるのかもしれないが、私は見たことがない」と衝撃的な発言のあと、続けて「消臭剤はたくさんあるが、置き型や液体型などでスプレータイプはない。日本の消臭スプレーは香りが良いのと、日本製という安心感がある。だから中国人は日本に遊びに行ったとき消臭スプレーをたくさん買う。今は旅行に行けないから輸入品で多少金額が上がってでもネット注文して使い続けている」と話してくれた。使用している消臭スプレーは布用、室内用、車両用と3種類だ。正確には、中国製とみられる消臭スプレーはネットで探せば販売されているが、中国の消費者に浸透しているのは日本製品なのだ。

中国における除菌+消臭スプレー市場

2020年の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、消毒・除菌スプレーを多くの中国企業が販売し、中国の消費者も消毒・除菌スプレーを買い求めた。しかし、日本では馴染みのある除菌と消臭が一体型になったスプレーは、中国製の物だとかなり数が限られている。上海に住んで30年以上立つ中国人の知人も、除菌と消臭が一体型になった中国製のスプレーは見たことがないと言っていた。

そもそも中国ではスプレー剤と抗菌効果のある商品では生産基準が異なり、ライセンスも分けられている。ニュージーランドの化粧品ブランド「geoskincare」は、中国でいわゆる「衛生消毒類」の生産ライセンスを有し、同様に殺菌ジェルなどを市場に投入し始めている。
それ以外は主に「消毒類製品」の生産ライセンスを持つOEM企業への委託生産となるケースが多いようだが、中国メディアによるとそうした企業の数は決して多くなく、複数の大手企業の取り合いになっているのでは、と予想されている。
(引用:中国トレンドEXPRESS https://cte.trendexpress.jp/blog/20200228-column-handsoap.html

中国製の消毒・除菌スプレーは多くの企業が販売していても、除菌+消臭スプレーがほとんどない要因の1つは、生産ラインの安定的な確保が困難であることからだと推測される。

中国での除菌および消臭剤の総輸出入額は近年、年々増加している。冒頭で書いた通り、2020年には新型コロナウイルス感染拡大の影響で、中国の除菌および消臭剤の総輸出入額は123.37億米ドルと、前年比で35.84%増加した。さらに輸入価格も上昇を続け、3.91%も上昇して4.25米ドル/kgとなった。中国の除菌・消臭剤の輸入は日本からが全体輸入量の30%以上となっており、次いで米国からが10%以上を占めている。
(引用:新浪新聞 https://finance.sina.com.cn/roll/2022-01-27/doc-ikyamrmz7772675.shtml

中国ECサイト最大手のアリババグループによって設立された中国No.1のショッピングサイト淘(タオ)宝(バオ)(中国版Amazonのようなもの)で「消臭スプレー」と検索をすると、2022年2月現在も、売上ランキング上位にはファブリーズなど見慣れた日本語の書かれた商品が多くランクインしていて、日本製の消臭剤、除菌市場は中国で着実な成長を維持していると言えるだろう。

まとめ

中国では2008年に育児用ミルクを飲んだ赤ちゃんが、尿路結石を発症し死亡事故が起きたことや、2021年には乳児用クリームを使用した赤ちゃんの顔が腫れ上がる事故も発生している。日本なら考えられない安全性が中国ではまだ不安定である。消臭スプレーにおいても、健康に害はないのかと中国の消費者が疑問に持つことも少なくない。商品の安全性の根拠を説明できる日本製品こそ、中国の消費者が求めている物なのかもしれない。

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